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ファンよ、マスタングを諦めることなかれ

掲載 更新 19
ファンよ、マスタングを諦めることなかれ

フォードの日本市場からの撤退により、幻となったグローバルモデルへと進化したマスタングの史上初の右ハンドル仕様の日本上陸。だが、現在でも複数の有力ディーラーは人気モデルを個別に輸入し、“ディーラークオリティ”で販売している。そのひとつが輸入した最新マスタングのエコブーストに試乗し、アメリカンスペシャリティを堪能した。

kazujisa maauda史上初の右ハンドルも予定されていたが…

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2016年をもって日本市場から撤退したフォード。撤退理由として挙がった「日本市場の閉鎖性」という言い草には開いた口が塞がらなかったけれど、クルマに罪はない。マスタングやエクスプローラーなど日本人にとっても魅力的なフォード車がまだあったにも関わらず、正規輸入がなくなってしまったことを、いちアメ車ファンとして嘆いたものだった。

ところがどっこい。フォードは日本でまだ生きていた。撤退した、とはいえ大手どころのディーラーにはフォード車を乗り続ける顧客も多く、アフターサービスをきっちり継続する責任があった。最終的に“フォード後始末業務”は斯界で有名なVTホールディングス(傘下のPCI)に互譲されたとはいうものの、有力ディーラーのなかには人気モデルを個別に輸入する会社が出てきている。

京都の日光社もそのひとつだ。日光社といえば大正7年(1918年)に京都駅前でフォード車の輸入販売業務を始めたという、日本の自動車販売界においては老舗中の老舗。フォードの取扱いに関しては100年以上の歴史のある同社が、インポーターごときの理不尽な撤退に負けるわけにはいかない、ということだろう。F150やエクスプローラー、レンジャー、マスタングといった人気モデルを輸入、独自に日本仕様を企画して販売している。日本のフォードファンにとっては心強い味方というわけだ。

そんな日光社が直輸入したフォードマスタングの最新モデルに試乗した。2013年末に発表された現行モデルは第7世代にあたり、グローバルモデルとして開発されていたのがミソ。日本でも2014年秋に発表されており、当初はローンチ記念として左ハンドル車を販売した。というのも15年の半ばにマスタングとしては史上初となる右ハンドル仕様(グローバルモデルだから当然だ)の生産が始まる予定だったからだ。日本メディアを招いてのマスタング右ハンドル仕様海外試乗会も15年中には開催されていたが、16年頭の撤退宣言によって同年半ばに予定されていた右ハンドル仕様日本初上陸もまた幻となってしまったのだった。

当然ながら17年に行なわれたマイナーチェンジ後のフェイスリフトモデルは日本人にとって馴染みの薄いマスタングとなっている。前後バンパーやライトまわりのデザインが変更されたほか、V6エンジンが落ち、V8と直4の2本立てとなった。ボディタイプは従来通りクーペとコンバーチブル。筆者は今回、アメリカでコンバーチブルの、そして京都でクーペの、いずれも4気筒エンジン搭載のエコブーストに試乗した。

kazujisa maaudaクルマとドライバーがいつの間にかシンクロする

「リビングレジェンド戦略」と呼ばれたフォードのレトロモダンスタイル。先代(6代目)マスタングの内外装デザインは、大ヒットモデルであった初代ポニーカーの雰囲気を随所に散りばめると同時に、アメリカンマッスルカーらしい力強い無骨さを表現したことで大ヒットした。7代目もまたその路線を基本的には継承するが、クーペデザインはより洗練されており、どこかヨーロッパ車的なシルエットまで獲得した。より幅広く、そして背を低くしたことが効いている。素直にカッコいいと思う。思い返せば「こりゃ売れるぞ」と思った矢先の撤退だった。

サイズ的にはレクサスLCとほぼ同じ。全長4.8mだからアッパーミドルクラスサルーンと同程度で、ことさら大きさを意識することはないが、かといってコンパクトカーとは思えない。アメリカでは十分小さいけれど。

この手のアメリカンスペシャリティといえばV8のイメージが強いし、個人的にもV8を好む。マスタングだってV8を輸入すればそれなりに売れていくとは思うが、2.3リッター直4DOHCターボエンジンを積んできた理由は、環境意識の高まりとグローバル市場を意識してのものだった。ちなみにマイナーチェンジ以降は10速ATを組み合わせている。

乗り込んで前に広がる景色は、ちょっとフォードGTを彷彿とさせるアメリカンスポーツカーらしいインテリアだった。ドライブモードを変えるとメーターのグラフィックスも変わる。アメリカ車だってグローバルの流行をしっかり追っている。トラック(サーキット)モードにすると横リボン型の三色トリコロール回転計が現れて、カラーディスプレイなのにどこか懐かしい。

走り出すと、タイヤの存在をはっきりと感じた。これはアメリカ車特有の感覚だ。それゆえ道が荒れていたりするとしばらくはちょっと雑なライドフィールだと思ってしまうのだが、時間が経つにつれて気にならなくなっていく。これもまたアメ車らしい。タイヤ、シャシー、ボディ、シート、そしてドライバーがとある時間、速度域からシンクロするとでも言おうか。

10速ATを採用し、4気筒エンジンのトルク性能も向上したことで、走り出しは十分にスポーツカーらしい。マッスルカーとまでは言えないけれど、迫力のあるサウンドと伸びやかな加速を楽しむことができる。このあたりのドライブフィールはグローバルな質感に達していると思う。

なかでも100~120km/hあたりで巡航しているときが最も気持ちがいい。アメリカではオープンにして少し冷たい風にあたりつつ60~70マイル/hでフリーウェイを流していると、なぜだかむやみにカントリーでも歌いたい気分になった。ちなみに、そのあたりの速度で走ったときの燃費が14~15km/L。まずまずだと言っていい。

せっかくの右ハンドルが正規に上陸しなかったことは残念でならないが、望めばアフターサービスのしっかりしたディーラーで今でも買うことができる。マスタングファンには諦めることなく乗ってもらいたいと思う。

文・西川 淳 写真・益田和久 編集・iconic

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みんなのコメント

19件
  • フォーカスRSかマスタングGTのMTには本気で乗りたい
  • S197マスタングGTに乗ってますが、旧ディーラーで充分なメンテナンスを受けております。
    また、ほとんどのパーツがネットで購入出来ますし、価格も手頃です。
    何より、アメ車の独特の乗り味は、堪らないものがあります。(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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