フルモデルチェンジしたスズキの新しい「スペーシア」に世良耕太が試乗した。進化の具合はいかに!?
全車マイルドハイブリッド
新型スズキ・スペーシアは先代と同様にスペーシア(以下標準車)とスペーシア カスタム(以下カスタム)の2つのタイプで展開する。標準車は「スペーシアらしさを進化させた『ワクワク』を感じるスタイル」、カスタムは「『上質感』と『存在感』に磨きをかけたクールなスタイル」が、特徴だ。力強いターボエンジンの設定があるのはカスタムのみで、標準車は自然吸気(NA)エンジンのみの設定。全車、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)によってエネルギー回生を行うマイルドハイブリッドを標準で搭載する。
富士山のふもとにあるメディア向け試乗会場を起点に、標準車(NA)とカスタム(ターボ)に乗った。標高が高く平地に比べて空気密度が低いため、ターボエンジンのように過給機を持たないNAエンジンに不利な条件だ。くわえて、上り勾配が多い環境である。富士山に向かって長い上り勾配を走ると、NAエンジンを積んだ標準車は車速を維持するために高い回転数を維持した状態になる。ゆえに、エンジン音が目立つ。
もっと静かなほうがいいに決まっているが、わずか660ccのNAエンジンでは致し方ない。ウルサイのはスズキが悪いのではなく、軽自動車の規格で排気量の上限が660ccに定められているせいだ。NAの場合、先代は「R06A」を搭載していたが、新型はより高効率(ということは燃費向上に利く)な「R06D」を搭載する。詳細は省くが、ボア×ストロークや吸気ポート形状などの諸元を変更し、燃焼速度を速くしたのが特徴だ。
燃焼速度が速くなると燃料が持つエネルギーが一気に解き放たれるため、効率の向上と引き換えに音が大きくなる。ただでさえ音の面で不利なNA仕様にとっては頭の痛い問題で、それもあって「そのへんどうでした?」と、開発陣は筆者に感想を訊くのだった。
残念ながら筆者は、新旧エンジンのノイズレベルの違いを指摘できるほど鋭いセンサーの持ち主ではない。どちらもウルサイといえばウルサイ。新型スペーシアのNAエンジンに限っていうと、我慢できないほどウルサイわけではない。唸りを上げて上り勾配を駆け上がっているときは、「頑張っているねぇ、頼みますよぉ」と、エールを送りたくなる。
あらゆる面でターボが有利静粛性を重視するならターボだ。その場合、必然的にカスタムの選択になる。NAに比べて力強いので、NAエンジンほど高い回転数までまわす必要がない。さらに、ターボエンジン仕様にだけ吸音材を追加しているので、なおさら静かだ。
静かなだけがターボの利点ではなく、力強さが魅力である。上り勾配のシーンだけでなく、高速道路の本線への流入や、コンビニやスーパーの駐車場から道路に出て巡航スピードまで達するまでのストレスが劇的に軽くて済み、ターボのほうが圧倒的に楽だ。
新型スペーシアは標準車、カスタムを問わず静粛性全般について対策を施しており、これが利いている。アンダーボディの接合部に減衰接着材を採用したのは、スズキ初だ。減衰接着材は騒音源となる振動のエネルギーを熱に変換することで減衰させる(弱くする)技術。熱発泡性樹脂でピラーの空洞部をふさぎ、音の伝達を抑える遮音バッフルの追加も効果が大きい。先代はAピラーとBピラーの付け根に入っていたが、新型はCピラーとバックドアの下部に追加。リヤタイヤ起因のノイズやバックドア側から回り込んでくる排気音を抑えるのに効果がある。
別の機会に新旧の後席ドライブを体験したが、こちらのほうは鈍いセンサーの持ち主である筆者にも違いがわかった。新型のほうが格段に静かである。ドライバー目線でいえば、後席乗員との会話明瞭度が上がっており、先代よりも声を張り上げずに会話ができるようになった。ひとクラス上の静粛性を手に入れた印象だ。
好み次第で選べば良し安全運転支援システムの強化もハイライトのひとつで、実は安全性能を強化することが走りや快適性の向上にも結びついている。例えば、新型スペーシアはスズキの軽自動車としては初めて車線維持支援機能(LKA:レーンキープアシスト)を採用した。システムが車線を認識し、自車が車線中央付近から外れそうな場合は、ステアリングに力を与えて車線中央付近の走行維持をサポートする機能だ。
このLKAの制御をスムーズにおこなうため、電動パワーステアリングのアシストモーターを従来のブラシ付きからブラシレスに変更している。コスト増につながる変更だが、制御性の高さを選んだことになる。ブラシレスモーターの恩恵はLKAをオンにしたときにだけ受けられるのではなく、普段の運転でも受けられる。ステアリングを切ったときの手応えがリニアでスムーズになるからだ(ブラシ付きはぎこちなさが出やすい)。
新型スペーシアは前述した減衰接着材のほかに構造用接着材も適用。ドア開口部まわりに採用することでボディ剛性向上を図っている。これにより走行中のボディの変形が抑えられ、サスペンションが狙いどおりに機能して乗り心地が良くなるし、操舵に対してタイヤが遅れなく曲がる力を発生させるようになり、操縦安定性が向上する。ドライバーにとっても、パッセンジャーにとってもうれしい進化だ。
「ファーストカーでも充分いけるなぁ」というのが、厳しい条件で新型スペーシアを乗りまわしての感想。“ワクワク”感が増した標準車を選ぶか、より上質で“クール”なカスタムを選ぶかは好み次第である。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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