■クラシックMiniの時代から日本人はミニが大好きだった
「MINIの累計販売台数が30万台を達成」。ビー・エム・ダブリューは2020年9月7日に、「2002年のBMW製MINIの発売から19年で30万台の販売を達成」したことを発表した。
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ちなみに直近でもMINIの販売は好調で、JAIA(日本自動車輸入組合)が発表する外国メーカー車モデル別新車登録台数においても、2016年から4年連続でトップを連覇しており、2020年の上半期(1月から6月)も1位となっている。簡単にいってしまえば「MINIは、日本で一番人気のある輸入車」であるということだ。
「そもそも日本人は、昔から本当にMINIを愛してくれています」と答えたのは、ビー・エム・ダブリューでMINIディビジョン本部長を務めるピーター・メダラ氏。メダラ氏のいう“そもそも”とは、BMW製ではない、いわゆるクラシックMiniのことだ。
1950年代に誕生したクラシックMiniは、その生産が2000年まで続いた。しかし、その最期の売れ行きは、世界的に見れば決して高いものではなかった。当然、英国オックスフォードの工場を閉鎖する話も出た。だが、日本のクラシックMiniに対する高い需要が、その終盤を支えたというのだ。
「最初にクラシックMiniが作られたのは1959年のこと。設計は、“サー”アレック・イシゴニス氏です。当時は、燃料不足という状況で、効率的なクルマとしてMiniは生まれました。そして、イシゴニス氏の友人であるジョン・クーパー氏が、Miniの潜在的なポテンシャルを見抜き、強いエンジンを搭載しました。実用的なデザインと、クーパー氏のビジョンの組み合わせで、アイコン的なMiniが誕生したのです。
ですから、デザインとドライブのダイナミクス、このふたつがMINIの本質であると考えています。そして、日本の目の肥えたお客様にとって、クラシックMiniが備える優れたデザイン、品質、ドライビングのダイナミクスは完璧な商品でした。それがMINIの成功のレシピだと考えます」とメダラ氏はいう。
また、クラシックMiniからBMW製MINIへ移行しても、「BMWは、そうしたMINIの歴史や伝統を大切にしています。もともとのルーツに忠実にやっていこうと決めています。常に本物なのです」(メダラ氏)ということで、MINIの人気が維持されているというのだ。
クラシックMiniを認めた日本ユーザーだからこそ、MINIの伝統を守るBMW製MINIも受け入れたということなのだ。
■目の肥えた日本のファンはデザインを重視する
現在のMINIは、欧米をはじめ、日本などアジア地域でも広く発売されている。そんななかでの日本の存在感はいかほどのものなのか?
「MINIにとって、日本は世界のトップ5に入ります。“日本のお客さまは、こういうモノを求めています”と本社に言えば、耳を貸してくれます。日本は非常に重要なマーケットです」とメダラ氏はいう。
具体的には、世界中の市場のなかでMINIの売り上げナンバーワンは英国で、日本は5位になるという。ただし、日本はBMWとMINIの売り上げ比率でいうとMINIの割合が高く、伸び率も高いという。2000年から2006年というBMW製MINIの初期モデルでは36%、そして直近の2014年から2019年では、50%も販売台数が伸びているというのだ。
「MINIに対して、“小さすぎる”とか“実用性が足りない”というコメントもあります。結婚などでライフステージが変わって、もう少し大きなクルマを欲しい方もいらっしゃいます。そこで私たちは、MINIクラブマンやMINIクロスオーバーを出してきました。どちらもMINIのDNAは引き継がれており、ファンドライブもでき、新しく家族が増えても乗せられますし、新しい趣味にも対応できます」
3ドアハッチバックというMINIの基本モデルに対して、2007年にステーションワゴンとなる「MINIクラブマン」を、2010年にSUVの「MINIクロスオーバー」を追加。2014年には3ドアハッチバックをベースにした「MINI5ドア」も生まれている。
こうしたバリエーション増加が、販売台数の伸びに大きく貢献したというのだ。
「日本で販売されるMINIの内訳は、3ドアと5ドアのハッチバックが半分ほど。MINIクラブマンとMINIクロスオーバーが、それぞれ2割ずつです。一番、数多く売れているのがMINI5ドアで、世界の他の市場と比べると、日本はMINIクラブマンの割合が高いのが特徴です。世界市場では、MINIクロスオーバーがもう少し多く売れています」とメダラ氏。
日本でMINIクラブマンが多い理由は、「日本人のお客様はデザインを見る目が肥えています。それと日本のほとんどのお客さまは街乗りが中心なので、サイズ感がフィットするのでしょう」とメダラ氏は分析している。
※ ※ ※
最後にMINIの未来はどうなるのかをメダラ氏に尋ねてみた。
すると、その答えは「非常にワクワクしています!」と語る。しかも、絵にかいたようなビッグスマイルだ。「ただし、未来のMINIに対して具体的な話はできないんですよ。ただ、ヒントはあります。それが電動化。それが未来のひとつの重要な要素となります」とコメントする。
「いま、世界は新型コロナ禍などでストレスが溢れています。でも、MINIに乗ればハッピーになれます。MINIが道を走ると、見た人みんなも笑顔になる。MINIが増えると笑顔が増えるんですね」とメダラ氏は続けた。
ハッピーそのもののメダラ氏のビッグスマイルでインタビューは終了した。
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