現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード

ここから本文です

英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード

掲載 4
英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード

自動車工場は休みの日に何をしている?

パソコンの電源を切り、電気を消して、冷蔵庫にミルクを残さないようにする。クリスマス休暇なので、仕事とはお別れ。また来年。しかし、オフィスよりもずっと大きな場所を後にするとしたらどうだろう。例えば、自動車工場など。

【画像】欧州では今も現役! ちょうどいいコンパクト・クロスオーバー【日産ジュークを写真で見る】 全17枚

英国の自動車業界ではこの時期の休みを「クリスマス・シャットダウン(Christmas shutdown)」と呼んでいる(これ以上に適切な名称はない)。サンダーランドに工場を持つ日産の場合、その期間は2週間である。今年は12月21日(土)から1月5日(日)まで。

生産ラインを止めるにはどうすればいいのか? 電源を切る大きな赤いボタンを押して、ベルトコンベアをガタガタと震わせながら停止させ、組み立て作業員を作業半ばで宙ぶらりんの状態にするのだろうか?

「ちょっと違います」と、サンダーランド工場の生産ディレクターであるリー・ワトソン氏は言う。彼は1999年に日産に入社し、当時新発売されたばかりのアルメーラの生産に携わり、その後順調に出世して、自動車の生産について多少なりとも経験を積んできた。

「そうではなくて、午前7時の日勤シフトからラインを空ける作業を開始し、同日の夜勤シフトの終了間際の午後10時頃まで続きます。ボディショップでは午前10時半頃から空にする作業を始め、それが生産ライン全体に徐々に広がり、最終検査に至ります」

これで1つの誤解が解けた。もう1つの誤解は、工場から人がいなくなり、2週間も暗闇に包まれるというものだ。「工場はシャットダウンで進歩するのです。シャットダウンをしなければ、技術を刷新することはできません。また、設置、点検、交換を行うために停止する期間を設けないと、改善は決して望めません」とワトソン氏は説明する。

そのため、彼が留守の間(必要であればすぐに戻れる態勢ではある)、少なくとも1年半前から用意していた整備計画に基づき、400人ほどの下請け業者が工場に集結し、次の生産サイクルに備えてラインを整備する。

「生産ラインと聞いて人々が思い浮かべるのはチェーンです。チェーンもありますが、ライン自体は進化し、変化しています。さまざまな速度で移動するクルマに対応しなければなりません。そのため、シャットダウン中に新しい生産ラインを設置し、既存のラインに接続することもあります」

「例えば、この工場では夏期の2週間のシャットダウン期間を利用して、次期リーフ用の新しいバッテリー・アセンブリ・ステーションを設置しました。今年のクリスマスには準備が整うようにしますが、稼働するまでは他のモデルがそのステーションを使わず通過できるようにします。また、今回のシャットダウン中に、新型車のボディサイド用のレーザーとロボット溶接を導入します」

秒単位でラインを調整する難しさ

ワトソン氏と従業員が計画しなければならないことの1つに、生産ラインに「ギャップ」を設けるかどうか、また設ける場合はどこで設けるか、というものもある。

「ラインを完全に空にしない場合は、2~3台の車両をラインから移動させ、ギャップを設けることで、エンジニアがワークステーションや設備にアクセスできるようにします」

「単純な話に聞こえるかもしれませんが、生産のタイミングを秒単位で調整しなければなりません。シャットダウンしたとき、設けたギャップが適切な場所に収まるようにするためです」

今年のクリスマスには、生産ライン2を「新型バッテリーカー」に対応できるようにアップグレードすることもワトソン氏の仕事の1つとなる。これは、次期リーフを意味する工場内での用語と思われる。

ギャップを設ける作業は、電車のドアが自分の目の前で停まるように駅のプラットフォームでどこに立つかを考えるのに似ている。つまり、ワークステーション75で3台分のギャップを必要とする場合(各ラインには1000以上のワークステーションがある)、ライン75がライン1からどれだけ離れているかを計算し、シャットダウンでラインが停止したときにギャップが適切な場所に来るようにしなければならない。

「準備するのは悪夢ですよ。しかし、大規模な設置作業を行わない限りは、ラインのギャップは便利です。ただし、シャットダウン中はラインを固定しておかなければなりません。そうすれば、再起動時にすぐにクルマを作れます」

再起動の前に、ワトソン氏のチームがラインを確認し、すべての設備が適切に機能しているかをチェックする。当然のことながら、休暇から戻って来る4000人の組み立て作業員は、多少ウォームアップが必要だろう。また、新しい設備に慣れる必要もあるかもしれない。

