1980年代、「クロカン」ブームを支えた4WDが、各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第11弾は「ハイラックサーフ N180系」だ。
ホイールベースを50mm延長し、居住性が大幅アップ!
1995年9月、日産「テラノ」が最新機能を満載してフルモデルチェンジを果たした。同年12月、そのテラノにぶつける形でトヨタが投入したのが3代目「ハイラックスサーフ」、通称=185サーフだった。ちなみに185は4WD、180は2WDのことを意味する。
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先代で都会派SUVとして熟成したハイラックスサーフは、3代目サーフにモデルチェンジした後もシルエット的には大きな変更はなかった。しかし、中身をじっくり見てみると、こだわりが至るところに見受けられた。たとえばユーティリティーの向上が挙げられる。ホイールベースは従来モデルより50mm延長され、フレームの一新、そしてリアシートを跳ね上げ式の採用などにより、サーフのウリである荷台の広さはそのままに、リアシートを75mmも後方へセットした。
さらに前後シートのフルフラット化も実現し、居住性を大幅に向上させた。加えて、上下開きだったリアゲートは、1ピースの跳ね上げ式に変更された。以前から好評だったリアゲートに備わるパワーリアウインドーは、そのまま引き継がれたのも嬉しいポイントだった。さらに上級グレードには、リア部の死角をなくすパワーリアアンダーミラーを採用したことで安全面を格段に向上させている。また、ステッキ式だったパーキングブレーキはレバー式に変更など、ユーザーの声を大いに反映させて改良を実施したことがうかがえた。
2.7Lガソリンエンジンの投入でスタート価格を引き下げた
さて、ハードな面に目を向けると、その進化たるや目覚ましいものだった。筆頭は「マルチモード4WD」の採用だ。これは、2WD/フルタイム4WD/パートタイム4WDのHi/Lo、4つのモードを天候や路面状況によって選択できる斬新なシステムだ。この切り替えを走行中でも可能にしたADDの流用により、イージードライブも実現した。
足まわりの進化も見逃せない。新採用の高剛性フレームに備わるサスペンションは、フロントコイルスプリング化したダブルウィッシュボーンとリア4リンクコイルにより、ハンドリングや路面追従性をより高めた仕様になった。加えて、ステアリングをラック&ピニオン化、フロント対向4ポッド16インチディスクブレーキを採用するなど、オン&オフとも確実に走行と安全性能を高めている。
エンジンは、パワフルな走りを実現する3378cc V6の5VZ-FE型(最高出力185ps/最大トルク30.0kgm)、 2693cc 直4の3RZ-FE型(最高出力150ps/最大トルク35.9kgm)のツインカムガソリンエンジンの2基を設定した。ディーゼルエンジンは、高出力&高トルクですでに定評のあった2982cc 直4ディーゼルターボの1KZ-TE型(最高出力130ps/最大トルク29.5kgm)に、黒煙を減らす改良を加えて搭載している。そして、5VZ-FE型には4速AT、3RZ-FE型と1KZ-TE型には4速AT と5速MTが設定された。
なお、1KZ-TE型は1996年に、インタークーラーを備えて140psにパワーアップ、2000年にはコモンレール式燃料噴射システムを採用した2982cc・直4ディーゼルターボの1KD-FTV型(最高出力170ps/最大トルク24.0kgm)へと進化した。また、このマイナーチェンジでMT車を廃止した。
FRモデルのバリエーションも充実していたハイラックスサーフ
1998年には偏平タイヤとエアロパーツを備えたFRの2WD「スポーツランナー」を追加するなど、バリエーションを強化した。その際に、4WD車は標準ボディを廃止して全車ワイドボディとした。以降、一部改良を実施しながら、快適性能や安全性をさらに高めていった。
そして注目したいのは、3代目へモデルチェンジした際に一部のグレードは車両価格を下げたことも特筆したい。これまでのハイラックスサーフは「楽しく乗れたらそれでいい」といった面も見られたが、3代目サーフはまったく方向性が異なった。高いオンロード性能とオフロードの走破性をはじめ、居住性、快適性、安全性、そしてデザイン…。「すべてをクリアした上で、楽しく乗る」、そんなわがままなユーザーの意見をひとつずつクリアした、理想を形に描いたSUVだった。
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