小型/普通車で最も多く販売されているカテゴリーは、5ナンバーサイズの5ドアハッチバックを中心としたコンパクトカーだ。国内で新車として売られる小型/普通車の約40%を占める。
人気のカテゴリーとあって新型車の投入も活発だ。2020年には、主力車種のトヨタヤリス(旧ヴィッツ)、日産ノート、ホンダフィットが新型に刷新された。2021年にはトヨタアクアもフルモデルチェンジを行っている。
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この4車種はすべて全長を4m前後に抑えて運転しやすく、全高も大半のグレードが1550mm以下だから立体駐車場を使いやすい。売れ筋車種がそろうために競争も激しく、機能や装備の割に価格が安い。その結果、売れ行きがさらに伸びる好循環が生まれている。
そこで設計が新しいアクア、ヤリス、ノート、フィットの4車種を項目別に比較チェックしてみたい。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーWeb編集部、TOYOTA
【画像ギャラリー】コンパクトカー戦国時代!! 新型アクア ヤリス ノート フィット…お薦めランキング総合1位はどのクルマ?
■居住性、積載性、運転のしやすさなどの「実用性」で選ぶと?
2020年2月にフルモデルチェンジした現行型フィット。パワートレインは1.3L 直4ガソリン車と1.5L 直4エンジン+モーターのe:HEV
最近は安全装備や運転支援機能の充実でクルマの価格が高まり、コンパクトカーがファミリーカーとしても使われる。この時に大切なのが後席を中心とした居住性だ。前席はどの車種でも十分に広いが、後席は車種によって差が大きい。
後席が最も広いのはフィットだ。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半になる。前後方向の広さはミドルサイズセダンと同等か、それ以上だ。
フィットのインテリアは水平基調で見晴らしに優れている。ダッシュボード奥の極細フロントピラーは右左折時の死角を最小限に抑える
前席の足元に燃料タンクを配置するホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用。後席の座面を跳ね上げれば家具や観葉植物などの背の高い荷物を積むことができる
2位はノート、3位はアクアだ。アクアはヤリスと基本部分を共通化しながら、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を50mm拡大して後席の足元空間を広げた。4位はヤリスになり、後席の膝先空間は、フィットと同じ測り方で握りコブシ1つ少々に留まる。
荷室長(奥行寸法)は、3車種ともほぼ同じで、大きな差は付かない。それでもフィットは、燃料タンクを前席の下に搭載して荷室の床を低く抑えた。シートアレンジも多彩で、積載性でも1位になる。
ほかの3車種も実用的には十分な荷室容量を確保するが、ヤリスはリヤゲートを寝かせたので、背の高い荷物は積みにくい。
運転のしやすさはどうか。最小回転半径は、4車種とも5m前後であまり差は付かないが、視界は異なる。フィットはフロントピラー(柱)の形状を工夫して、外観も水平基調だから、前後左右ともに視界が最も優れている。ノートは平均的で、ヤリスは後方が少し見にくい。アクアはサイドウインドーの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、斜め後方の見え方がさらに悪化した。
2021年7月19日に発売された新型アクア。ボディサイズは全長4050×全幅1695×全高1485mm、ホイールベースは2600mmと先代より50mm延長。価格は198万円~259万8000円
新型アクアのインテリア。ホイールベースの延長により後席空間、特に膝周りにゆとりを確保した
●この項目の順位
★1位:フィット
・2位:ノート
・3位:ヤリス
・4位:アクア
■走行性能、乗り心地などの「走り」で選ぶと?
2020年12月に発売された新型ノートはモーター駆動のe-POWER専用車として登場。搭載される1.2Lエンジンは発電に使われる
すべての車種がハイブリッドを用意して、ノートとアクアではノーマルエンジンを選べない。またノートのe-POWERとフィットのe:HEVでは、エンジンは発電機を作動させ、その電気を使ってモーターがホイールを駆動する。フィットでは高速巡航時にエンジンが直接駆動して、燃料消費量をさらに抑える制御も行う。
走りの1位はノートだ。e-POWERの加速は滑らかで、操舵に対して車両が素直に反応する。乗り心地は少し硬いが、動力性能と走行安定性は良好だ。
ヤリスはボディが軽く、1.5Lはハイブリッドを含めて加速は軽快だ。乗り心地には粗さを感じる。フィットは乗り心地が快適で走行安定性も満足できるが、軽快感は乏しく、峠道では少々曲がりにくさを感じる。フィットではe:HEVのほかにノーマルエンジンも選べるが、排気量が1.3Lでパワー不足を感じやすい。
ヤリスハイブリッドは1090kgの軽量ボディに1.3L 直3エンジン+モーターを搭載する
●この項目の順位
★1位:ノート
・2位:アクア
・3位:ヤリス
・4位:フィット
■維持費、燃費、価格を含めた「割安感」で選ぶと?
