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四輪駆動を得た4代目の究極:ゴルフ R32 ブッソV6のFF:147 GTA 初代から5代目 比較試乗(4)

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四輪駆動を得た4代目の究極:ゴルフ R32 ブッソV6のFF:147 GTA 初代から5代目 比較試乗(4)

4代目の究極版 四輪駆動でV6のR32

フォルクスワーゲンは、市民の多様な意見へ耳を傾ける。不都合な内容でも、ブロックすることはない。

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3代目ゴルフに2.8L V6エンジンを押し込んだVR6は、パワフルさにシャシーが追いついていなかった。メルセデス・ベンツやBMWに及ばないという印象は、フォルクスワーゲンの開発者を納得させなかった。

結果として、1997年に4代目へモデルチェンジしてから暫くの間は、V型5気筒のVR5に留まった。前輪駆動でV6エンジンのゴルフは、3代目限り。満を持して2000年に姿を表した新世代のVR6は、四輪駆動化されていた。

この技術は、アウディ由来のハルデックス・システム。加えて、アウディTTに搭載されていたクロスレシオの6速MTと、独立懸架式サスペンションも奢られた。3代目からグレードアップした内装の雰囲気もあって、「高級」なゴルフという説得力があった。

そして4代目が熟成を増した2002年、究極版といえるR32が登場する。VR6以上にアウディの技術が投入され、V6エンジンは3.2Lへ拡大。クイックなステアリングラックと引き締められたサスペンションが、スポーティな走りを引き出した。

ホットハッチ・ファンの興奮を一層誘ったのが、通常のゴルフと差別化された容姿。低く伸びたフロントバンパーには大きなエアインテークが開けられ、テールパイプは2本出し。アルミホイールは18インチへ拡大された。

車内には、サイドサポートの高いバケットシート。歴代で、最も刺激的なゴルフの1台といえる内容だった。

V6ブッソ・ユニットをFFハッチバックへ

20世紀から21世紀へ推移する前後は、フォルクスワーゲンにとって躍動的な時期となった。ドイツの自動車産業は黄金期を迎え、目先の利益を追い求めるという姿勢は薄らいでいた。

他方、同時期のアルファ・ロメオが生み出したのが、伝説のブッソ・ユニットを搭載したハッチバック、147 GTAだ。ゴルフ VR6へ影響を受けたアイデアだと考えて、間違いはないだろう。

とはいえ、アルファ・ロメオは1994年のGTV、タイプ916へ3.0L V6エンジンを載せており、その下地は存在していた。広くないエンジンルームへ押し込んだため、整備性は非常に悪かったが。

技術者のジュゼッペ・ブッソ氏が設計を手掛けたV6エンジンは、フォルクスワーゲンのVR6のようにコンパクトではなかった。それでも、美しさ優先で導かれた147のシルエットはフロントノーズが長く、大きな改造なしで収まった。

ドライブトレインは、同時期のアルファ・ロメオ156 GTAから流用。ダブルウイッシュボーン式のリアサスペンションやブレーキ、ショートなステアリングラックも同様だった。ボディはフェンダーアーチが広げられ、専用のエアロキットで着飾った。

ゴルフ R32も147 GTAも、操縦性を強みとしたモデルとはいえない。だが、アルファ・ロメオの方が技術的には一歩先にあり、フロントヘビーといえた重量配分の影響を最小限に留めていた。

フェラーリV8へ迫るソウルフルなサウンド

実際にステアリングホイールを握ってみれば、荷重移動しやすく、リアアクスルが軽快に動く。乗り心地は硬すぎず、R32より間違いなく快適といえる。

ただし、パワフルな147 GTAは前輪駆動。ホットハッチとして、普段以上のリスペクトが欠かせない。アクセルペダルを踏み込む場合は、ステアリングホイールをしっかり握っている必要がある。

路面が平滑なら、フェラーリのV8エンジンへ迫るソウルフルなサウンドを放ちながら、250psの大パワーが繰り出される。そこでの速度上昇は、猛烈そのもの。

ただし、操舵中に思い切り右足を蹴飛ばすのはNG。路面が荒れている場合も、加減が必要だろう。トルクステアが表出し、ラインは大幅に乱れてしまう。制御不能になるほどではないが、パワフルな後輪駆動モデルと同等の気遣いが求められる。

四輪駆動のゴルフ R32は、もっと気ままでOK。フロントとリアへトルクが分配され、条件にとらわれず、即時的な加速を得られる。超がつくほど鋭敏なアクセルレスポンスも、そんな印象を強化する。

カーブでは、出口が見えた瞬間から右足へ力を込められる。VR6のサウンドは、Mk3時代から磨かれ、興奮度を増している。スペック表では147 GTAの方が速くても、現実世界ではゴルフ R32の方が間違いなく勝る。今回揃えた10台の中でも、最速だろう。

「スーパー」ホットハッチを予見していた

完璧ではない。内装の品質は高いものの、華々しい147 GTAのインテリアデザインには敵わない。シートの豪華さでも、見劣りしてしまう。乗り心地はハードで、クラッチペダルは重すぎる。

大パワーを受け止めるシャシーながら、1477kgの車重を軽くは感じさせない。柔軟に屈伸するサスペンションを活かし、コーナーを踊るように旋回させて楽しむタイプではない。路面を制圧するように、剛腕で突き破っていく。

そんなゴルフ R32より長い期間、アルファ・ロメオは147 GTAを生産した。しかし、販売数は半分程度に留まった。

V6エンジンの印象は素晴らしく、並べてみればデザインもダイナミックだと思う。しかし、巨大なエンジンを小さな前輪駆動のハッチバックへ押し込んだ、荒々しい体験は当時でも少し前時代的なものといえた。

むしろ、これが楽しいと評価する、アルファ・ロメオ・ファンの気持ちは理解できる。それでもこの2台で、市場争いを一歩進めたのはフォルクスワーゲンだった。新世代の「スーパー」ホットハッチを予見するように。

僅か1年間のみ提供されたR32だが、この登場で、ゴルフは再び強い人気を獲得した。1980年代のゴルフ GTIに匹敵する興奮を、ドライバーへ提供した。ゴルフ Rの起源でもあり、新時代の幕開けにも繋がった。

落ち着いた雰囲気に、優れた実用性と現実的なパフォーマンス。多くの人への、ベスト・ソリューションだったといえるだろう。

協力:ブライアン・スミス氏

ゴルフ R32(Mk4)と147 GTA 2台のスペック

フォルクスワーゲン・ゴルフ R32(Mk4/2002~2003年/英国仕様)

英国価格:2万2340ポンド(新車時)/2万ポンド(約384万円/現在)以下
生産数:1万62台
最高速度:246km/h
0-96km/h加速:6.6秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1477kg
パワートレイン:V型6気筒3189cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:240ps/6250rpm
最大トルク:32.5kg-m/2800rpm
トランスミッション:6速マニュアル(四輪駆動)

アルファ・ロメオ147 GTA(2002~2005年/英国仕様)

英国価格:2万2450ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約480万円/現在)以下
生産数:5029台
最高速度:246km/h
0-96km/h加速:6.1秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1360kg
パワートレイン:V型6気筒3179cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps/6200rpm
最大トルク:30.4kg-m/4800rpm
トランスミッション:6速マニュアル(前輪駆動)

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