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ロードテスト メルセデス・ベンツXクラス ★★★★★★★☆☆☆

掲載 更新
ロードテスト メルセデス・ベンツXクラス ★★★★★★★☆☆☆

もくじ

ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆
ー乗り味 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★☆☆☆

新型アウディA1スポーツバックに試乗 英主力「30 TFSI」

はじめに

今回取り上げるクルマは、世界的なプレミアムブランドが生み出したピックアップ・トラック。世界中の国の人々が待ち望んでいた、革命的な小型商用車として受け入れられるのか。はたまたチョコレートでできたティーポットや、拡縮自在のダーツボードのように、意味のなさない冗談なのか、読者の第一印象はどちらだろう。

世界で最も古いプレミアムブランドなら、荷物で汚れる荷台を持った実用車を、富裕層が欲しがるようなラグジュアリー・ビークルに仕立てることはできるのだろうか。そもそもこんなピックアップを買うひとは、ピックアップというスタイルを欲するのか、実用性が目的なのか、疑問は膨らむ。

そんなメルセデス・ベンツXクラスが今回のテーマ。グレードは中間に位置する、X250dで、2018年にモデルルームにお目見えしたばかり。このクルマをヨーロッパのプレミアムブランドとしては初めてとなる、ミドルサイズのピックアップ・トラックだとメルセデスは主張する。しかし、フォルクスワーゲンがアマロックによって、「ライフスタイル・フラットベッド」と呼ばれる、ピックアップのあるひとつ上の暮らしを提案したことは、見逃せない事実だと思う。

反面メルセデスも、SUVに関しての実績は少なくない。なにしろ俊足を誇るゲレンデ・ヴァーゲン(写真:日本では珍しいピックアップ)がセレブの間ではファッションアイテムのひとつにまで成長しているのだから。

それでは、このクルマの場合はどう見られるだろう。特に、ルノー・日産・三菱とのジョイントベンチャーから生まれたクルマであり、プラットフォームは日産ナバラやルノー・アラスカンと共有しているのだ。

この冗談じみたメルセデス・ベンツが、ライフスタイルや日々のドライブを新鮮なものにしてくれるのだろうか。ピックアップ・トラックは、やはり実用主義の道具なのか、あるいは大型のファミリーカーの代替となる洗練性を備えられるのか。もやもやした気持ちを晴らしてみたい。



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

英国の路上にメルセデス・ベンツXクラスが出現して1年近くが経つが、当初は最上位グレードとなるV6エンジンを搭載したX350dのみだった。パートタイム四輪駆動ではなく、センターデフも備わらない実用主義のパーマネント四輪駆動システムを採用している。このクルマは世界中のマーケットにリリースされ、南アフリカやオーストラリアへは2018年に、南アメリカへも2019年に販売が開始される。

メルセデス・ベンツはこのXクラスのを、他のモデルとのシームレスな関連性を感じ取れるスタイリングに仕上げたと主張する。なるほど、2本のルーバーを備えた堂々としたフロントグリルに、彫刻的なボンネット、フロントマスクを横方向に引き締めるヘッドライトなど、前半部分の佇まいはメルセデスだ。

しかし、根本的にその他の成り立ちの大きく異なるメルセデスのモデルたちと、Xクラスとをシームレスな一群として認識させる、というメルセデスの主張はやや無理も感じられる。多くの人たちは、Sクラスに見えるようなピックアップ・トラックは望んでいないと思う。そもそも、上辺だけのスタイリング処理だけで、Xクラスが本当に高級志向のデザインを獲得できているとすることに、疑問に感じてしまう。

うねりを伴うベルトラインの造形や、立体的なボンネット、ふくよかなフェンダー周りなど、少なくともアピアランスは悪くない。しかし残念ながら日産ナバラ(写真)も、似たようなスタイリングの特徴を持っている。この2台の関係性を知ってしまうと、その類似性に思わず注目してしまうはず。

英国で選択できるXクラスは、今のところディーゼルエンジンがふたつ。エントリーグレードとなるX220dは163psと40.9kg-mを発生し、中間グレードのX250dの場合189psと45.8kg-mを発生する。どちらもエンジンは日産製の2.3ℓ4気筒エンジンだが、X250dのみにパートタイム四輪駆動システムが搭載される。今回のテスト車両はこちら。もしメルセデス製のエンジンとフルタイム四輪駆動システムがほしいなら、258psを発生する3.0ℓのV6エンジンを搭載したX350dが選択肢となるだろう。

