専用の足まわりを得たST エディション
史上最高のホットハッチの1台といえた、フォード・フィエスタ STの生産が打ち切られてから1年。その楽しさを振り返ると、悲しい気持ちになってくる。
【画像】ホットハッチの最適解 フォード・フォーカス ST エディション ライバルと写真で比較 全145枚
でもその兄貴分、フォーカス STは健在だ。少なくとも、今のところは。フォードは、これも2025年に生産を終了すると発表している。
ハッチバックかステーションワゴンを選べるフォーカス STは、1998年から同社の高性能モデルの一角をなしてきた。現行は、2018年に発売された4代目。ラリー・シーンから派生したフォーカス RSは、3代目でラインナップから落とされている。
4代目は、2021年にアップデート。そして2024年に、一層のスポーティさを追い求めたエディションが追加された。
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIとホンダ・シビック・タイプRも、2024年にフェイスリフト済み。フォードが手を加えるタイミングとしては、ぴったりといえる。その実力を、英国の公道で確かめてみよう。
フォーカス STの見た目は、ホットハッチとして通常のフォーカスから差別化されている。全体的に丸みを帯びたフォルムは、空力特性を意識したもの。ヘッドライトはアダプティブLEDだ。
エディション仕様では、フロントに直径が363mmあるブレンボ社製ブレーキディスクを獲得。ドイツの名ブランド、KW社製の車高調整式コイルオーバー・ダンパーも与えられている。
車高は10mm低く、任意でさらに20mm落とせる。スプリングレートは、通常のフォーカス STより50%もハードらしい。
最高出力280ps 快適なスポーツシート
フォーカス STに載るエンジンは2.3L 4気筒ガソリンターボで、最高出力は280ps。エディション仕様でも、最高出力は変わらない。
ステーションワゴンには装備されないが、ハッチバックには、トルクベクタリング機能付きの電子制御リミテッドスリップ・デフが組まれる。アルミホイールは19インチの新アイテムで、バネ下重量を従来から10%削るという。
ドアを開くと、フォードの「シンク4」インフォテインメント・システムが稼働する、13.2インチ・タッチモニターとメーター用モニターがお出迎え。スマートフォンとワイヤレスで連携可能で、バング&オルフセン社製のプレミアム・オーディオも装備する。
エディション仕様は装備も充実。バックカメラやワイヤレス充電パッドなどが標準だ。スポーツシートは、腰痛へ配慮された新デザイン。広範囲に位置を変えられるランバーサポートを内蔵し、多様な体格の人が理想的な運転姿勢を取れると主張される。
実際に座ってみると、腰回りがしっかり支えられて快適。だが、太股部分のサポート性はもう少し欲しいと感じた。ヘッドレストが背もたれと一体だから、首や肩まわりがしっくり来ない人もいるだろう。
荷室は、ハッチバックで375L。ステーションワゴンは575Lへ大きくなる。
たくましい中回転域 日常的な乗りやすさも維持
さて、公道へ出てみよう。280psで達成する、0-100km/h加速時間は5.7秒。ゴルフ GTIと同等に鋭いが、シビック・タイプRには敵わない。
最大トルクは42.7kg-mと太く、中回転域では特にたくましい。ただし、5000rpmを過ぎるとパワーの上昇に陰りが出始める。気持ち良く変速できる6速マニュアルで、最適なギアを選びたい。
7速ATも用意され、これはトルクコンバーター式。デュアルクラッチAT級に、迅速な変速はしてくれない。シフトレバーをDにすれば混雑した市街地を安楽に走れるが、ホットハッチとしての魅力を高めるユニットとはいえないだろう。
シフトパドルで、ドライバー自らギアを選ぶことは可能。それでも、一体感が高まるわけではない。低い速度域では、変速でギクシャクする場面もある様子。
フォードは、エディション仕様をサーキット志向に調整したとしているが、公道との相性は高いまま。爽快に郊外の一般道を駆け回れつつ、ファミリーハッチバックとして日常的な乗りやすさも維持されている。
ステアリングホイールは適度に重く、反応はダイレクト。グリップ力やシャシーバランスに優れ、高い速度域での姿勢制御も、同価格帯のどんなモデルにも劣らない。躍動的な操縦性で、本当に運転が楽しいと思える。
手首を柔軟に動かし、タイミング良くペダルを傾けるだけで、直感的にカーブを克服していける。ロータリー交差点ですら面白い。7速ATでも、きついカーブから鋭く立ち上がれるトラクションを得られる。
ホットハッチのスイートスポット
専用チューニングのエディション仕様では、一層高い自信を抱ける。ピレリPゼロ・コルサが粘り強く路面へしがみつき、さらなるコーナリング性能を獲得している。
ただし、高速道路の速度域でも乗り心地は硬め。座り心地の良いシートが、衝撃をなだめてくれるが。ロードノイズも小さくない。
燃費は、カタログ値で12.5km/L。今回の試乗でも、平均でほぼ同値を得られた。積極的に走る時間が長ければ、相応に悪化するけれど。
英国価格は、通常のフォーカス STで3万7705ポンド(約716万円)から。エディションを指定すると、4万2905ポンド(約815万円)へ上昇する。ゴルフ Rと同等の価格帯といえる。
クラストップの動的能力を備え、日常的に高度なエンターテイメント性を享受できるフォーカス ST。落ち着いた姿勢制御も特長で、ベンチマークといえる完成度にあることは変わらない。
より速いモデルや、四輪駆動のモデルはあるが、楽しさに欠ける場合もある。ホットハッチのスイートスポット的な、フォーカス STの強みにブレはなく、エディション仕様はその魅力をさらに強化している。
こんな素晴らしいドライバーズカーの提供時間は、残り少ない。関心を抱き、入手可能な環境にあるなら、早めに行動へ移された方が良さそうだ。
◯:ドライバーを魅了する動力性能 一体感のある運転体験
△:少し硬めの乗り心地
フォード・フォーカス ST 2.3エコブースト・エディション(英国仕様)のスペック
英国価格:4万2905ポンド(約815万円)
全長:4382mm
全幅:1825mm
全高:1471mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:12.5km/L
CO2排出量:185g/km
車両重量:1508kg
パワートレイン:直列4気筒2261cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:280ps/5500rpm
最大トルク:42.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)
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みんなのコメント
なので、これには期待しかないのですが、日本では正規販売されないでしょう。残念です。