6月22日(木)~25日(日)にアフリカ、ケニア開催されたWRC世界ラリー選手権第7戦『サファリ・ラリー・ケニア』では、既報のとおりのTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)が2年連続でトップ4を独占する快挙を成し遂げた。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの1期生として参戦した勝田貴元は、コドライバーのアーロン・ジョンストンとともにトヨタGRヤリス・ラリー1を駆って4位でフィニッシュし、TGR-WRTの1‐2‐3‐4フィニッシュ達成に貢献することとなった。
2021年からWRCのカレンダーに復活したサファリ・ラリーは、WRCのなかで“もっとも過酷”なイベントとして知られているが、それと同時に、勝田が結果を出しているラリーのひとつでもある。2021年大会ではチームメイトのセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)と最後まで優勝を争い、自身にとってWRC初表彰台となる総合2位を獲得。また2022年大会は総合3位に入り、TGR-WRTによるトップ4独占の一角を担った。
トヨタ、サファリラリーで偉業達成。ラトバラ代表「ふたたび1-2-3-4ができるとは思っていなかった」
3年目となる2023年、前年に引き続き表彰台獲得を目指し、勝田はシェイクダウンから気合いの入った走りを見せる。そのシェイクダウンの最後の走行では横方向に2回転するクラッシュに見舞われ、マシンはボディに大きなダメージを負ったが、チームによる懸命の修復を受けて再出走を果たすことができた。
チームへ感謝を表明した勝田はすぐに気持ちを切り替え、金曜日のデイ2から攻めの走りを披露。午前中にサスペンションアームを破損し、午後はパンクに見舞われるなどアクシデントに遭遇したものの、度重なるアクシデントに負けることなく何度か良いステージタイムを記録し、総合5番手で金曜日を走り切った。
続く土曜日のデイ3は今大会中、最長ステージ距離を走る長い1日となったが、ここでも勝田は好走を見せた。午後のSS12“エルメンテイタ2”で今大会初となるベストタイムを記録した勝田は、チームメイトのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)と順位争いを展開。一時は総合3番手に浮上したものの、デイ3の最後に待ち受けた難関ステージ“スリーピング・ウォーリアー2”は大雨によって路面が泥状に変化しており、ここでも攻めの走りを続けた勝田はスピンを喫してしまう。それでも勝田は総合3番手のエバンスとの差を16.7秒に留め、総合4番手でデイ3を終えた。
最終日のデイ4も厳しいコンディションでの戦いとなったなか、勝田は深い轍が掘られ、大量の砂に覆われたSS18“オセリアン2”で大会2度目のベストタイムを記録。デイ2に続いてエバンスと最後まで表彰台争いを展開したが逆転には届かず、エバンスと25.3秒差の総合4位でラリーを終えることとなった。惜しくも3年連続となる表彰台フィニッシュの達成とはいかなかったものの、総合4位でのフィニッシュは勝田にとって2023年シーズンのベストリザルトだ。また、勝田が4位でフィニッシュしたことにより、TGR-WRTは過酷なサファリで全車が完走し、2年連続でトップ4を独占する快挙を成し遂げている。
TGR WRTを率いるヤリ‐マティ・ラトバラ代表は、過酷なケニアにおいて3年連続で結果を残した勝田を評価し、同時に出走を支えたチームに対しても賞賛の言葉を述べた。
「(勝田)貴元がケニアに3回出走し、2位、3位、4位という結果を残しているのは素晴らしいことだし、このような過酷なラリーでそのような結果を出しているのは驚くべきことだ」
「また、週末に何度も貴元のクルマを修理したメカニックたちには感謝しなければならないね。彼らの献身的な仕事なくして貴元を走らせ続けることはできなかったと思うし、チームの1‐2‐3‐4フィニッシュという素晴らしい結果を達成することもできなかっただろう」
■勝田「みんなが素晴らしい仕事をしてくれた」
「今週末は色々なことが起こりましたが、チームが毎回、本当に素晴らしい仕事でクルマを直してくれたお陰で完走することができました。自分自身のリザルトは望んでいたほど良くなかったですが、チームにとっては素晴らしい結果になりました」と勝田は感謝を表しながらも悔しさを滲ませ、次のように続けた。
「エンジニア、メカニック、デザイナーなどみんなが素晴らしい仕事をしてくれたお陰で、クルマは今回もケニアで強さを発揮しました。クルマのフィーリングは非常に良かったですし、表彰台を目指してプッシュできると感じていました」
「全体的にとてもタフな週末でしたが、フィニッシュまで辿り着くことができましたし、それがこのラリーではもっとも重要なことです」
勝田の次戦は7月20日(木)から23日(日)にかけて、エストニアのタルトゥを中心に行われるWRC第8戦『ラリー・エストニア』だ。Mスポーツ・フォードWRTに所属するライバル、オット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)の母国で開催されるこのグラベルラリーは、全体的に高速でありながらツイスティでテクニカルなセクションもあり、路面が軟らかいため再走ステージでは轍が深くなるなど、幅広い対応力が求められる一戦となる。
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