今じゃファミリカーの代名詞となったミニバン、それに欠かせないのがスライドドアだ。しかし歴史を辿ると、スライドドアがあるクルマって商用車やバンなどの運送車両がメインだったはず……先駆車は一体誰なのだろうか。そのカギを握るのは横浜1の技術屋集団だった!
文/ベストカーWeb編集部、写真:NISSAN
アルファードがあるのはセレナのおかげかも!! 32スカイラインと同じハイキャス搭載ってマジか!! 衝撃のデキだった初代セレナを今こそ
■元は商用車だった⁈
このフロントバンパーのバンパーガードが懐かしい……
新時代のファミリービークルとして誕生したバネットセレナは、スカイラインに勝るとも劣らない数々の装備と機構を持ち、日産の商用車であるバネットのワゴン(ミニバン)モデル「コーチ」の後継として、1991年に登場した。
駆動方式はFR(フルオート・フルタイム4WDも設定)で、2735mmのロングホイールベースによって、高い走行安定性を実現した。
さらに、ガソリン2種と今のミニバンでは中々見ないディーゼルのターボとノンターボが搭載されていて、今では味わえないパワフルな運転が出来たと思うと、ちょっと惜しいなと感じる。
■バネットセレナには日産のお家芸である「アレ」が採用されていた
今ではその名を聞くことは少なくなったが、日産が誇った「スーパーハイキャス」も装備されていた。スーパーハイキャスとは日産が1985年に開発した「ハイキャス」の進化版で初採用は1989年発売のR32型スカイラインだ。
この「ハイキャス」という装備、実は結構スゴイ。普通クルマが曲がる時、ハンドルを左に動かせば前輪は左を向く、しかし後輪はその逆の右方向を向くのだ。これを「逆位相」と呼びます。
ところがこの「ハイキャス」を使うとあら不思議。後輪も前輪と同じ方向に曲がるではありませんか! これを「同位相」と呼びます。
これにより、車線変更の時にスムーズに動くので膨らむ心配がないし、まるで地面と吸い付くように運転することが出来たので車体が不安定になりやすいミニバンにはピッタリの装備となっていたのだ。
このハイキャスにコンピューター制御を進化させたり、一瞬逆位相にすることでより理想的なコントロールに対応可能にしたのが「スーパーハイキャス」だ。
■スライドアで利便性は抜群! 正直これは豪華すぎる……
まだフォルムの所々に商用車感が残ってる気がする
内装はミニバンの一番のメリットである「広い室内とそれによって得られる解放感」を存分に生かした3列シートで、室内寸法は長2760、幅1420、高さ1235mmと広く、グレードによってはキャプテンシートを選べるなど当時としては画期的なクルマになっていた。
また、セレナ初の6スピーカーを搭載したり、2列目シートを180度転換して2,3列目をお見合いシートに出来るなどその初代エルグランドに繋がるアイデアもバネットセレナから生まれた。
さらに、シートを倒したらフルフラットにも出来たり、3列目を折りたたむ事で広大なラゲッジスペースが確保出来るなど、アウトドアにも適した「マルチユースカー」としても最適だった。
この他にもトヨタのエスティマは、セレナとともにミニバン黎明期を築いた「先駆者」であるが、その特性は全く違うものとなっており、どちらも素晴らしい出来であったことは言うまでもない。
今回はミニバンの先駆者として紹介したが、最後に今日のミニバンの基礎を築いたバネットセレナに僭越ながら大きな拍手を送らせて頂こう。
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みんなのコメント
コレは初代セレナが初採用ではなくて、初代C120バネットコーチが初採用ですよね??
我が家にあった1980年式チェリーバネットコーチにもお見合いシートが装備されていましたよ。