どんなクルマ? 全モデル電動化への道
text:Motohiro Yamazaki(山崎元裕)
【画像】B4とリチャージ・プラグインハイブリッドT5を比較【小型SUV XC40】 全91枚
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)
ボルボのコア技術といえば、これまでは安全性と即座に答えられたものだが、現在ではさらに車両の電動化が重要な開発の課題となっている。
日本市場においては、2020年中に従来までの内燃機関のみを搭載する車両を全廃。すべてのモデルにPHEV、もしくは48Vハイブリッドの技術を搭載すると宣言。
そして先日、まずはSUVモデルの車種ラインナップが統合、整理されたことで、その公言は現実のものとなったのである。つまり現在ボルボのSUVを購入すれば、それは「リチャージ・プラグイン・ハイブリッド」と呼ばれるPHEVか、「48Vハイブリッド」のいずれかとなる。
今回試乗した「XC40 B4モメンタム」は、ボルボのSUVとしては最小サイズとなるXC40がベースとなるもの。B4の追加に伴って、これまでの「T4」「T5」という体制での販売が中止され、XC40のラインナップは日本ではFWDモデルと4WDモデルのB4に大別されることになった。
参考までにSUVとしての機能性はFWDも4WDも変わらないが、車重は同じモメンタムで比較して、試乗車のFWDの方が60kg軽い。そのような影響もあってか、燃費はWLTCモードで、FWDが12.7km/L、4WDは12.5km/Lと若干の差がある。
都会に住む、より経済志向のカスタマーならFWDを選ぶのが得策だろう。
「B4」 直4ターボ+48Vシステム
B4のパワートレインは、サード・ジェネレーションの「ドライブE」となる、2L直噴の直列4気筒ターボエンジンを核に、48Vのハイブリッド・システムを組み合わせたものだ。
最近よく耳にする48Vハイブリッド・システムだが、これは回生ブレーキによってISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を使用して発電し、それをコンパクトな48Vリチウムイオン・バッテリーに蓄電。
エンジンの始動はもちろん、走行中により大きなパワーが必要とされる場面では、このISGMからのパワーがエンジンを補助する仕組みだ。
XC40 B4モメンタムの場合は、2Lエンジンが197psの最高出力と30.6kg-mの最大トルクを発揮。
これが同じXC40のボディを使いながらも、より強力なB5 AWDになるとスペックは250ps/35.7kg-mにまで向上するが、今回の試乗では、B4の197psに不満はなかった。
内装/トランク/サイズの評価
この197psのエンジンをアシストするのは、わずかに14ps/4.1kg-mの最高出力&最大トルクを発揮するのみのエレクトリック・モーター。
ただしそのアシストは瞬時に入るため、数字以上の効果が体感できる。
SUVとしての使い勝手も十分に魅力的だ。
エステート=ワゴンを主力商品としてきた時代から、荷室の使い勝手に関してはさまざまな創意工夫をしてきたボルボだけのことはあり、荷物の量やカタチによって、後席をアレンジすることで、多彩な形状の荷室を作ることができる。
コクピットまわりのデザインも、競合する他ブランドのそれとは雰囲気が異なり、落ち着いた機能的なデザインにまとめられている。
センターコンソールの最上部にあるモニターは、使い慣れるまでにはかなりの時間が必要だが、スマートフォンなどの使い勝手に慣れた若年層には、直感的に操作できるこのデザインは、逆に魅力的に感じるものなのだという。
全長×全幅×全高で4425×1875×1660mm(最低地上高210mm)。ホイールベースは2700mmというサイズは、日本の都市部でも大きな負担になることはないだろう。むしろ前で触れたSUVとしての機能性がきちんと備えられていることを考えれば、これは日本にはジャストサイズともいえる。
どんな感じ?
このようなさまざまな期待感を持って、ボルボXC40 B4モメンタムのステアリングを握った。
まず好印象を抱いたのは、あるべきところに必要なスイッチがあるという、優れた機能性、操作性で、前後左右の視界もボディデザイン、とりわけリアクオーター・ウインドウのデザインから想像する以上に開けている。
シートは最初のタッチはやや硬めだが、サイズは十分に大きく、走りを続ける中で徐々に自分の体形にマッチしてくる。
長時間のドライブを続けても、不思議なことに疲れというものを感じさせないのだ。
エンジンを始動してさっそく試乗に向かう。
この始動のプロセスでも48Vハイブリッド・システムは、スターターとして使用されているはずだが、その存在を一切感じさせないのは素晴らしい。
足さばきは“しなやか”
ただし試乗中のアイドリング・ストップ時からの再始動では、ややそれを理由とするショックは大きく、改善を期待したいところ。
回生時のブレーキフィールにも、もう一歩のナチュラルさが欲しい。今後はこのあたりの問題をいかに解決してくるのかが、各社共通の課題となるのだろう。
実際の加速は、1670kgのウエイトと、197psの最高出力を考えれば十分に魅力的なものではないか。
今回は比べることはできなかったが、同じB4の4WDモデルと比較しても、軽快さは当然このFWDモデルの方が勝る。
ハンドリングも実に軽快だ。
一般道ではフラットな姿勢を崩さないB4だが、ワインディングに入っても、しなやかなフットワークが見事にコーナーをクリアさせていく。
「買い」か?
コーナリングに精神的な負担を感じさせない走りの演出。
これもまたボルボが長年、哲学として継承してきた安全性への追求の表れといえる。
内燃機関からの脱却を目指すボルボ。
その1つのステップとして48VハイブリットやPHEVを、SUVの全モデルに投入してきた意義は大きい。
実際のエネルギーコストを考えても、その機能性や走りを考えても、このB4モメンタムには大きな死角が見当たらない。
コストパフォーマンスの高さも十分。思い切って購入するに値するニューモデルといえそうだ。
ボルボXC40 B4モメンタム 試乗車スペック
ボルボXC40 B4モメンタム(FF)
価格:479万円
全長:4425mm
全幅:1875mm
全高:1660mm
最低地上高:210mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):12.7km/L
CO2排出量:183g/km
車両重量:1670kg
ドライブトレイン:直列4気筒1968ccターボ+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):197ps/4800-5400rpm
最大トルク(エンジン):30.6kg-m/1500-4200rpm
最高出力(モーター):14ps/3000rpm
最大トルク(モーター):4.1kg-m/2250rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:5名
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みんなのコメント
下取り車なし、オプション加えても乗り出し500万を切る価格は嬉しい。
更に5年間の保証が付くので、乗り換えまで追加費用の心配はない。
難点はやはり納期か。
世界中で人気のため半年は待つらしい。
これを選ぶか、来年デビューする完全EV版を選ぶか悩ましい。
平べったいデザインで似たような日本車が昔あったような気がする。
狭い旧道を前方からボルボが厚かましく突進してきたら、離合するのに苦労する。
横幅が広くなったクルマを買う時は、周辺の道路環境を考えないと、走り辛い思いをして後悔するかもしれないよ。