トップのプリウス12万5587台に対してワースト1は僅か26台!? 年間販売台数ワースト10の顔ぶれと、販売データには現れない存在意義とは。
2019年の登録車販売台数ベスト5は、プリウス、ノート、シエンタ、カローラ、アクアという順位で、シエンタの躍進をはじめとしたトヨタの強さが目立つ結果となった。
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上記のベスト5車は、いずれも年間10万台以上を販売しているが、対照的にその100分の1以下しか売れない車たちもある。しかし、車の価値は販売台数=どれだけ売れたかだけではない。
2019年の登録車販売ワースト10と販売台数だけでは計り知れない価値とは。
◆2019 年間販売台数 ベスト10(軽含む)
1位:ホンダ N-BOX/25万3500台
2位:ダイハツ タント/17万5292台
3位:スズキ スペーシア/16万6389台
4位:日産 デイズ/15万7439台
5位:トヨタ プリウス/12万5587台
6位:ダイハツ ムーヴ/12万2835台
7位:日産 ノート/11万8472台
8位:トヨタ アクア/10万3803台
9位:ダイハツ ミラ/9万4527台
10位:日産 セレナ/9万2956台
文:永田恵一
写真:編集部
【画像ギャラリー】あわせて知りたい! 2019年新車ベスト10の顔ぶれは??
【10~8位】日本車には珍しいモデルからエポックな車も登場!
■10位:スズキ バレーノ/732台
バレーノ(2016年発売)/価格:176万円(XT)
バレーノは、「全長は4m以下だけど、全幅は3ナンバーサイズ」というポジションとしては、VW ポロやルノー ルーテシアといった輸入車に近いコンパクトカーで、インドで生産されている。
登場時には日本車では珍しい1Lの3気筒ターボエンジンを訴求し、このエンジンの評価も悪くなかった。ただ、インド製のためか、クオリティが日本人の期待には届いていない点やあまりにも存在感が薄いことが理由で販売は低迷している。
今は辛い時期となっているバレーノだが、今後スズキがインド製のモデルを輸入する際にはバレーノの経験が役立つに違いない。そういった蓄積を行うことが現在のバレーノ最大の存在意義になっているように感じる。
■9位:レクサス LC/656台
レクサス LC(2017年発売)/価格:1326万3148円
レクサスLCは、BMW 8シリーズなどをターゲットとしたラグジュアリークーペとして2017年に登場した。
車自体は、LCの車名に「レクサスチャレンジ」の意味も含まれているのが納得できるくらい、全体的にコンセプトどおりでレクサスNo.1の仕上がりとなっている。
あまり売れていないのは約1300万円からという価格や普遍性のある車種ではないのを考えればやむを得ない。むしろレクサスが高級ブランドの証として「こういった本当に贅沢なクルマを持っている」ということを大いに評価したい。
■8位:トヨタ MIRAI/644台
トヨタ MIRAI(2014年発売)/価格:740万9000円
まだ世界に数車種しかない燃料電池車のパイオニアであるMIRAIは、価格こそ741万円だが、202万円という政府補助金(地域により地方自治体の補助金もある)により、実質的な価格はクラウン級と、見方によって激安な車ともいえる。
しかし、如何せんインフラとなる水素ステーションの整備が間に合っていないことで買いにくく、販売も伸び悩んでいる。
だが、MIRAIの販売は2015年から2018年まで411台、950台、766台、575台と安定しており、インフラの整備状況を考えれば健闘していると言えるのではないだろうか。
MIRAIは、2020年中に2019年の東京モーターショーで公開された次期型にフルモデルチェンジされる。次期型は後輪駆動でクーペルックのセダンというエモーショナルな燃料電池車になるため、非常に楽しみだ。
【7~4位】日産筆頭に名門フラッグシップがランクイン!
