祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす……とは、かの有名な平家物語の冒頭だが、端的に言えば「勢いある者もいずれは衰えていく」という意味である。これはどの世界でも言えることで、もちろんクルマ業界も例外ではない。
そう、クルマ業界でもまさに今伸び盛りの新興ブランドや昔ながらの老舗ブランドもある一方で、「昔よく聞いたのに最近めっきり聞かなくなった」というブランドも実は思い当たるのではないだろうか?
そんな「今はどうしているのだろう?」というブランドを集めてみた。あの懐かしのブランドの「現在」がわかる!?
※本稿は2021年10月のものです
文/岡本幸一郎 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年11月26日号
[gallink]
■今も存続する名ブランド
●ソレックス[キャブメーカー]
その昔、「ソレ・タコ・デュアル」とチューニング三種の神器の一つだったソレックス
キャブレターだけでなく、もともとモペットと呼ばれる原付自転車を製造していたのだが、ひとたび経営危機に陥るもシビエに買収され復活。現在は電動モペットの生産を手がけている。
●イルムシャー[チューニングメーカー]
オペルの日本再上陸が決まった今、イルムシャーのロゴが見られる日も近いかも!?
イルムシャーは関係の深かったいすゞが乗用車から撤退し、オペルが日本から撤退したのですっかりなじみがなくなっていたが、現在も会社は存続している。オペルが再上陸したらまた見られるかも?
●ウェーバー[キャブメーカー]
ソレックスと言われて一緒に思い出すのがウェーバー。愛車にこれをつけた方、多いのでは?
1988年にフィアットグループであるマニエッティ・マレリの傘下に収まり、現在はスペインでキャブレターの生産を続けつつ、ECUやスロットルボディなどクルマ関連パーツ製造もしている。
●ゲンバラ[チューニングメーカー]
版権の都合上ポルシェのチューニングカーを出せないがレースゲームでお馴染みのゲンバラ
ゲンバラは2010年に創業者が殺害される事件があったが、ほどなく新スポンサーのもとで再出発。それとはまったく無関係のゲンバラを冠する別会社を2020年に創業者の息子が立ち上げた。
●SEVマーシャル[ライトメーカー]
旧車のライトといえばマーシャル。当時は多くのレーシングカーでも使われていた
業績不振により同じフランスのシビエに吸収合併され、そのシビエもヴァレオに吸収された。ただし今でも旧車向けのヘッドライト等が同ブランドで生産されて新品購入も可能だ。
●FET極東[アクセサリー全般]
現在でもFETのレース用グローブなどが販売されている
2009年に灯火類を中心に自動車用部品製造を手がけるアサヒライズ株式会社と合併して同社の事業部となった。「FET」はそのオリジナルブランドとしてグローブやHIDバルブを展開している。
●ケーニッヒ[チューニングメーカー]
ドイツの歴史あるチューニングメーカーがケーニッヒ。今も路上で見かけるとその迫力に圧倒される
バブル期にド派手なエアロと圧倒的パワーで名を馳せた。近年ではすっかり存在感が薄れているが会社自体は存続している。現在はかつて手がけた車両メンテや中古車の販売を行っている。
●ACシュニッツァー[チューニングメーカー]
合法チューンを促すキャンペーンでパトカーの改造を手掛けたりも
BMW、MINI、ランドローバー、ジャガー、GRスープラなども手がけつつ存続している。ただし、別組織のレース部門は長年タッグを組んでいたBMWとの契約が終了し、今年春に活動終了した。
■創業会社や商品、ブランド自体が消滅したブランド
●ハルトゲ[チューニングメーカー]
日本法人で現在アルミホイールメーカーとして存続しているハルトゲ
かつてトミーカイラで知られるトミタ夢工場が日本に輸入していたが、2001年に日本法人が設立された。2019年に本国の法人が清算、消滅した。しかし日本法人は今も存続している。
●KKK[ターボチャージャー製造メーカー]
ポルシェでもお馴染みのターボだったKKK。その後買収されてしまった
1899年設立の会社で、1996年にターボ部門が米Schwitzer社とともに買収、ボルグワーナーターボシステムズ社となる。残るターボ以外の部門は2006年にシーメンスエナジーに買収された。
●ゼクセル[燃料ポンプメーカー]
燃料ポンプなどを製造したメーカーだがレーススポンサーのイメージが強いゼクセル。写真はグループNマシン
源流は1939年設立の「ヂーゼル機器」である。1990年にゼクセルに社名変更し、2000年に同社を母体に独ボッシュ日本法人傘下グループでボッシュオートモーティブシステム社となる。
●トランピオ[タイヤブランド]
1990年代の名スポーツタイヤだったが現在ではその名前を聞かなくなったトランピオ
TOYOのスポーティブランドで、レースの場でも1989年のグループAで金字塔を打ち立て多くの功績を残したが、2002年発売の「Vimode」を最後にその名称は用いられていない。
●パナスポーツ[ホイールメーカー]
DR30スカイライングループAでは多くのマシンがパナスポーツを装着していた
独特の美しい曲線や高額な価格設定から長らく憧れのブランドとして認識されてきたメーカーだったが、2018年に同社工場での旧来のホイールの製造および修理関係業務の中止を発表した。
●テキサコ[燃料メーカー]
シューズなどのアパレルでよく見るテキサコ。GSはテキサスに残されたのみだ
2001年の統合でシェブロンテキサコとなり、2005年にはシェブロンに改称しテキサコは消滅。ただし、創業の地であるテキサス州のみテキサコブランドのGSが残され今も販売されている。
■他にもあるぞ! あのブランドの今
今や星の数ほどあるクルマ関連ブランドだが、ここまでに取り上げてきたのはほんの一部。ほかにも懐かしのブランドを集め、ここでいっきに紹介していこう。
こうして見ると、今も根強く生き抜いたブランドもあれば、時代の荒波に逆らえず消滅したブランド、さらに消滅したが復活を遂げたブランドも存在することがわかる。
懐かしのあのブランドの現在
■時代が変われば会社も変わっていく。生き抜け、名ブランドたち!
ちょうどこの企画を進めている時、企画担当がドライブに行くとシェルのガソリンスタンドの看板が「アポロステーション」という名前に変わっており、「おいおい俺たちのハイオクVパワーはもう給油できんのか!?」とひとり驚きと悲しみに暮れたのだった。
今回の企画であのブランドの現在を振り返ったが、ブランドが途絶える時はパタッと途絶えてしまうし、復活する時はサクっと甦るケースが多い。愛着ある名前の消滅は惜しいが、続くものなら続いてほしい!
そう願うのも一ファンとしての思いである。コロナ禍やEVシフトで大波乱の現代だけど、生き抜け名ブランドたち!
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バブル感がハンパないね