Xクラスは4ドアのダブルキャブのみのランナップで、ライバルモデルと異なりシングルキャブなどのバリエーションは選べない。ボディの全長は5340mmで、ホイールベースは3150mmとなっており、日産ナバラと驚くことにほとんど同値。フォルクスワーゲン・アマロックより大きく、フォード・レンジャーより小さい。現代のピックアップは、そのボディサイズから、都市部で駐車場を見つけるのに少々の労力が必要となる。しかし、Xクラスより大きいボディのモデルもあるから、一番大変、ということではなさそうだ。

シャシーまわりは、オンロードとオフロードの走行性能を両立させるため、メカニズム的にやや妥協した構成に思える。ラダーフレームシャシーに、ソリッド・リアアスクルがマルチリンク・サスペンションによって支えられている。フロントは左右独立したサスペンションで、4輪ともコイルスプリングにベンチレーテッド・ディスクブレーキを装備している。悪路の走破性という面では、ローレンジ・ギアが標準装備で、リアディファレンシャルのロック機能はオプションだ。

荷台の大きさは、幅、奥行きともに1.5m以上確保されており、クラス平均寄りは大きく、最大積載量は1.1トン。最大牽引能力はグレードを問わず3500kgとなる。最低地上高は221mm、最大渡河水深は600mmとなっている。



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

内装 ★★★★★★★★☆☆

プレミアム・ピックアップ・トラックと聞くと実感が湧きにくいものの、Xクラスの車内は、品質の面でも仕上がりの美しさでも、ライバルを凌駕する水準を得ている。

間違いなく、実用主義的なレイアウトには変わりないものの、日産ナバラとの関係性を上手に覆い隠すように、メルセデス・ベンツはXクラスの内装を仕立てている。ひとつひとつのスイッチ類は大きく、ダッシュボードやドアパネルには、プラスティックが目立つけれど。

クロームメッキされた、Xの形状をしたエアベントのフィンが車内空間の雰囲気を引き立て、7インチのインフォテインメント・システム用モニターがダッシュボード上部に美しく据えられる。細かいパターンが施された大面積のダッシュボードパネルが、車内下部で目立つプラスティック製の部品へ視線が向かないように、上手に誘導しているように思う。

Xクラスの車内空間は、最もライバル関係にあるであろう、ナバラやアマロックと比較しても明らかに視覚面で魅力的だが、決して機能性や耐久性を犠牲にしているようにも感じられない。汚れやすい主要な部分は丈夫そうな素材で覆われているから、たとえ泥だらけの長靴で乗り込んだとしても、汚れがこびりつくこともなく、掃除も簡単に済みそうだ。

ボディはダブルキャビンということもあり、大人5名分のシートが備わり、車内空間は使いやすい広さがある。後部座席の背もたれの角度が垂直気味だが、ルーフラインは車体後方に向けて高くなっているから、頭上空間にも不足はないだろう。

膝周りの空間も妥当なもの。通常の車より座面が低い位置にあり、膝の裏が座面から離れてしまうひともいるはず。しかし、これはどのピックアップトラックでも共通するものではある。


▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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走り ★★★★★★★☆☆☆

メルセデス・ベンツとしては、Xクラスをハイエンドなピックアップ・トラックとして売り込もうとしている中で、日産製のディーゼルエンジンは紛れも無く、農場向きの実用型ユニット。他のピックアップが搭載するエンジンよりマシではあるものの、明らかにガラガラとしたディーゼル音が目立つ。

ライバルのフォルクスワーゲン・アマロックに搭載されている3.0ℓV6ガソリンエンジンは、かなり洗練されている。ただ、メルセデル製のV6ディーゼルエンジンなら、期待できる洗練性を備えているはず。

メーカーが公表するXクラスの車重は2195kgとなっているが、われわれが計測した車重は、ガソリンが満タンの状態で2320kg。2tを超えるだけあって、4気筒エンジンはどんな場面でも頑張らなければならない。0-96km/h加速は、遅いといわざるを得ない11.2秒。48kmから112km/hへの加速でも、11.6秒を要している。エンジンはかなりの轟音を立てるが、音に見合う加速ペースは得られていない。

ちなみに、2012年にテストしたフォード・レンジャー・ワイルドトラックは5気筒エンジンを搭載するが、0-96km/h加速では10.8秒で、48kmから112km/hへの加速は10.6秒だった。

3速の最大回転数での車内音は67dB。シフトアップすると重さを実感し、パワーにも余裕はほとんどないため、加速時のトラクション不足とは無縁。1500rpmから2500rpmの間で発生する最大トルクは45.8kg-mもあるから、出だしに関しては充分な加速をする。しかし、7速ATはどこか変速時でもたつくような素振りも見られた。特に極めてスムーズというわけでもないものの、通常に加速する範囲では、スムーズに変速を繰り返してくれる。

