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かつて日本に正規輸入された「イズデラ」を知っていたら超マニア認定! メルセデスのエンジンを搭載したドイツ製スーパーカーの相場は1億円以上!?

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かつて日本に正規輸入された「イズデラ」を知っていたら超マニア認定! メルセデスのエンジンを搭載したドイツ製スーパーカーの相場は1億円以上!?

ドイツ製スーパーカーの嚆矢、イズデラ インペラトールとは?

長らくイタリアの専売特許と化していたスーパーカーも、1990年代に入るとヨーロッパの別の国やアメリカ、さらには日本でもその萌芽を見せるようになっていきます。アメリカの「モントレー・カーウィーク」でRMサザビーズ北米本社が2024年8月15日~17日に開いた世界最大規模のクラシックカーオークション「Monterey 2024」では、「The Turbollection」と銘打たれた個人オーナー所有のスーパーカー/ハイパーカーたちが異彩を放っていました。今回はその出品車両のなかから、ドイツ製スーパーカーの嚆矢ともいうべき「イズデラ インペラトール(Isdera Imperator)108i」をピックアップし、モデル概要と注目のオークション結果について解説します。

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コンセプトカーから発展した少量生産スーパーカー

イズデラの創業者エバーハルト・シュルツ氏は、1960年代末に手製のプロトタイプであるミッドシップスポーツカー「エラトール(Erator)GTE」を引っ提げて就職活動したのち、1971年にポルシェでキャリアをスタート。ポルシェで働きながら、余暇を利用してメルセデス・ベンツ「300SL」の後継車となることを目指したコンセプトカーの開発を自主的に続けていた。

1978年、シュルツ氏はポルシェを離れ、チューナーのライナー・ブッフマン氏と共同で「b b GmbH & Co Auto KG」社を設立。この年のフランクフルト・モーターショーで、シュルツ氏の新たなコンセプトを具現化した「CW311」が初公開されることになる。

CW311は「b b」社独自のコンセプトカーで、ポルシェとメルセデスのコンポーネンツが流用されていたが、プロモーション効果を狙ってだろうか、フロントグリルには大きな「スリーポインテッドスター」が装着された。ただ、当初ダイムラー・ベンツ(当時)はこのコンセプトカーの存在すら知らなかったといわれているものの、フランクフルト・ショーにおける大盛況から、同社の象徴であるスリーポインテッドスターの使用は黙認しつつも、CW311の量産化には興味を示すことなく終わったとのことである。

パフォーマンスはスーパーカーそのもの

1982年、シュルツ氏は「b b」社と袂を分かち、小規模生産車、デザイン、エンジニアリング・サービスに特化した「イズデラ(Isdera)」社をバーデン=ヴュルテンベルク州レオンベルクに設立した。その社名は、「Ingenieurbüro für Styling, DEsign und Racing」というドイツ語のイニシャルとされ、スタイリングと設計、そしてレース活動のためのエンジニアリングオフィスを自称していた。

そして2年後、同社はオリジナルのCW311プロジェクトをベースにした「インペラトール108i」を発表するに至る。メルセデス・ベンツからV型8気筒エンジンを調達し、さまざまなデザイン変更を加えながら、その後9年間で30台が生産された。

シャシーは300SLと同じく鋼管スペースフレームを採用。ボディはグラスファイバー製とされるいっぽうで、これも300SLからCW311に継承された、アイコニックなガルウイングドアを採用していた。

サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン、リアに上下トランスバースリンクを採用。4輪ともコイルスプリングとディスクブレーキが装備された。

そのパフォーマンスはまさしくスーパーカーのもので、最高速度は時速176マイル(約282km/h)、時速60マイル(約0-97km/h)までの加速タイムは5.1秒を誇った。

元イズデラ・ジャパンの正規輸入車両

今回の「Monterey 2024」オークションに「The Turbollection」から出品されたインペラトール108iは1991年式。つまり後期型のシリーズ2で、フロントのヘッドライトがポップアップ式であることでも識別できる。

さらに鋭い観察眼をお持ちのかたなら、シリーズ1と比べるとボディラインがソフトになるとともに、フロントグリルの開口部が大きくなること、フロントホイールアーチの上に通気孔が設けられ、ボンネットにオフセットされたNACAダクトがあることにもお気づきになるかもしれない。

またエキゾーストはリアエンドから、右後輪前方に斜めカットで設けられた上下2連のマフラーエンドに変更されたことにより、結果としてCW311プロトタイプとの類似性が高まった。

もともとこの個体は、日本の顧客に引き渡されるために作られたもの。じつはバブル景気まっさかりのわが国では「イズデラ・ジャパン」も設立され、赤いシリーズ1および、このシルバーのシリーズ2を合わせた2台のみながら、日本に正規輸入されていたのだ。また、当時の日本における輸入車の多くがそうであったように、左ハンドル仕様であった。

ドイツの高級スポーツカーとしてのセオリーに従ったエクステリアは、魅力的な色合いのシルバー塗装で仕上げられ、リッチなブラック本革レザーのインテリアと組み合わされている。

日本で過ごしたのちイギリスからドイツへ

チルト式に開くリアカウルの下には「M119」型5L・V型8気筒4カムシャフト32バルブのエンジンを配置。ZF社製5速マニュアルトランスミッションと組み合わされ、300psを超える大パワーを後輪に伝達する。

長年日本で過ごしたのち、2016年には、このクルマはイギリスで登録されるが、すぐにドイツの企業に売却されることになる。このとき「MePoPres F. Ulbricht GmbH」社によって、部分的なレストアを受けているようだ。

そして2021年、このイズデラは現オーナーである「The Turbollection」コレクションにくわえられた。同年9月の請求書によると、車検が行われ、冷却システム、空調システム、ブレーキが整備されたものの、オークション公式ウェブカタログ掲載時の走行距離は、わずか1912kmにすぎない。

イズデラ インペラトール108iは通算で30台が作られたといわれており、シリーズ2は13台が製作されたというのが定説。この個体はその13台のうちの1台であり、こと希少性については文句のつけようがあるまい。

「このイズデラ インペラトール108i シリーズ2は、カーショーの主役になること間違いなしの特別な1台。その印象的なデザインにV型8気筒のパワー、そしてきわめて希少なこのクルマは、本格的なコレクションにふさわしい、非常に魅力的なクルマ」。そんなPRフレーズを添えて、RMサザビーズ北米本社は「The Turbollection」との協議のもと、80万ドル(約1億1600万円)~100万ドル(約1億4500万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、期待されていたほどにはビッド(入札)が伸びなかったようで、残念ながら出品者側が設定したリザーヴ(最低落札価格)には至らず。「No Sale(流札)」に終わってしまった。

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