新型クラウンはやはりセダンだろ！ 超イメチェンで世界一のデザインを目指す

　本日2022年9月1日、ついに新型クラウンクロスオーバーが発売となった！　クラウンには他にスポーツとエステート、そしてセダンと全部で4つのバリエーションがある。

　この中でも「クラウン」といえば、やっぱり気になるのはセダンだろう！　というわけで新しいコンセプトとデザインをまとった新型セダンへの期待を、清水草一氏にリスペクトとともに語ってもらった！

文／清水草一、写真／奥隅圭之、TOYOTA

■「しがらみ」を捨てた新生クラウンセダン

新型トヨタ クラウンセダンの全長は5030mm。5メートルの大台を超えた

　一気にお披露目された4つのクラウン。個人的にはまずクロスオーバーに目が行き、続いてエステート、スポーツを凝視。セダンは、どちらかというと「オマケ」のような気もしたが、世間的にはそうではなく、「やっぱりクラウンはセダン！」ということで、セダンの注目度が高いという。

　公開された新型クラウンセダンはモックアップモデルであり、中身はカラッポ（というか粘土）だ。あと1年半の間にどう仕上げてくるか五里霧中だが、あのままであることを前提に、デザインを評価してみよう。

　新型クラウンのクロスオーバーとエステートは、エンジン横置きFFベースの4WDになるが（スポーツはBEV）、セダンはレクサスLSと同じプラットフォームを使い、エンジン縦置きのFRベースになるらしい。

　そのせいで、他の3モデルに比べると、プロポーションがどこがおっさんっぽく感じる。つまりノーズが長い分、フォーマルで古典的なイメージになっている。

　新型クラウンセダンを真横から見ると、意外なほど先代クラウンに似ている。どちらもファストバックスタイルのFRセダンだからである。新型は先代に比べるとトランクのノッチ部が短く、よりスタイリッシュだが、基本的なプロポーションは思ったよりも近い。

　ロングノーズは乗用車の古典的なカッコよさにとって必須要件だが、それはあくまで古典的な感覚。他のクラウンが、「今までのクラウンとぜんぜん違う！」と感じるのに比べると、セダンがそうでもないのは、これが主な原因だ。

　FRベースの採用は、サイズにも大きな影響を与えている。セダンの全長は5030mm。5メートルの大台を超えている。ホイールベースは3000mmだ。

　クラウンクロスオーバーは全長4930mm、ホイールベース2850mm。セダンはこれより全長で100mm、ホイールベースで150mm長い。

「デカすぎて車庫に入らないよ！」というクラウンオーナーもいるかもしれないが、新生クラウンは、そういったしがらみを捨てたところから生まれている。本格的に世界進出するグローバル商品でもある。既存客の犠牲はやむえないだろう。

■モダンな顔つきはクラウンセダンの大革命

先代クラウンとは大きく変わったフロントフェイス。小径LEDヘッドライトを内蔵した横一文字の黒いラインが引き締まった印象を与える

　一方、新型クラウンセダンを前から見ると、基本的にはクロスオーバーと同じ顔つきだ。

　一番目を引くのは、小径LEDヘッドライトを内蔵した横一文字の黒いライン。ヘッドライトの真上、ボンネットフードの切れ目が微妙にまぶたのように見えるので、2代目プレリュードのようなセミリトラクタブル？　と思わせたりする。

　中高年世代にとって、2代目プレリュードは、元祖デートカーとして強烈にポジティブな印象がある。2代目プレリュードっぽく見えるというだけで、若々しく感じられたりする（40年前のクルマですが……）。2代目プレリュードを知らない世代にとっても、黒い横一文字のフェイスラインは斬新ではないだろうか。

　リヤは、流行りの横一文字のテールラインを持ち、バンパー部の左右には、えぐりこむようなエアアウトレット的な造形がある。近年、BMWがM4などスポーツモデルに積極的に採用している造形で、既視感はあるものの、クラウンセダンが目指す境地を感じさせる。

　総合的には、サイドビューにはそれほどの斬新さはないが、やっぱりクルマは顔が命。クロスオーバー同様、まったく新しい顔のディテールになっているので、それだけでリボーン感は十分高い。

　先代クラウンのデザインが中途半端に終わったのは、スポーティな6ライトのファストバックスタイルを採用しながら、顔がおっさんのままだったからだ。しかし新型クラウンの顔は、2代目プレリュードなのである。やっぱりそれは、クラウンセダンの大革命だろう。

　しかし、顔以外は比較的オーソドックスで、あまり突飛な部分はない。なによりサイズが雄大だ。それだけでこれまでのクラウンとは別物に感じるはず。実物を前にすれば、迫力に圧倒され、「カッコイイ！」と思うのではないだろうか。

　私は若い頃、パリで6代目クラウンを見かけたことがある。日本大使館の公用車らしき、黒塗りのセダンだった（当時クラウンは国内専用モデル）。日本では何も思わなかったが、パリの街並みの中では絶望的に不格好で、見るからに後進国の役人が乗りそうなクルマだった。

　あの、海外で見たクラウンの超絶レベルのカッコ悪さを思うと、その延長線上を歩んできたクラウンが生き残るためには、まったく新しい形に生まれ変わる必要があったことは確かだ。新型クラウンセダンは、その要求をおおむね満たしているのではないだろうか。

Comments

2代目プレリュードの低く精悍なイメージとこのクラウンの顔はイメージがダブらないけれどそれは清水氏の感覚なんだろうな。
新クラウンは日本を見ていないので世界でどれだけ売れるかだよね。とくに今でもセダンの需要がある中国大陸で売れればトヨタはいいんだと思う。俺は新しいクラウンファミリーは嫌いじゃないよ。

セダンは消滅と得意げに言ってたベストカーが何を。
もうあのガセネタはなかったことにしてる。