新型アクアのWLTCモード燃費は33.6km/L~35.8km/L、ヤリスハイブリッドは35.4km/L~36km/L。両者の装備を限りなく同じものに揃えて換算した価格はアクアが10万円強高い
この4車の中でWLTCモード燃費が最も優れているのはヤリスハイブリッドだ。2WDの数値は35.4~36km/Lだから、日本で購入可能な4輪車としては最良だ。
アクアのWLTCモード燃費は、販売の主力グレードは33.6km/Lで、燃費スペシャル的なBは35.8km/Lに向上する。ノートは売れ筋のXとSが28.4km/Lで、Fは29.5km/Lだ。フィットのe:HEVは、2WDが27.2~29.4km/Lになる。燃費はヤリスハイブリッドとアクアが優れている。
機能や装備と価格のバランスではフィットが割安だ。アクアも最上級のZは、装備を充実させて価格を抑えた。ノートも割高ではないが、セットオプションが多い。LEDヘッドランプや運転支援機能のプロパイロットを装着すると、車両価格を含めた合計額が270万円を超えてしまう。
従って燃費で選ぶならヤリスハイブリッド、燃費が優れ、価格も割安なのはアクアZ。機能や装備と価格のバランスで買い得なのはフィットになる。
●この項目の順位
★1位:アクア
・2位:ヤリス
・3位:フィット
・4位:ノート
■総合力の評価は?
筆者が総合1位に選んだノートe-POWER。質感の高い内装や滑らかな走り、使い勝手の良さを兼ね備えた1台
コンパクトカーは基本的に実用重視のカテゴリーだが、乗用車である以上は、内外装の質や運転の楽しさも大切だ。そこで総合力も、居住性、走行性能、燃費などの実用性と、質感や楽しさ、乗り心地などの情緒的な価値を組み合わせて判断したい。
総合力の1位はノートだ。滑らかな加速、優れた走行安定性などの走りが注目されるが、インパネ周辺など内装の質も高い。後席の居住性や荷室の使い勝手といった実用性にも配慮され、バランスの良い商品に仕上げた。
フロントのVモーショングリルやセンターディスプレイと一体化されたデジタルメーターが新時代の日産を象徴する
2位はフィットだ。後席の居住性は、取り上げた4車種の中では最も優れている。荷室も使いやすくシートアレンジも多彩だ。運転感覚は穏やかでスポーティとはいえないが、後輪の接地性は高く、危険を避ける走行安定性も優れている。楽しさはあまり感じないが、走りについても安定性などの実用性は高い。
アクアはノートやフィットに比べて雰囲気は大人しいが、100V・1500Wの電源コンセントを全車に標準装着するなど、装備を充実させた。さらに駆動用電池は、Bを除くとバイポーラ型ニッケル水素とした。従来のニッケル水素に比べるとコンパクトで、Bグレードやヤリスハイブリッドのリチウムイオンに比べるとコストを抑えられる。アクアは装備を充実させて価格は割安だ。
そこでアクアは、ノーマルエンジンを用意しないハイブリッド専用車なのに、1か月の販売目標を9800台まで高めた。アクアと同様のハイブリッド専用車になったノート+ノートオーラ軍団を迎撃すべく、鼻息は荒い。
新型アクアに初採用されたバイポーラ型ニッケル水素電池。小型化により従来型ニッケル水素電池の約1.4倍に相当する電池セルを収容できる。バッテリー出力は旧型の約2倍向上
またアクアの1か月の販売目標は、ヤリスの7800台、ヤリスクロスの4100台と比べても圧倒的に多いため、販売店では「アクアは生産規模が大きいので納期は短い。ヤリスクロスは5か月以上を要するが、アクアは新型車なのに今のところ2か月で納車できる」という。アクアは価格が割安で、なおかつ今のところ納期は短いわけだ。
そうなると今後のトヨタのコンパクトカーでは、ハイブリッドならアクア、ノーマルエンジンはヤリスという選び方になりそう。商品力については、総合的にはノート、実用重視ならフィットだが、売れ行きではアクア+ヤリスのトヨタ車がリードする。トヨタでは別枠としてスーパーハイトワゴンのルーミーも好調に売れているため、販売面ではコンパクトカーの主力はトヨタ車であり続ける。
●この項目の順位
★1位:ノート
・2位:フィット
・3位:アクア
・4位:ヤリス
【画像ギャラリー】コンパクトカー戦国時代!! 新型アクア ヤリス ノート フィット…お薦めランキング総合1位はどのクルマ?
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これならもうワンクラス上の車、例えばインプレッサ、カローラスポーツなどが買えちゃうよ