最初のシフトでは、ラインは通常よりもゆっくりと稼働する。その後はフル稼働となり、2025年には新型キャシュカイ、ジューク、そして間もなく新型リーフがラインから次々と出荷され始める。そしてワトソン氏は、2027年のクリスマス・シャットダウンに向けて準備を開始する。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「バック駐車」に勝るものはない! 「前向き駐車」を推奨するメディアに一言 英国記者の視点
「バック駐車」に勝るものはない! 「前向き駐車」を推奨するメディアに一言 英国記者の視点
AUTOCAR JAPAN
型破りな冒険マシン! アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(1) 流暢な没入体験
型破りな冒険マシン! アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(1) 流暢な没入体験
AUTOCAR JAPAN
ライバルはルノー5! ニオ(Nio)が低価格EVブランド「ファイアフライ」公開 欧州に重点
ライバルはルノー5! ニオ(Nio)が低価格EVブランド「ファイアフライ」公開 欧州に重点
AUTOCAR JAPAN
「一体感」を増すボディロール アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2) 猛烈な中毒性
「一体感」を増すボディロール アリエル・ノマド 2でクリスマスツリーを運ぶ(2) 猛烈な中毒性
AUTOCAR JAPAN
【キモはユーザー第一志向のリストラ】ホンダ、日産、三菱の経営統合でどうなる10年先の自動車産業界
【キモはユーザー第一志向のリストラ】ホンダ、日産、三菱の経営統合でどうなる10年先の自動車産業界
AUTOCAR JAPAN
EVの加速性能は危ない? ガソリン車から乗り換えるときの安全性に疑問
EVの加速性能は危ない? ガソリン車から乗り換えるときの安全性に疑問
AUTOCAR JAPAN
この世界に必要なワゴン! ボルボV60 B4へ試乗 クラス最大級の荷室 2025年にも不満ナシ
この世界に必要なワゴン! ボルボV60 B4へ試乗 クラス最大級の荷室 2025年にも不満ナシ
AUTOCAR JAPAN
【チルいエクストレイルが登場】日産が東京オートサロン2025に出展する3台のカスタムカーを公開!
【チルいエクストレイルが登場】日産が東京オートサロン2025に出展する3台のカスタムカーを公開!
AUTOCAR JAPAN
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(前編) ジャンクヤード探訪記
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(前編) ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
「全個体電池」、地方企業が開発できたその秘密とは?…電気自動車記事ランキング2024
「全個体電池」、地方企業が開発できたその秘密とは?…電気自動車記事ランキング2024
レスポンス
【アルファードとレクサスLMに挑む!】新型メルセデス・ベンツVクラスがライバルに勝る部分とは
【アルファードとレクサスLMに挑む!】新型メルセデス・ベンツVクラスがライバルに勝る部分とは
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ vs ポルシェ? 古い固定観念は消えつつある 英国記者の視点
ヒョンデ vs ポルシェ? 古い固定観念は消えつつある 英国記者の視点
AUTOCAR JAPAN
シトロエンC3の低価格プラットフォーム、C4など上位車種にも導入 販売に弾み
シトロエンC3の低価格プラットフォーム、C4など上位車種にも導入 販売に弾み
AUTOCAR JAPAN
【35周年記念】計画台数は計1000台 マツダ・ロードスター/ロードスターRF 誕生35周年を記念した特別仕様車
【35周年記念】計画台数は計1000台 マツダ・ロードスター/ロードスターRF 誕生35周年を記念した特別仕様車
AUTOCAR JAPAN
【噂が早くも現実に】ホンダ、日産、三菱が経営統合に向けた協議開始
【噂が早くも現実に】ホンダ、日産、三菱が経営統合に向けた協議開始
AUTOCAR JAPAN
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(後編) ジャンクヤード探訪記
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(後編) ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
知れば知るほど面白い 自動車メーカーのエンブレムの意味 54選 前編
AUTOCAR JAPAN
ポルシェ911 GT3 RSはどのようにして「1トン」のダウンフォースを生むのか 究極のマンタイキット
ポルシェ911 GT3 RSはどのようにして「1トン」のダウンフォースを生むのか 究極のマンタイキット
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

4件
  • ods********
    UKの工場はどこも赤字では?
    為替や工場に求める環境などで
    残念ながら自動車生産には向かない国
  • jpgawd
    ホンダはアメリカに強いし、日産はサッチャー政権の頃から英国に工場進出している。
     ルノーとの関係も含めて、日産はヨーロッパ、ホンダはアメリカをメインにするのもありでは。
     「〜をどうして日本で出さない」というのは聞くだけムダ。日本人はどうせトヨタ車以外買わない。出したら出したで難癖つけて「やっぱりトヨタが最高」というだけ。
     そして、次世代自動車としてのEVは未だに全否定。自分が買わないだけでなく、集中砲火を浴びせて徹底的にけなさないと気が済まない。

     企業が、売れるマーケットに注力するのは当たり前。そして、次世代自動車を進めるのもニュートラルに評価してくれる土壌でなければ無理。日本ではEVなど絶対に売れない。売れるとしても今進められているようにBYDとトヨタの合作だけだろう。
     「これは中国車じゃない、トヨタ車」と我が身に言い聞かせBYD技術のバッテリーを搭載した「トヨタ車」のEVで溢れるだろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.0451.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村