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「フェラーリ チャレンジ」車両が1000万円ちょっとで手に入る! 跳ね馬初となるワンメイクレース用「348チャレンジ」とは

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「フェラーリ チャレンジ」車両が1000万円ちょっとで手に入る! 跳ね馬初となるワンメイクレース用「348チャレンジ」とは

フェラーリ史上初のワンメイクレース専用車両「フェラーリ348」とは?

 2022年11月5~9日にRMサザビーズ欧州本社が、その本拠地である英国ロンドンにて開催した「LONDON」オークションは、自動車の出品台数こそ36台と少なめだったが、その内容はアメリカと並ぶ自動車趣味大国イギリスのオークションにふさわしく、世界の耳目を集める超絶高価なスーパーカーから、マニアックなクラシックモデルまで、じつにバラエティに富んでいた。

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 今回はその出品車両の中から、1990年代初頭にワンメイクレースで活躍したフェラーリ「348チャレンジ」について解説しよう。

「カレラ・カップ」に刺激を受けてスタート

 ポルシェが1980年代後半から開催していた「カレラ・カップ」の成功を見て、フェラーリは1992年に、「フェラーリ・チャレンジ」レースシリーズを行うことを発表。1993年シーズンから開幕させることになった。初期のチャレンジ選手権は、イタリア国内およびヨーロッパのGT選手権レースに組み入れられ、すぐさま高い人気を獲得することに成功した。

 このチャレンジ選手権のために用意されたのが、おもに「348tb」をベースとしたバリエーションモデルたる348チャレンジである。

 ただし348時代のチャレンジは、後継車「355」以降のチャレンジとは異なり、フェラーリ側で用意したチューニングキットを、ロードカーとしてデリバリーされた348に組み込んだもの。チューニングキットの供給を受けるのはフェラーリの正規代理店のみとされ、その改造作業もフェラーリ認定工場のみが行うことを許されるという制度となっていた。

 純正キットには、量産ストラダーレ版348の3.4L V型8気筒4OHC32バルブエンジンを320psまでスープアップさせる専用ECUに加え、同じく専用開発のエキゾーストシステム、吸入効率の高いエアインテーク、スリックタイヤ、専用エアインテークで冷却効率を向上させたブレーキなどが含まれている。

 またレースでは必須の安全装備として、電気回路のカットオフ装置、フロント牽引フック、消火器、OMP社製バケットシート、および6点式ロールケージも純正指定のものを装着しなければならなかった。

 今回のオークション出品車、シャシーナンバー#93646は、1970~80年代にはフェラーリ「BB」などでル・マン24時間レースにも参戦した、フランスの名門フェラーリ正規ディーラー「シャルル・ポッツィ(Charles Pozzi)」に新車として供給されたのち、同社ファクトリーでチャレンジ化作業が行われた初期の348チャレンジとされる。

 現在と同じイエローのボディに黒革のインテリアで仕立てられ、1992年7月25日にファーストオーナーである「オーヴェルニュ・モトゥール(Auvergne Moteurs)」のクリスティアン・ハインケレ氏のもとにデリバリーされたことが記録に残っている。

出品にあたって完璧な整備済み

 フェラーリ348チャレンジ仕様の車両は、のちに純正キットを組んだだけの個体も散見されるが、今回RMサザビーズ「LONDON」オークションに出品された348tbチャレンジは、当時のフェラーリ348チャレンジ西ヨーロッパ選手権で活躍したヒストリーもある1台という。

 この#93646は、1993年4月3日にヌヴェール・マニクール・サーキットにて、オーナーであるハインケレ自身のドライブによってレースデビュー。10位でフィニッシュを果たす。シリーズ戦はその年の11月まで続き、ハインケレは12ポイントの獲得で参戦初シーズンを締めくくった。翌1994年シーズンになると、競争力を上げたマシンとハインケレは57ポイントを獲得し、シーズンを総合6位で終了した。

 そして前シーズンまでの体験を踏まえた1995年シーズンのハインケレは、一気にジャンプアップ。初戦ポール・リカール・サーキットで2位になったのを皮切りに、348チャレンジ選手権をリードしてゆく。快進撃はシーズン後半も続き、ハインケレ氏は2位と5位に終わった2レースを除くすべてのレースで勝利を獲得。最終的には230ポイントでシーズンを締めくくり、フェラーリ348チャレンジ西ヨーロッパ地区選手権で年間タイトルをつかみとったのだ。

 現在、この348チャレンジは新車時以来の純正「ジャッロ(イエロー)」のオリジナルペイントを維持しており、公式オークションカタログ作成時の走行距離計は7万3897kmを示していたとされる。

 今回のオークション出品にあたっては、1993年から2016年までの請求書、それぞれの時代の印象的な写真、レース結果を含むドキュメントファイルが添付されていた。

 くわえて出品直前の2022年9月29日には大規模な整備が施され、この時代のフェラーリでは重要なタイミングベルトをはじめ、ブレーキフルードやエンジンオイルなどの油脂類も交換。その費用は6494ポンドに上った。さらに新しいMoT証明書(英国内車検証)も、この時に交付されているとのことである。

高い? それとも安い? 元チャンピオンカーは約1140万円

 元チャンピオンマシンという経歴を掲げたこの348チャレンジ仕様車に、RMサザビーズ欧州本社は、6万~8万ポンドのエスティメート(推定落札価格)を設定。最低落札価格なしということで安価に落札されてしまう可能性もあったものの、結局6万9000ポンド、日本円に換算すれば約1140万円でハンマーが落とされることになった。

 この落札価格は、同時代のスタンダード348tbの相場よりは明らかに高めでありながらも、348チャレンジとして正規ルートで改造されたほかの車両と比べても、少なくとも近年の取引き事例を見る限りでは、特別に高価というわけでもないようだ。

 レースヒストリーがあるとはいえ、フェラーリ・チャレンジ選手権は国際的なメジャーレースではなく、あくまでもジェントルメンドライバー向きのアマチュアレース。したがってチャンピオンカーであることが、そのまま現在の価格に大きく反映することはないのかもしれない。

 しかし、将来348シリーズが正統なクラシックとして評価を受ける時代を迎えたころには、この個体の価値がもっと高まる可能性も否めないのである。

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