■7位:日産 フェアレディZ/546台
フェアレディZ(2008年発売)/価格:397万9800円
現行フェアレディZは、現在の日本車だとトヨタ スープラが近い存在となる、3.7L・V6エンジンを搭載するスポーツカー。
乗ると登場から12年目ということもあり古さが否めないところもあるが、フェアレディZらしい豪快なキャラクターは魅力だ。
古さや3.7Lゆえの自動車税の高さなど、売れていないのも仕方ない。
しかし、故・徳大寺有恒先生が「伝統あるフェアレディZがなくなる時は日産が自動車メーカーを辞める時だ」とよくおっしゃっていたように、フェアレディZは日本車としては数少ない世界に影響を与えたクルマ。それだけに意地でも作り続けて欲しい。
幸いなことにここ2年以内に超ビッグマイナーチェンジといわれる大改良の噂もあり、これをきっかけとした浮上を大いに期待したい。今はその時のための“産みの苦しみ”の時期に違いない。
■6位:ホンダ レジェンド/407台
レジェンド(2015年発売)/価格:720万5000円
レジェンドは3モーターというハイブリッドの4WDが最大の特徴となる、ホンダのフラッグシップセダンである。
2019年11月に1000km以上乗ってみたところ、全体的にビッグセダンとしてはスポーティな方向に振り過ぎている感はあったが、個性の強さは確かだった。
レジェンドはブランドイメージの弱さも大きな原因に売れていないが、それでもホンダが作り続けていることは大変立派なことである。
また、2020年夏に登場するホンダ最新の自動運転に近い運転支援技術を盛り込んだモデルはレジェンドになると言われている。
そういった技術を世に出すにも高級車は必要であり、その時にレジェンドは脚光を浴びるはずだ。
■5位:トヨタ センチュリー/384台
センチュリー(2018年発売)/1996万2963円
2018年に現行型センチュリー(3代目)は、「すべては後席に乗る要人のために」というコンセプトで開発された、主にプロの運転手さんが運転する“ショーファーカー”である。
その仕上がりはほぼ完璧で、2019年の407台という販売台数は少ないというよりむしろ「2000万円のクルマが407台も売れている」と考えるべきではないだろうか。
また、センチュリーにはショーファーカーという役割に加え、トヨタとしては異例の手作り生産による各部の生産技術伝承という存在意義も大きい。やはり、センチュリーはトヨタだけでなく、日本にとっても必要なクルマだ。
■4位:日産 シーマ/159台
シーマ(2012年発売)/価格:823万1300円
4代目モデルとなる現行シーマは、フーガをストレッチしてリアシートを広くした、ショーファーカーユースが中心となるモデルである。
現行シーマは登場から約8年が経っているものの、なかなか快適な車で、コストパフォーマンスも高いといえば高い。
売れていないのは事実としてもショーファーカーとしての素質は悪くないので、道のりは険しいと思うが、フーガも含めてフルモデルチェンジを期待したい。
【3~1位】ワースト3は希少なモデル揃い! 気になるワースト1は??
■3位:三菱 i-MIEV/100台
i-MiEV(2010年発売)/価格:300万3000円 ※2018年4月改良モデルから登録車
i-MiEVは、スバルのプラグイン ステラと並んで登場が早かった量産電気自動車である。
登場から約11年が経過し、i-MiEVは歩行者保護の法規対応のため軽自動車から登録車に移行している。そのため軽自動車の維持費の安さもなくなり、ユーザーが購入する理由はゼロに近いというのが率直なところだ。
それでも歩行者保護対応をしてまで存続している意義は、日産が2019年の東京モーターショーに出展した軽EVのIMkが市販化されるまでの繋ぎのような意味が大きいように感じる。長年頑張ったi-MiEVのためにもIMkには大きな成長を望みたい。
■2位:ホンダ クラリティPHEV/68台
クラリティPHEV(2018年発売)/価格:598万9500円
クラリティは燃料電池車とプラグインハイブリッド(PHEV)を持つラージサイズのエコカーである。
クラリティPHEVは、WLTCモードで101kmというEV走行距離、24.2km/Lのハイブリッド燃費など、日本人にはわかりにくいスタイル以外、車自体は申し分ない。売れない理由の90%は約600万円という米国よりも200万円近く高い価格に尽きる。
価格を米国並みにすれば現在の100倍は売れそうな車だけに、今のまま「ホンダもPHEVをやっていますよ」という証拠作りのような車にしておくのは非常にもったいない。
■1位:ホンダ NSX/26台
NSX(2016年発売)/2420万円
2019年日本で一番売れなかった車はNSXだった。
3モーターのハイブリッド4WDとなるスーパーカー「NSX」は、2420万円という価格もあり売れる車ではないにせよ、日本でここまで売れていないというのも意外だった。
(もっとも生産計画の関係で販売台数は、当初からこの程度を予定していたという側面もあるだろう)
しかし、NSXがオリジナリティの高いスーパーカーであるのは事実。今後も改良やスパルタンな「タイプR」の追加なども行いながら、ホンダのシンボルカーとして存続し続けて欲しい。
◆ ◆ ◆
よく考えてみると、売れていない車にも何らかの存在意義があるものである。
それだけに今は売れていない車たちが、何らかの形で花開く日が来ることを心待ちにしたい。
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みんなのコメント
でも日産の二種は別に特殊でもないし完全に放置が原因だな
バレーノ以外は特殊車両に近い。
レジェンド、シーマは微妙だが。