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中国の巨大企業「ジーリー」が日本で試乗会……だが行ってみたら謎のイベント! ブランドの将来に不安しかない

掲載 更新 33
中国の巨大企業「ジーリー」が日本で試乗会……だが行ってみたら謎のイベント! ブランドの将来に不安しかない

 この記事をまとめると

■「中国のジーリーが筑波サーキットで試乗会を開催!」と思いきや……

【試乗】中国車なのに高い完成度! 日本未発売のセダン「LINK & CO 03」に乗った!

■中国人インフルエンサーのためのジーリーのイベントに呼ばれただけだった

■ジーリーのハイブリッドモデルで筑波サーキットをゆっくり1周したができることならしっかりと試乗したかった

 筑波サーキットでジーリーの最新モデルに乗れるはずが……

 それは極めて異例の開催だった。中国の自動車メーカーである吉利(ジーリー)汽車は、近年ではスウェーデンのボルボ社を傘下に納め、「Lynk&Co」という自社ブランドを立ち上げてWTCR(世界ツーリングカー選手権)でもボルボのレース活動を担うポールスターレーシングを活用して大活躍していることでも知られる。

 2018年、Lynk&Coのローンチでは、日本の富士スピードウェイを貸し切り、本国から数百人のジャーナリストやゲストを招き派手なイベントを開催した。そのときも筆者はゲストとして招待された。本コースを走れたのは筆者だけだったが、数百の中国人ジャーナリストも数人の日本人ジャーナリストも、イベントとしての開催を堪能していたはず。Lynk&Coブランドに対するイメージも好印象となったのはいうまでもない。

 今回、そのLynk&Coの親会社とも言える吉利汽車(ジーリー)自体が、今度は筑波サーキットで試乗会を開くという案内が届いた。BYD社の国内マーケット参入に次いで、いよいよジーリーも国内導入に動くのかと関係者の誰もが思っただろう。しかし、その案内の発行元は、なんと某自動車メディアの編集部となっていたのだ。通常、自動車メーカー広報部やイベント代理店などから届く発表会や試乗会の案内がメディア編集部から届くというのも異例だが、ジーリーという巨大企業の開催するイベントでもあるので、期待して指定された午前9時までに筑波サーキットに赴いた。

 パドックにはしかし、人影がほとんどなく、数人の中国人スタッフらしき人がいるくらい。日本語を話せる人はいなく、受付もない。すると、Bパドックからバスが入ってきて50人ほどの若い中国人が降りてきた。会場は一気に活気を呈してきたが、それでもわれわれ日本人用の受付は始まらない。事前に知らされた案内では9時半には受付を終了し、直ちに技術解説、そして10時半には試乗が始まるスケジュールが記されていた。日本人ジャーナリストもオンタイムで続々と集まってきていたが、受付は一向にはじまらない。

 すると、ピットロードに仮設されたステージで中国語でのアナウンスが始まり、国内トップレーサーの織戸 学氏がレーシングスーツ姿で登場すると日本語で挨拶。そして、中国人たちはミーティング会場に上がっていく。そのときすでに10時半は過ぎており、筆者を含めて日本人ジャーナリスト達は居場所もなく呆然としていた。

 仕方なく片言の日本語を話す中国人留学生に事情を説明し対応を求めると、ようやく今回のジーリー担当者がミーティングをすると会議室へ案内してくれた。そこで車両の説明はなく、質問はあるかとのことで「ジーリー車を日本へ導入するのか」と質問が相次ぐ。すると幹部は「自分は中国内の宣伝担当だから外国への展開は知らない」と。皆一斉に肩透かしを喰った感じだ。「ではなぜ筑波サーキットで?」と問うと、「ナンバーを取得していない、つまり一般道を走れないからここにした」と幹部。それ以上もう質問をする気持ちも失せた。

 サーキット走行も決められたコースを言われたままに運転するのみ

 大勢いた中国人はみな若い。聞けば中国のインフルエンサーたちで、このイベントを30秒の動画にまとめてメディアのプラットフォームで展開し、アクセスを稼ぐのが狙いなのだとか。インフルエンサーたちは4台用意されていたジーリーのハイブリッドシステム搭載車を順番に、筑波サーキットを1周だけ、メーカー担当者を隣に乗せて指示に沿って運転。筑波サーキットは1周2kmの短いコースなので30秒の動画編集には十分なのだろう。さらに、コースにはパイロンが置かれ、ライン取りも関係なく指示されたとおりに走らなければならないという。

 これらが判明した時点で時刻は午後2時を過ぎていた。

 結局、われわれ日本のジャーナリストに試乗の順番がまわって来たのは、すべての中国人インフルエンサーの搭乗後で、午後3時半をまわっていた。お昼前には終わるとされていた試乗会が、だ。とにかく試乗はしたが、メーカー担当者を隣に乗せて1周をゆっくり走らせただけで終了。クルマの評価などできるはずもない……。

 クルマ自体はスタイリングもよく、内装の仕上げも質感も素晴らしいものだ。それにBYDがEVオンリーのラインアップで国内導入しているのに、ジーリーはわざわざハイブリッドを新規開発したという点も興味深い。できればしっかりと走りこみ、開発チームにインタビューもしたかったのだが、今回のイベントはあまりにもお粗末でLynk&Coのときの感動も失せてしまった。

 聞けば中国人インフルエンサーたちは、翌日には群馬県の榛名山に移動し、なんと仮ナンバーで公道を走らせたようだ。これは仮ナンバーの使用規定に違反する行為で、国内規定を無視した行為だ。そちらには呼ばれなかったのは幸いした。

 じつは数年前から筆者にもこうしたイベントの開催について打診はあった。しかし、違法行為とならないようにしっかりした運営とケアが必要と伝えると音信不通となっていたのだ。

「郷に入れば郷に従え」といわれるように、中国を代表する巨大企業が「旅の恥はかき捨て」状態で試乗会を開催しては、せっかくのビジネスチャンスも台無しになってしまうだろう。今後、正規に日本への導入を望むなら、今回のようなお粗末な取り組みがあってはならない。あえて苦言をここで呈しておく。

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みんなのコメント

33件
  • big********
    随分抑制的な記事ですね。
    本音で書いたらどうですか?
    ふざけけるなジーリー、日本人を舐めやがって、違法行為までしやがって、二度と来るなくらいは書いても良いのでは?
  • abcdefg
    わざわざ日本人ジャーナリストを呼んだんなら、もっと裏がありそうですね。例えば、日本人ジャーナリスト向けの試乗会などの名目がないとサーキットが借りにくいとか。素人をいきなりサーキットで走らせるのって、普通は講習があったりとかそれなりにめんどくさい気がしますからね。本国では勝手に日本人ジャーナリストも「絶賛!」とかの話が使われている気もするし。絶対もっと裏があると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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