3月1日、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは公式サイトに『2024年安全性向上策』と題したニュースリリースを公開した。2024年シーズンからはコーナリングスピードを抑制して安全性の向上を図るとし、GT500とGT300の両クラスでコーナリングスピードを抑制するための規定変更が行われる。
ふたつのクラスが同じコース上を混走で争うスーパーGT。GT500はクラス1規定からの流れをくむ車両規定および、複数メーカーによるタイヤコンペティションなどで、そのコーナーリングスピードは非常に高いものになっている。
15台が参加し鈴鹿でスーパーGT GT500クラスのメーカーテストがスタート。初日はau TOM’Sが最速
一方で、そのスピードの高さはレースを楽しむファンにとって迫力あるものになるが、昨季2023年シーズンでは第3戦鈴鹿でのMOTUL AUTECH Z、第6戦SUGOでのSTANLEY NSX-GTなど、大きなクラッシュに繋がる恐れもある。
そこでGTアソシエイションは、今季2024年シーズンはGT500とGT300両クラスの参戦車両において、最高速度とコーナリングスピードを抑制し、競技での安全性向上を図る対策を実施することになった。
まずGT500の車両では、スピードに直結するダウンフォース量を従来から軽減するため、車両の最低地上高を規制しているスキッドブロック(車両底面に付けられた板状のパーツ)の最小厚さを増やすことにより、車両の最低地上高が5mm上げられる。
GT300車両では、これまで各大会ごとに行われていた車種別の性能調整(BoP/バランス・オブ・パフォーマンス)とは別に追加の重量が搭載されることになった。各車両の追加重量については2月26日付けの『2024 GTAブルテン No.001-T』で発表され、すべての大会で下表の重量が追加される。これによりGT300は『最低重量+BoP重量+追加重量の合計』が車両重量となる。
1. FIA-GT3
車両公認番号最低重量追加重量ホンダNSX GT3 2022GT3-0471260kg+51kgBMW M4 GT3GT3-0531265kg+51kgランボルギーニ・ウラカンGT3 2019GT3-0401230kg+37kgランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2GT3-0541250kg+38kgレクサスRC F GT3GT3-0461300kg+39kgメルセデスAMG GT3 2020GT3-0421285kg+39kgニッサンGT-RニスモGT3GT3-0481285kg+52kgフェラーリ296 GT3GT3-0561275kg+51kgアストンマーティン・バンテージAMR GT3エボGT3-0511265kg+51kg
2. GTA-GT300・MC(マザーシャシー)
車両最低重量追加重量スバルBRZ1200+36kgレクサスLC500h1250+38kgトヨタ・スープラ1250+38kgトヨタGR861250+38kgトヨタ86 MC1100+33kg
GTアソシエイションによると「追加重量は、2022年シーズンまで開幕戦岡山大会で適用していた特別BoPと同様の基準で、各車両の最低重量とエンジンのNA(自然吸気)/ターボチャージャーの差を元に一定の比率で算出されたもの」だという。
また「コーナリングスピードの抑制策としては空力性能の抑制も考えられるが、FIA-GT3車両の公認とBoP検討への影響を考慮し継続して検討しており、2024年シーズンスタートにおける対応策として今回の追加重量を搭載することにした」と説明している。
なおGT300では、2024年はシーズン中の最大サクセスウエイト搭載量が昨年までの100kgから80kgに変更になることがすでに明らかになっている。その変更については、今回の追加重量が設定されることで各車の車両重量が増加となるため、従来のサクセスウエイト搭載量では安全面で支障が出る可能性があったため、サクセスウエイトは80kgに軽減されたとのことだ。
GTアソシエイションはあわせて「絶対的な安全対策は存在しないため、シーズン中もスポーティング、テクニカルの両面でさまざまな角度から安全対策の検討を継続していく」としている。
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