ブレーキングでは、96km/hから停止までに要した時間は3.17秒。減速時の操縦性や安定性には不満も見られなかった。激しく減速すれば重心が前方に移動し、ノーズダイブも大きいものながら、背の高く車重の重い車であることを考えれば、想定通りのレベルにはある。ちなみに、フォード・レンジャーが96km/hから停止までに要した時間は3.19秒だった。

テストコース

おなじみミルブック自動車試験場の丘陵ルートだが、2.3tのピックアップにとってはかなりの難敵。ダカールラリーのレース車両がF1のサーキットに挑むようなものだ。しかしXクラスは、ノーズヘビーな重量バランスとボディ剛性の不足を感じさせない、素晴らしい身のこなしとバランス性を披露した。

ボディロールも想像以上に抑制されており、フロントへ大きな荷重がかかった状態であっても、ステアリングに伝わってくるキックバックもほとんど看取されない。法定速度の範囲なら、シャシーに対しての不満はまったく感じないだろう。ESPシステムは完全にオフにすることができず、メルセデスがかなり安全志向に設定していることが伺える。

ダイレクト感に乏しいX250dのステアリングフィールもあり、ボディロールのマナーは優れていても、T2セクションにあるような急なヘアピンは苦手分野。T5セクションのダウンヒルでは、たとえグリップ限界を迎えていなくても、ESPが頻繁に介入してくる。この挙動には気を揉むひとも少なくないだろう。

発進加速

メルセデス・ベンツXクラス X250D プログレッシブ 4マティック
テスト条件:乾燥/気温16℃
0-402m発進加速:18.2秒(到達速度:123.1km/h)
0-1000m発進加速:33.5秒(到達速度:154.0m/h)
48km/h-112km/h加速/4速:12.2秒

フォード・レンジャー・ワイルドトラック 3.2 ダブルキャブ(2012年)
テスト条件:乾燥/気温18℃
0-402m発進加速:18.3秒(到達速度:125.6km/h)
0-1000m発進加速:33.3秒(到達速度:157.8km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:11.6秒

制動距離

メルセデス・ベンツXクラス X250D プログレッシブ 4マティック
テスト条件:乾燥/気温16℃
97-0km/h制動時間:3.17秒

フォード・レンジャー・ワイルドトラック 3.2 ダブルキャブ(2012年)
テスト条件:乾燥/気温18℃



▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆

Xクラスに標準装備されるのは、メルセデス製のオーディオ20 CDと呼ばれるインフォテインメント・システム。7.0インチのタッチモニターがダッシュボードに備わり、他のモデルと同様に、タッチパッドとロータリースイッチが付く。しかし、走行中はタッチパッドの使い勝手が悪く、右利きの場合は特に、ロータリースイッチの方が使いやすく感じるだろう。システム自体は、入力から表示が切り替わるまでに明らかな時間の遅れがり、反応は鈍いといえる。

ブルートゥース接続機能やデジタルラジオ、ナビゲーションシステムなど、機能自体に不満はない。追加で2670ポンド(38万円)を支払えば、コマンド・オンライン・ナビゲーションシステムが選択でき、標準より一回り大きい8.4インチの高精細モニターが装備され、3Dマップにリアルタイムの交通情報などの機能も利用できるようになる。

今回のテスト車両には、1098ポンド(15万円)のパーキング・パッケージが装備されていた。ボディに搭載されたカメラ映像を合成し、車両の周り360度の俯瞰映像がモニターに表示することができ、全長5.34mの駐車にはかなり有用だった。

後部座席はベンチシート形状で、頭上空間も広々。膝周りの空間も含めて、不満はない。ただベンチシートの中央は、身体を支持することが難しいだろう。荷室は大きく、積載量も1t以上。今回のテスト車両には、雨を防いでくれる金属製の堅牢なトノカバーが装備されていた。

視界

Aピラー自体は太いが、前方、側方ともに、大きなガラス面積のおかげで視界はかなり良好。反面、後方視界はそれなり。

燈火類

今回、ヘッドライトに関しては評価していない。

ステアリングとペダル

ドライビングポジションは、アップライト気味に座りステアリングを上から持つコマンドポジション的なもの。ステアリングホイールの位置調整は、チルト、テレスコピックともにやや不足気味ながら、着座姿勢自体は快適だ。



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



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乗り味 ★★★★★★★☆☆☆

メルセデス・ベンツはXクラスをオフロードにも耐えうる堅牢なピックアップでありながら、都市部で暮らす家族にも適したクルマだと主張している。しかし、その言葉は鵜呑みしないほうが良いだろう。確かにライバルと比べれは、普通のクルマに近いとはいえなくもないけれど。

