■ターニングポイントになったのは2014年
ボルボのセールスが世界的に好調だそうです。
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2021年7月6日に発表されたプレスリリースによれば、2021年上半期の販売台数は前年同期比で、じつに41%増にあたる38万757台。日本でも前年同期比13%増で8428台を販売したそうです。売上高も前年同期比26%増で、これはボルボの94年の歴史のなかで最高の数字だったといいます。
ただし、新型コロナウィルス感染症の影響で生産や販売が伸び悩んだ2020年と比較するのは、あまりフェアとはいえません。なにしろ、ボルボは2019年に全世界で70万5452台を販売したのに対して、2020年は66万1713台と減少していたのですから、その分を取り返すかのように2021年度の販売が伸びるのは、ある意味で当然といえるからです。
長期的な視点で捉えると、近年のボルボが右肩上がりで順調に成長しているのは間違いないといえます。そのターニングポイントとなったのは2014年で、2013年まで40万台前半で推移してきた販売台数が2014年は46万5866台と増加傾向に転じ、そこから前述の2019年まで一直線に販売を伸ばしてきたのです。この間の伸び率はじつに51.4%。1年あたり10%を越す急成長です。
では、2014年になにがあったのでしょうか?
この年、ボルボは新世代製品群の第一弾としてXC90を発売しました。これは「SPA」というまったく新しいプラットフォームを採用したモデルで、後に同じSPAをベースにした「V90」、「S90」、「XC60」、「V60」、「S60」などが続々とデビュー。
さらに、同様な手法でよりコンパクトなモデル向けのプラットフォーム「CMA」を開発すると、これを用いた「XC40」を発売し、全モデルの世代交代を完了しました。そして2014年以降のボルボの成長は、こうした新世代モデルの投入と見事に軌を一にしているといえるのです。
新世代ボルボには、いくつかの共通した特徴があります。
エンジンは直列4気筒ないし3気筒のガソリンに一本化し、これをベースに過給器(ターボチャージャーもしくはスーパーチャージャー)やハイブリッドシステムをどう組み合わせるかでパワートレインのバリエーションを作り出したのです。
しかも、ふたつのエンジンは高度にモジュール化されており、生産工程の多くを共通化してさらなる効率化を図っています。
プラットフォームがSPAとCMAの2タイプに集約されていることは前述のとおり。つまり、ドライブトレインやプラットフォームの基本設計を最小限に留めることで生産効率を高め、車両開発や生産に伴うコストを低減しているのが、現在のボルボの特徴なのです。
■2030年までにすべてのボルボ車をEVにする計画
もっとも、コストを低減すれば会社の利益率は上がるかもしれませんが、必ずしも販売台数が増えるとは限りません。では、どうやって新世代ボルボはそのセールスを伸ばしてきたのでしょうか。
ひと目でわかるのは、その内外装のデザインです。外観はシンプルですが、非常にバランスのいい美しいデザインで、そのなかに北欧らしさやボルボらしさが巧みに表現されているように思います。
このデザインはトーマス・インゲンラート氏の手になるもの。インゲンラート氏はボルボ全体のデザインを統括しつつ、現在はEVブランドであるボルボの子会社、ポールスターのCEOを務めています。
インテリアデザインにもユニークで北欧らしさ、ボルボらしさが感じられます。
しかも、これはエクステリアデザインにも共通していえることですが、ただデザインがいいだけでなく、質感も高く、デザインや素材に費やされているコストは決して低くないと推測されます。
おそらく、生産の効率化で捻出したコストを、こうしたデザイン面に投じているのでしょう。また、インテリアではブロンドと呼ばれるホワイト系のカラーが選べるのもボルボの特徴です。最近のドイツ車は黒系のインテリアしか用意されていないことが多く、もっと明るい色調を期待する顧客がボルボに流れていると考えられます。
内外装のデザインとともに、もうひとつボルボが精力的に取り組んでいるのが安全性です。
ボルボが安全性の向上に熱心なことは古くから知られていますが、近年はとくにエレクトロニクスを用いた先進運転支援システムを積極的に装備しており、この分野ではメルセデス・ベンツなどと並んで世界のトップクラスに位置しています。
もっとも、いくら魅力的な製品を投入しても、デビューから1年、2年が過ぎるとセールスは下降傾向を示すのが自動車業界の常識です。ちなみに、主力モデルのなかで最新作といえるのは前述のXC40ですが、そのデビューは2017年で、もう4年も経っています。にもかかわらず、ボルボ車が全般的に人気なのは、なぜでしょうか?
環境意識の高いボルボは電動化にも熱心で、すでに全モデルがPHVもしくは48Vマイルドハイブリッドのどちらかを搭載しています。
こうした取り組みを含めて、「人々に寄り添う」というボルボのフィロソフィーが現代という時代にマッチしているのは間違いないと思います。つまり、近年のボルボの成功は、製品自体のよさもさることながら、その企業姿勢が社会的に受け入れられている側面が強いと思われるのです。
いっぽうでボルボはさらなる変革に挑もうとしています。
2030年までにすべてのモデルをEV(電気自動車)に切り替えるほか、自動運転技術の開発を急ぎ、安全性のさらなる向上を目指すというのです。
こうした新製品は数年以内に発売されるはずですが、その成否が、次の10年間のボルボの成長を決定づけることになるでしょう。
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みんなのコメント
いや所有すれば分かりますよ
XC90を2016と2019年と買い替えてます
30年輸入車に乗り続けてますが同じモデルの買い替えは初めて
アンチなコメントは買えない層なのかな
中国資本で上手くいった数少ない例でしょう