2021年9月29日、日産は「e-POWERシルフィ」を中国で発表した。これが中国市場初の「e-POWER」搭載モデルとなる。
シルフィといえば、2019年4月の上海モーターショーで世界初公開された際、そのスタイリッシュな姿が日本でも話題となった。中国市場では同年7月より販売されているほか、2020年11月には、米国市場でも新型「セントラ」として発売開始となっているが、日本では、この新型の登場はなく、前型が2020年9月をもって生産終了となってしまっている。
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ご存じのとおり、日産は国内市場において、キックス、そしてノートなどの新型車で、ガソリンモデルを用意せずにe-POWERモデルのみとするなど、e-POWERモデルに力を入れている。そうなると、期待してしまうのが、この「e-POWERシルフィ」の日本導入だ。はたして、この「e-POWERシルフィ」が日本に導入される可能性はあるのだろうか。
文/吉川賢一、写真/NISSAN
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e-POWERシルフィの最大トルクは300Nm!!
シルフィ(B18)は、全長4641×全幅1815×全高1450mmと堂々としたサイズ。先代シルフィ(B17)に対して全長+2ミリ、全幅+55ミリ、全高-45ミリとなり、ワイド&ローのスタイリッシュなスタイリングへと進化した
今回の発表のなかで、「e-POWERシルフィ」は、最大トルク300Nmを発揮するe-POWERを搭載し、5種類のドライビングモードを切り替えることで、走行シーンや走行環境に合わせた、最適な走行性能が得られる、としている。燃費に関しても、100km走行あたりのガソリン消費量は3.9リットル。これは、25.6km/Lに相当し、相当な低燃費車といえる。
日産は、「2050年までに、事業活動と製品のライフサイクル全体にて、カーボンニュートラルを実現する」というグローバル目標を達成するため、2030年代の早期より、主要市場に投入する新型車のすべてを電動車両にすると発表している。そのうち中国市場では、2025年までにe-POWER車を6モデル投入予定であり、今回のe-POWERシルフィがその第一弾となる。
現時点で、e-POWERシルフィの素性について分かっていることは、最大トルクが300Nmという点のみ。ただ、パワートレインにいくつものバリエーションを持つと、開発費や製造コストが膨大に発生することを考えれば、現在持っているe-POWERのどれかを採用する可能性が高い。
現在市販されている日産車が持つe-POWERは、キックス用の1.2L直3発電エンジンのEM57(最高出力129ps/最大トルク260Nm)、セレナe-POWER用の1.2L直3発電エンジンのEM57(135ps/320Nm)、そして2020年以降に登場した第2世代e-POWERが、ノートやノートオーラ用に使われている1.2L直3発電エンジン(HR12DE)のEM47(116ps/280Nm)、新型キャッシュカイe-POWER用の1.5L直4VCターボ発電の新システム(187ps/330Nm)だ。
シルフィは、CセグメントのFFセダン。であれば車重は1400kg程度だろう。それらを加味すると、中国向けのe-POWERシルフィには、現行ノート/ノートオーラ用の1.2L直3発電エンジンをチューニングした「e-POWER」が搭載される、というのが筆者予想だ。
中国仕向けの新型エクストレイルにも搭載か
新型エクストレイルは2021年4月に中国・上海モーターショーで発表されたほか、「ローグ」の車名で発売される米国でもデビュー済み
日産は、2021年の上海モーターショーにおいて、中国市場向けの新型エクストレイルを発表している。このときも「e-POWER登場か」と注目されていたが、パワートレインに関しては、「VCターボを搭載する」という発表のみで、e-POWER搭載に関するアナウンスはなかった。
しかし、この翌日に、欧州日産はプレスリリースで、「新型エクストレイルではe-POWER搭載車が入手できるようになる」と、e-POWERの設定を明言している。日産が、新型エクストレイルへのe-POWER搭載を明らかにしたのは、これが最初だ。この「エクストレイルe-POWER」はおそらく、日本はもちろん、今後中国市場にも導入されるであろう。
「エクストレイルe-POWER」に搭載されるe-POWERは、欧州の新型キャッシュカイに搭載される1.5LのVCターボを発電専用エンジンとした「e-POWER」と、新開発の12Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1.3Lの直噴ターボエンジンとなるだろう。
e-POWERシルフィ日本導入の可能性は80%!!
現行ノートは、ノーマルエンジンを廃止してe-POWER専用車として登場。モーターやインバーターを一新した、第2世代のe-POWERを搭載
e-POWERシルフィの日本導入に関して、今のところ、日産による明言は一切ない。しかし筆者は、シルフィの日本導入は「80%」程度はある、と予測している。その理由は以下の通りだ。
2年前の5月28日、日産がオンラインで開催した、2019年度決算・事業構造改革計画発表において、日産は「日本市場は電気自動車の拡大(SUVと軽を追加)、電動化(e-POWERもしくはハイブリッド)を25%から60%にまで引き上げる」とし、具体的には、日本市場へ「e-POWER車を6車種、ICE車(ガソリン車)を3車種、EVを3車種導入する」と説明している。
ご存じの通り、日本では、2020年末に登場したノートが、全グレードe-POWER車となって登場した。筆者の予測だが、日本で中国や北米で販売されている(ガソリンモデルの)新型シルフィが導入されなかったのは、ガソリンモデルを導入せず、このe-POWERシルフィだけを導入するためだったのではないだろうか。
さらに内田社長兼CEOからは、グローバルで「Bセグメント、Cセグメント、Dセグメント、EV、スポーツを強化する」という大きな戦略の宣言もされている。e-POWER車は、日本市場へはこれまで、キックス、新型ノートが投入されてきた。
今後、まもなく登場する新型エクストレイルにも搭載されることはまちがいないが、これらを考慮すると、残りの3車種にこのe-POWERシルフィが含まれている可能性は大きく、日本市場導入は秒読みではないか、と筆者はみている。
唯一気になるのは、日本市場でのセダン不人気だ。売れ筋であるコンパクトカーやSUVにも力を入れつつも、カッコいいと日本でも定評のあるシルフィを日本に導入してセダンファンの期待に応えることは、セダンの復権だけでなく、日産の復権にも繋がってくるように思う。日産のチャレンジを期待している。
電動化の推進計画
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