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戦略というより直感!? 新型ステップワゴンが先祖返りを決断したワケ

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戦略というより直感!? 新型ステップワゴンが先祖返りを決断したワケ

2022年1月7日にお披露目となった新型ステップワゴン。リヤビューに初代や2代目に対するオマージュ(尊敬する作品に影響を受けて似た作品を創作すること)を全体的に入れているのが特徴だ。その代表例が縦長のリヤコンビランプである。その意図や理由について、外観デザインを担当した花岡久和氏にお話を伺った。

■初代&2代目をモチーフに選んだ理由

【動画】新型ステップワゴン実車見分…驚くほどのシンプルスタイル。2列目シートの動きが凄い

「初代とか2代目ステップワゴンは、正直に言いますと、少し前までは古くてダサイと感じていた時期があったのです。ですがある時期を境に一周まわって“いいぞ”というのが来たという手応えがあったんです。というのも、若いデザイナーに初代とか2代目を見せると、『スッキリしていていいよね』という答えが返ってくる。これはもう一周まわって時代がきたなあと思いました。だから(新型のデザインに)取り入れようと。個人的にはやはり2代目とかが好きなんですよ。そういう絵を選んでプレゼンテーションしたら、みんなも無意識でそう思っていたのか、すんなり評価会で通ってしまったのです。そういった経緯で、(初代や2代目をモチーフにしよう)と言い出したのは私ですね。

初代、2代目のオマージュを入れたいというのは、誰かにやるようにといわれたわけではないですね。戦略としてやったというよりは、デザイナーの“暴走”、いやデザイナーの“考え”があってやったんですけれども(笑)、その意志をみんながなんとなく共感してくれて、製品化までこぎつけられました」

■細部までオマージュにこだわっている

「コーナー部分にあたる“C面の付け方”です。2代目は、角のところに斜め削ぎの面を一周まわしているんですよね。それを昇華して取り入れています。新型もルーフの角に斜めの面を1面入れたり、縦に“折れ”を通したり、そういうところは2代目の処理を参考にしています。

また、ボディのバランスは初代を参考にしています。新型はしっかりとしたボックスシェイプとするために、Aピラーを70mm後ろに引いていますが、結局、Aピラーを引くと放っておいても初代&2代目にシェイプが似てきます。その段階で、(オマージュを)もうやっちゃえという空気になってきたという状況ですね。Aピラーを引いたのがまずありきで、(オマージュを)取り入れてしまおうよと。でも、絶対に古臭くはしたくないという思いがあって。ディテールは現代的にしていますし、デザイン技法的にも現代的な処理を入れています。

じつは通常「比較車」というのをデザイン部門で買います。新車を開発する際に参考にする車両を買って、クレイモデルの横に並べたりするんですね。普通は欧州車などを買うんですけれども、今回は2代目のステップワゴンを中古で買いました。(ホンダの)和光研究所が買ったなかで、史上一番安い比較車でした(笑)。それで(新型のクレイモデルの)横に並べて置いておくと、やはり若いデザイナーたちは、このころのホンダ車はすごくいいよねと。あーこんなこともできる、こんなカラクリが付いている、この処理がカッコいいと。これはもう、やるしかないと(笑)。そう思って、(過去のモチーフを)どんどん適用していきました」

■ホンダはよく、デザインで過去を振り返りますよね?

「当然、25年以上の歴史のあるステップワゴンなので、できることだと思っています。N-ONEもN360のテーマをうまく使っていますし、そういった立ち返りは時々使いますね。だから、みんな何となく、あーそれをやりたいのね、気持ちはわかるという空気があって、ここまできました。ただ、新型のティザー公開(2021年12月10日)をやった瞬間に、(初代&2代目のモチーフを取り入れたことが)ここまで一瞬でバレるとは思わなかったです(笑)」

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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