■1家に1台じゃなくて1人1台のクルマ県だから
群馬という県名が「車」に由来するのをご存知だろうか。およそ1300年前、藤原京(694~710年)時代の資料によると、現在の群馬県のなかに車評(くるまのこおり)と呼ばれていた地域があったとされる。奈良時代に入ると、和銅6年(713年)の諸国の風土記編集の勅令により、国、郡、郷名はその土地にあった漢字二文字で表すこととされ、国名「上毛野国(かみつけのくに)」は「上野国(こうずけのくに)」に、郡名「車(くるま)郡」は「群馬(くるま)郡」に改められた。(群馬県のホームページ「県名の由来」から引用)。
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群馬県はクルマ県なのか。一般財団法人「自動車検査登録情報協会」がまとめた令和4年3月末時点における自家用乗用車(登録車と軽自動車の合計)の都道府県別の世帯当たり普及台数のデータによると、1位の福井、2位の富山、3位の山形に続く4位で、世帯当たりの普及台数は1.593台。
確かにスバルのお膝元だし、自動車関係のサプライヤー工場も多く、関越道に北関東道、上信越道と高速道路網も発達している。都内のような酷い渋滞はないし、ちょっと足を伸ばせば海、山、湖がすぐそこにある。
そんなカーライフを存分に楽しむための環境が整った「クルマ県」こと群馬で毎年開催されている「クルマの夏祭り」が、群馬パーツショー2023(GPS)。7月7日(金曜日)から9日(日曜日)までの3日間、Gメッセ群馬で開催された。
■物販とキッチンカー、オーナーズミーティングと内容盛りだくさん
主催はGTG群馬トヨタグループ。有名アフターパーツブランド、プロショップ、キャンピングカービルダーなど90社以上が出展し、イベント特別価格でカスタムパーツやグッズ、オーディオを展示販売。四駆つながりでJAFのサービスカー(FJクルーザー)や自衛隊の高機動車が展示され、土日は群馬を中心に活躍する実力派キッチンカーが25台以上そろい、絶品グルメやドリンク、スイーツを味わえるキッチンカーが大集合。オーナーイベントは「レッツゴー4WDフェスin群馬」、86とGR86、BRZ限定の「GUNMA SONIC」が開催され、縁日の屋台のような賑わいで来場者を楽しませた。
■2000年からスタートした歴史あるカーイベント
GPSの歴史は古く、第一回は2000年。当時は「RVパーツショーin群馬」の名称で、2014年から現在のGPSに。新型コロナウイルス感染症の影響で中止になった2020年を除くと、毎年欠かさず開催されている。なぜ群馬という限られた地域のローカルなイベントが長年継続し影響力を持つのか。その理由を事務局の群馬トヨタ株式会社 特車部 RV-Park店長の重田 浩さんに聞いた。
■縁日の屋台的なノリからビッグイベントに成長
「もともとは私どもが展開している『RVパーク』が約30年前にオープンして、お店の周年祭の縁日的な感じでやっていました。そこに取引している業者さんがブースを出したらモノが売れて、1社、2社と増えていくうちにお店の庭先では収まりきらなくなって、ビエント高崎ビッグキューブという施設でRVパーツショーを開催したのがミレニアムの2000年。
当時はスポーツ系カテゴリーの扱いがなく、RV系のパーツメーカーを中心に35社ぐらいの出展社数からスタートして、今回はクルマの用品関係だけで90社以上、その他も含めると100を超える出展社が集まりました。2012年に86が発売され、エリア86が出来て……という流れのなかでG’s、GRスポーツなどスポーツ系のカテゴリーが増加。2014年にRVが取れて現在の群馬パーツショーに名称を変更しました。おかげさまで年々出展社と来場者が増えて、2021年から会場のキャパシティが大きいGメッセ群馬で開催しています」
■エンドユーザーとメーカー/ショップの交流の場
今はスマホの画面からワンクリックでモノが気軽に買える時代で、昔ながらの対面販売は敬遠されがち。情報はSNS上にあふれていて、必要な情報のみをユーザーが自身の責任において取捨選択することになるのだが、なかには“ステマ的”なものや真偽不明な内容もあって玉石混交。だからこそ、一見アナログに思えるGPSのような展示会を開催する意義や価値があるという。
「メーカーサイドからするとエンドユーザーさんがどんな商品を求めているのか、率直な意見や感想を直接聞くことができて、逆にユーザーさんはメーカーがどんな思いで商品を作ったのかを知ることができるいい機会になります。ユーザーの生の声を商品開発に生かしたり、出展社同士の横のつながりから新たなビジネスにつながったり。そんなユーザーとメーカー双方にとって意義のある場を提供したいという我々の思いは、イベントの発足当初からブレずに変わりません」
「何か意図的に仕込むとか、売り上げを増やそうといったことはあまり考えていなくて、シンプルにイベントの3日間で得たものを翌年に生かす。軸足を大きくズラさずにやってきたことが、長続きしている秘訣なのかもしれません」と語る重田さん。メーカーとユーザー、双方にとってネット上にあふれるさまざまな情報や噂の「リアルな答え合わせの場」がGPSなのかもしれない。
<文=湯目由明 写真=山内潤也>
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