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あの頃これが欲しかった!安くて丈夫な庶民の足、ダイハツのオート三輪「ミゼット」

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あの頃これが欲しかった!安くて丈夫な庶民の足、ダイハツのオート三輪「ミゼット」

 筆者がまだこの世にいない1950年代頃の「昭和」の時代。

 現代のように、中流家庭でも相当に貧しくない限り、誰でもお手軽簡単に自動車を入手出来る、なんてことは全くなかった、古き良き時代。

トヨタが個人ユーザーに販売を開始した2人乗りの超小型EV「C+pod」ってどんなクルマ?

 お出かけ先への移動手段は、電車、バスが中心。通っていない場所へ行く場合は、徒歩か自転車かオートバイかに限られていましたが、手に持てない量の荷物を運ぶ必要があった場合、手に持てないので持ち運べませんでした。

 仮に自転車やオートバイに荷物を積むにしても、大した量は運べません。ど根性ガエルの梅さんの寿司の配達も、1件行くのがせいぜいです。

 しかし、1917年に前が2輪、後ろが1輪の自転車式貨物車(フロントカー)が登場しました。その後、車体の安定性の悪さを解消するために前が1輪、後ろが2輪の、「三輪自動車」いわゆる「オート三輪」が登場しました。オートバイの発展系とも言える車両の始祖がここに生まれます。この時期の「オート三輪」見た目はモロ、オートバイです。

マツダオート三輪

 ちなみに、1933年までは、なんと750CC以下の排気量の自動車は「無免許」でオッケーだったとか。現在の軽自動車の排気量より大きい車が、無免許でオッケーとは! 今のジョ~シキでは、とても考えられませんねえ……。何といってもオートバイから進化した「オート三輪」は、四輪自動車より安価に入手可能で、そこそこ荷物も積めたため、世間に広く広く広~く、普及したようです。

 しかし1947年に、小型自動車の無免許優遇措置は廃止されました! 安全対策のためには仕方ないですね。残念!

 そののち、オート三輪にひとつの転機が訪れます。1951年に施行された「道路運送車両法」にて、なんとオート三輪の車体幅や車体長、排気量の制約が撤廃されたのです! えええっ? ようするに、どんなに大きくて、どんなに大排気量のオート三輪でもオッケー! になってしまったのです。どんだけー!

 その結果、最大積載能力が2tになるオート三輪まであったとか。ほぼイマドキのトラック並みですね! しかも、車検が免除になる時期もあったそうです。すげええっ! 当時は何もかもフリーダムだったんですねえ。

 ……さすがに1955年、車体の大きさに制限がかかり、オート三輪ブームも一旦去ります。仕方ないですね!

 ……そんな中、1957年、国内自動車メーカーの雄である「ダイハツ」より、ひとつの画期的なオート三輪が登場しました。その機種の名前は・・・。「ミゼット」です!

ミゼットDSA型

安価で乗りやすくてモー最高!「ミゼット」の魅力とは?

「ミゼット」は、オートバイや四輪車のパーツを流用して、あり合わせで作られたオート三輪と異なり、イチから設計して作られた、実用性も信頼性も高い、けど価格は安い、オート三輪の決定版となりました。

 初期型はなんと一人乗り。割り切った設計ですね! オートバイから進化したからでしょうね!

 ちなみに、ミゼットのキャッチフレーズは、「街のヘリコプター」。何だか分からないけど、とってもワクワク感がありますね!

 ミゼットのCMソングは皆さんご存じ、ビンチャンの愛称でお馴染みで、ケロリンのCMの歌も歌っている、おなじみの楠トシエさんの「みんみんミゼット」。「♬みんながね~見ているよ♪ 小人のミゼット可愛いね♪」の歌詞は当時、誰もが口ずさめました。

 しかも! 当時の大人気ドラマ「やりくりアパート」では、生コマーシャルで大村崑(こん)さんが、何度も繰り返し両手を広げ、体を上下させながら「ミゼット! ミゼット!」と連呼するという熱演を魅せておられました。こんなパフォーマンスを見てしまったら、誰もが思わず「ミゼット」を買いたくなってしまいますよね!

 ちなみにここだけの話、映画「三丁目の夕日」で登場した、鈴木オートの社長が乗っていたオート三輪は、正に「ミゼット」です。ただし一説によると、映画で写っていたミゼットは、映画の設定年度より後の機種(丸ハンドル)なのだから、劇中で写っているのはおかしい! という指摘があったとか。見ている人は見ていますねー! だって、初登場のDK/DS型のハンドルは、オートバイのような、「バーハンドル」だったんですものね。エンジンも、足で踏んでかける方式でした。まさにオートバイの進化系!

ミゼットMPA型(沖縄仕様)

 その後、どんどんミゼットのデザインは、バラエティに富んで、スタイリッシュでコケティッシュになっていきます。同シリーズの最後のほうにちかい、MP5/MP5V型だと、ほぼオート三輪としての完成形ともいっても過言では多分ない、チョー美しいデザインになってきています。今でもじゅうぶん、街乗り用のマイカーとして通用するんじゃあないでしょうか。

 ちなみに、ミゼットは当時、あまりの人気ぶりに、他社で発売されたオート三輪も、みんなひっくるめて「ミゼット」と呼ばれることも多かったとか。

ミゼットMP5型(1969年8月改良型)

ミゼットMP5V型(1962年12月登場型)

 オート三輪としてのシリーズ終了後、1996年に、4輪の「ミゼットII」が登場。

「ギュ!ギュ!♪す~いすいく~るく~るミゼットII~♬」のCMソングは今でも、誰もが歌えますよ!(本当)

1996年4月登場型 Dタイプ

 ミゼットIIも、これはこれで魅力的ですが、あえて今の時代に、初代ミゼットに乗る、というのも、なかなか乙なもの。むしろ大注目を浴びるかもしれません!

 ただし走行中に、急にハンドルを切るのは要注意ですよ! 最悪コケて転倒します!

 あの頃これが欲しかった!四輪自動車が買えない人でも購入できた安価で高品質な三輪自動車「ダイハツ ミゼット」。

 安価で入手できるなら、通勤用に1台欲しいです! 誰かチョーダイ!「ミゼット!(大村崑さん風に)」

※資料・画像引用 筆者自身の撮影によるもの、もしくはメーカー・販売店サイト、又はWikipediaなど。
※本記事は、執筆時点でネットに公開された資料や取材による情報に基づく商品やサービスの異訳調の紹介風なエッセイとなりますが、筆者及び編集部はその内容や継続性等を保障するものではございません。(特に海外メーカーの場合、公開された仕様と実際の仕様が異なる場合があります)
※本記事に登場する、登場人物のキャラクターや言動は炎上しそうな箇所はおおむねフィクションです。

文/FURU
デジタル系ガジェットに散財する、サラリーマン兼漫画描き兼ライター。電脳ネタがテーマの漫画を得意とする→https://www.furuyan.com
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