ステアリングが重いということはないが、ロックトゥロックは3.4回転で、かなりスローな設定になっている。思った通りにクルマの向きを変える場合、通常の感覚以上にステアリングを回す必要がある。ピックアップ・トラックなら一般的な設定だが、Xクラスは平均よりも運転しやすいとは思う。ただし、トヨタ・ハイラックスの方がよりレスポンスに優れ、ダイレクトなフィーリンがあることも確かだ。

ワインディングを走っても特に楽しい部類ではないものの、積極的にコーナリングしても、大波に翻弄される小舟のようなことにはならない。明らかにボディは前後左右へ大きく傾き、かなり強引にスタビリティコントロールも介入はしてくるが、フロントタイヤのグリップ力に不足は感じられないからだろう。

加えて乗り心地は、洗練されたサスペンションのおかげで、良好といえるレベル。空荷状態でも、激しく揺さぶられるというようなことはないが、荒れた路面を走行すると、パタパタと後輪が暴れるような振動は伝わってくる。しかし我慢が必要というほどでもなく、重い荷物を詰めば改善すると思う。

高速道路での振る舞いも、Xクラスは商用車という雰囲気は薄い。ディーゼルエンジンのノイズはしっかり聞こえてくるものの、快適で落ち着きを感じられる乗り心地を味わえる。とわいえ、一般的にSUVと呼ばれるクルマの水準と比較すれば、明確に劣っていることは間違いないけれど。



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▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

英国の場合、原則として二酸化炭素の排出量や購入金額に依存しない、小型商用車扱いになる。欧州では一般的な、会社が社員に貸与するカンパニーカー制度での税金面の優遇は大きく、ランニングコストは驚くほど低くなる。カンパニーカーとして中型のSUVからXクラスのようなピックアップに乗り換えると、数百ポンド(数万円前後)は毎月の維持費が少なくなると考えられる。その条件はX350dでもX220dでも変わらないから、メルセデス・ベンツとしてもメリットがありそうだ。

Xクラスには、ピュア、プログレッシブ、パワーの3段階のグレードがある。トップグレードのパワーには、キーレスゴーにLEDヘッドライト、電動シート、ARTICO人工レザー内装、オートエアコンなどが標準装備される。また運転支援システムも充実しており、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト、交通標識認識システムなどが備わる。

4万ポンド(580万円)クラスのSUVとは同等ではないものの、Xクラスは決して時代遅れというわけでもない。先進的でもないけれど。

3年後、5万8000km走行時の残存価値に関しては、今回は検証していない。



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スペック

レイアウト

日産とのパートナーシップによりよるメルセデス・ベンツとして初めてのピックアップ・モデル。X
クラスは日産ナバラと同じラダーフレーム・シャシーを使用する。ボディは、全幅が広げられ、サスペンションは乗り心地を向上させるために、手が加えられている。四輪駆動となるが車重は重く2.3tに及び、前後重量配分もかなり前よりとなる。リアはリジッドアスクルとなるが、サスペンションは、リーフスプリングではなくコイルスプリングを採用している。

エンジン

駆動方式:縦置きフロントエンジン/四輪駆動
形式:直列4気筒2298cc ターボ
燃料:軽油
ブロック/ヘッド:アルミニウム/アルミニウム
ボア×ストローク:φ85.0×101mm
圧縮比:15.4:1
バルブ配置:4バルブ
最高出力:189ps/3750rpm
最大トルク:45.8kg-m/1500-2500rpm
許容回転数:4250rpm
馬力荷重比:79.1ps/トン
トルク荷重比:21.2kg-m/トン
エンジン比出力:82.1ps/ℓ

シャシー/ボディ

構造:スチールボディ/スチールラダーフレーム
車両重量:2159kg/2320kg(実測)
抗力係数:未計測
ホイール:(前)7.5Jx18/(後)7.5Jx18
タイヤサイズ:(前)255/60 R18/(後)255/60 R18
タイヤ銘柄:コンチネンタル・プレミアムコンタクト6
スペアタイヤ:フルサイズ・スペアタイヤ

変速機

形式:7速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
(1)4.89/5.0 (2)3.17/7.6 (3)2.03/11.9 (4)1.41/17.2 (5)1.00/24.2 (6)0.86/28.0 (7)0.77/31.3
最終減速比:3.69:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.45km/ℓ
ツーリング:12.6km/ℓ
動力性能計測時:5.5km/ℓ

