現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 私が考える価値あるクルマの条件 by 山本シンヤ「人とクルマが対話できることが大切。そして「作り手の魂」と「欠点を忘れる魅力」を重視」

ここから本文です

私が考える価値あるクルマの条件 by 山本シンヤ「人とクルマが対話できることが大切。そして「作り手の魂」と「欠点を忘れる魅力」を重視」

掲載 12
私が考える価値あるクルマの条件 by 山本シンヤ「人とクルマが対話できることが大切。そして「作り手の魂」と「欠点を忘れる魅力」を重視」

何か良い、の「何か」を表現するための3つのポイント

 今回、編集部から与えられたお題である「価値あるクルマの条件」。これを一般論として答えるのは非常に難しい。なぜなら、パフォーマンスを求める人、ユーティリティを求める人、経済性を求める人、コストパフォーマンスを求める人……などなど、クルマに求める価値はユーザーにより異なるからだ。

【こだわりのエンジン車】下山工場製「匠ユニット」搭載。GRヤリスを「令和時代のラストサムライ」と呼びたいこれだけの理由

 ただ、年間数百台のクルマを試乗している筆者が大切にしているポイントを、あえて言うと大きく3つ。「目的が明確である事」、「作り手の魂を強く感じる事」、そして「欠点を忘れるくらいの魅力がある事」である。

 ボクの仕事は「クルマの評価」だが、機械としての良し悪しだけを判断するなら機械を用いたほうが正確だと思う。なぜなら、私は良否判定機ではないからだ。ただ、クルマは人間が操作する以上は人間を中心に評価をしなければ、見えてこない物もたくさんある。

「このクルマ、何か安心」
「このクルマ、何か楽しい」
「このクルマ、何か良い」

 非常に曖昧な表現で申し訳ないが、読者の皆さんもそんな経験をした事があると思う。その「何か」を文字するのが我々の仕事でもある。それは絶対的な性能だけでなく、過渡の領域の性能、更に数値や計測ではなかなか表れてこない感覚的な部分などが挙げられる。ボクはそこまで含めての評価を心がけている。ちなみにそんな「何か」を実現させるために、各自動車メーカーには評価ドライバーが存在し、それを追求している。

 トヨタの豊田章男社長は「クルマは愛が付く唯一の工業製品」と語るが、筆者もその通りだと思っている。実際にステアリングを握るとクルマから人間の如く何かを訴えてくるし、操作に対するフィードバックも返してくれる。これが「人とクルマの対話」だ。その対話が濃密なほうが一体になりやすい。その一つの究極がマツダの提唱する「人馬一体」だろう。


「パフォーマンス」と「志」の融合。筆者も購入したGRヤリスは超一級品

 ここからは筆者の考える「価値あるクルマ」を紹介したいと思う。様々なジャンルにそのようなクルマは存在するが、今回は1台に絞らせてもらう。そのモデルは「GRヤリス」だ。

 筆者は直感的な「パフォーマンス」はもちろんだが、トヨタの「志」にも大きな価値あると考えている。その志とは、大きく分けると「勝つためにイチから作ったスポーツカー」と「トヨタのクルマづくりを大きく変える存在」の2点だ。

 開発の指示を出したのは豊田社長自身。彼がニュルブルクリンクで中古のスープラで運転訓練を行なっていた時、他メーカーの開発車両が抜き去る際に「トヨタさんにはこんなクルマ出せないでしょ?」と言う声が聞こえたそうだ。その時の“悔しさ”がこのクルマの開発を後押ししたという。

 実際に開発メンバーに話を聞くと、トヨタのルール/基準を超えた設計、データとドライバーのコメントを紐づけしたテスト方法、その場で直してすぐに乗ると言うスピード感、プロドライバーの積極的な起用、最後の最後までカイゼンの手を止めないしつこさ……などなど、従来のトヨタの常識を覆す手法が取られたそうだ。

 これはトヨタ自身が「トヨタは本当にこのままでいいのか?」と言う問題定義を、モノづくりを通じて解決した一つの例だ。その結果、世界の多くのユーザーから高い評価・支持を得ているのは、言うまでもないだろう。

 そんな経緯を知れば知るほど、「自分が買わずに誰が買う!!」と思い、2年前に後先考えずに購入した。今でもその時の判断は間違っていなかったと確信している。


山本シンヤ プロフィール

やまもとしんや/静岡県生まれ。自動車メーカー商品開発、チューニングメーカーの開発を経てモータージャーナリストに転身。「造り手」と「使い手」の気持ちを伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗る。AJAJ会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース

みんなのコメント

12件
  • この記事には大いに共感する。自分はクルマに関しては、飛び抜けたパワーや周囲の耳目を集めるようなデザインは要らない。千変万化する路面状況や天候下でも安心して運転が出来、ドライバーの意思にキチンと応えてくれる車が良いと思っている。それで現行インプレッサをえらんだ。他にも良い車は沢山あるが、自分はこの車に満足している。
  • デザインに惚れるかどうかはかなり重要。
    走りがどうとかはそれからかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.0533.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

225.01280.0万円

中古車を検索
GRヤリスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.0533.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

225.01280.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村