メーカー公表値:消費率
市街地:10.4km/ℓ
郊外:14.4km/ℓ
混合:12.6km/ℓ

燃料タンク容量:80ℓ
現実的な航続距離:756km
CO2排出量:207g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング/ダンパー
後:リジットアスクル/マルチリンク/コイルスプリング/ダンパー

ステアリング

形式:ラック&ピニオン(油圧アシスト)
ロック・トゥ・ロック:3.4回転
最小回転直径:13.4m

ブレーキ

前:φ320mmベンチレーテッド・ディスク
後:φ308mmベンチレーテッド・ディスク

静粛性

アイドリング:44dB
3速最高回転時:67dB
48km/h走行時:56dB
80km/h走行時:62dB
113km/h走行時:65dB

安全装備

ESP/ABS/EBD/ABA/ASR/牽引スタビリティ・アシスト
Euro N CAP:★★★★★(X250dパワー/左ハンドル/2017年)

発進加速

実測車速mph(km/h)秒
30(48) 3.5

40(64) 5.6

50(80) 7.9

60(97) 11.2

70(113) 15.1

80(129) 20.2

90(145) 28.0

100(161) 38.9

110(177) –

120(193) –

130(209) –

140(225) –

150(241) –

160(257) –


中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速
20-40(32-64) – 4.1 – – – –
30-50(48-80) – 4.3 5.5 – – –
40-60(64-97) – – 5.9 8.1 – –
50-70(80-113) – – 6.7 9.1 10.0 –
60-80(97-129) – – – 10.6 11.5 14.1
70-90(113-145) – – – – 14.4 18.0
80-100(129-161) – – – – – –
90-110(145-177) – – – 7.2 9.5 –
100-120(161-193) – – – – – –
110-130(177-209) – – – – – –
120-140(193-225) – – – – – –
130-150(209-241) – – – – – –


各ギアの最高速

1速 33.8km/h 4250rpm
2速 51.5km/h 4250rpm
3速 82.0km/h 4250rpm
4速 117.4km/h 4250pm
5速 165.7km/h 4250rpm
6速 175.4km/h 3890rpm
7速 175.4km/h 3486rpm(メーカー値)





▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論



▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

結論 ★★★★★★★☆☆☆

ピックアップとしてはベストではないものの、しっかり「メルセデス」を感じ取れる

メルセデスとしては、Xクラスを小型商用車ではなくGLCのようなプレミアムSUVとして、ひとつのトレンドを生み出したいと考えているのだろう。そうすることで、業界を牽引する販売台数も見込めるからだが、AUTOCARとしても、納得できなくはない。

日産ナバラをベースにしているものの、実用性を一切犠牲にすることなく、遥かに洗練された独自性を獲得している。特にリアサスペンションの仕上がりは素晴らしく、ピックアップ・トラックとして、一般道での洗練性の新たな基準を作り出した。ダブルキャブの車内は広々としており、実用性の高さと、質感の高さを両立させている。

世界各国で大きなニーズがあるクルマだとは思えないものの、高級なピックアップ・トラックを求めているひとにとっては、非常に魅力的なモデルが登場したと感じられるだろう。

惜しむらくは、日産が供給しているディーゼルエンジン。ガラガラとした音で主張しがちで、メルセデス・ベンツに期待する水準には至っていない。また、ハンドリングもピックアップ・トラックとしては素晴らしいが、一般的なSUVのそれではなく、あくまでもピックアップ・トラックの範疇での評価に留まってしまうのだった。

担当テスターのアドバイス

サイモン・デイビス 標準装備されるリアビューカメラは、駐車する際に重宝する。ただし、Xクラスの7インチモニターに表示される物体の距離感がつかみにくく、映像以上に実際はかなり至近距離まで接近していて、困惑した。

リチャード・レーンこれまでにないほど洗練されたピックアップ・トラックであることには違いない。しかし、メルセデスのプレスリリースには、50ℓのビール樽が17本も積めることにも、こっそりと触れていた。もちろん、商業利用も不可能ではないのだ。

オプション追加のアドバイス

標準装備のインフォテインメント・システムは少し残念な仕様だが、それ以外の面ではX250dの装備は充実していた。1098ポンド(15万円)の360度モニターは、利便性が高い。もし資金に余裕があるのなら、メルセデス・コマンド・オンライン・インフォテインメントも2670ポンド(38万円)で選んでおきたい。

改善してほしいポイント

・パワートレインをもっと洗練させてほしい。
・スマートフォンや鍵などを置ける、小物入れが車内に不足している。
・小石などを跳ね上げた音が車内に響くのは改善した方がいいだろう。



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