11月17日、静岡県の富士スピードウェイでENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第7戦『S耐ファイナル富士』の決勝が行われた。レースは1号車中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也)が総合優勝を飾り、ランキング3位から大逆転でST-Xクラスのチャンピオンに輝いている。
ST-Xおよび前戦で埼玉 GB GR Supra GT4に決定しているST-Zクラス以外のチャンピオンは、ST-TCRが98号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC、ST-1が2号車シンティアム アップル KTM、ST-2が225号車KTMS GR YARIS、ST-3が39号車エアバスター WINMAX RC350 TWS、ST-4が3号車ENDLESS GR86、ST-5が17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2となった。
いよいよ最終戦を迎えた2024年のスーパー耐久。決勝日は朝から晴天に恵まれ、気温はお昼の段階で23度と11月の富士スピードウェイとは思えないような暖かさとなった。全9クラス65台が争う4時間レースは定刻どおり12時30分にスタートが切られ、各マシンがシーズン最終戦の大一番レースに臨んでいった。
総合優勝を争うST-Xクラスは、まずスタートで33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがポールポジションからトップをキープして1周目を終える。その背後では2番手の81号車DAISHIN GT-R GT3の藤波清斗に1号車中升 ROOKIE AMG GT3のジュリアーノ・アレジが襲いかかるが、ここは藤波が2番手を守る。
2周目以降はST-X以外の各クラスでバトルが勃発するなか、スタートから20分過ぎのレース12周目、ST-3クラスの16号車岡部自動車Z34が300Rでクラッシュ。車両回収などの処理をするために早くもフルコースイエロー(FCY)からのセーフティカー(SC)が導入された。
今回の4時間レースでは、ドライバー交代を伴う3回のピットインが各車に義務付けられているため、このSC中に多くのマシンがピットインを行い、まずは1回目のピット作業を消化していく。レースは再開に向けて作業が進められていたが、コースのガードレールを修復する必要があることから、レース残り3時間17分で赤旗中断となる。
コース上のマシンは一度ホームストレートに整列するが、赤旗中断中もレース時間は進むことから、各チームはここで赤旗時間を除く43分間に改めれたAドライバーの最低義務周回時間など、戦略の見直しを求められることに。その後レースはコース復旧作業の完了後、68分間の中断を経て14時20分から残り2時間10分でセーフティカー先導のもとで再開となった。
リスタート後は81号車DAISHIN GT-Rがトップとなっていたが、黄旗区間中の追い越しでドライブスルーペナルティが科され後退すると、ランキングトップの23号車TKRI松永建設AMG GT3を駆る中山友貴がST-Xのクラストップに立つ。
残り1時間33分では、ダンロップコーナーのデブリ回収のために二度目のFCYが導入され、1号車中升 ROOKIEはピットレーンクローズ前のピットインを決める。各車が隊列走行するなか片岡龍也にドライバー交代した中升 ROOKIEは、二度目のピットイン後に23号車TKRIの前に出ることに成功する。
しかし残り1時間26分のレース39周目、ダンロップコーナーへの進入でST-Zクラスの34号車TECHNO FIRST R8 LMS GT4ががクラッシュ。これで三度目のFCYが出され、その後SCに切り替えられたが、ふたたびガードレールの修復が必要になるため、今レース二度目の赤旗中断となった。
作業完了後、レースは16時から再開を迎えることが決まった。なお赤旗中断が2回となったため、Aドライバーの義務周回時間が『免除』となるが『少なくとも1回乗車しコントロールラインを2回以上通過する』こと、そしてレース中の義務ピットイン回数が『2回』に変更されることが公式通知で提示された。得点については、赤旗でのレース終了ではないのでフルポイントのままとなる。
レースは残り26分というスプリントでリスタートに。そのタイミングでAドライバー未乗車や義務ピット回数をこなしていない車両がピットロードになだれ込んでくる。その後は各クラスで最終盤に向けた攻防が繰り広げられるが、残り11分というところでST-4クラスのチャンピオンを争っていた41号車エアバスターWINMAX GR86 EXEDYの左フロントタイヤが外れるトラブルで、四度目のFCYが導入される。
レースは41号車の回収完了後に残り5分で再開。ST-Xはこの時点で2番手の23号車TKRIがランキングトップを守るかと思いわれたが、Aドライバーがまだ乗車しておらず残り3分でピットイン、これで5番手まで順位を落とすことになり、今回で今季3勝目を飾った1号車中升 ROOKIEが大逆転でチャンピオンを獲得することになった。
ST-Zクラスは序盤こそTEAM ZEROONEの2台がワン・ツーを築き、その後方にNANIWA DENSO TEAM IMPUL Zが続くというニッサンZニスモGT4の上位独占となっていたが、最後となる四度目のFCYが導入される直前でピットインすることに成功した59号車2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO(チアラバノン・カチョーン/卜部和久/立川祐路)が終盤までクラストップを守り、そのままチーム初優勝を飾った。
M&K RacingのFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR同士が序盤からデッドヒートを繰り広げたST-TCRは、クラスポールからスタートした98号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚)がトップを守りきって優勝、そのまま今季のチャンピオンも決めている。
ST-1クラスはシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)がスタートから快調に走行を続け、一瞬スロー走行すり場面こそあったものの総合20位で完走。ST-2クラスはレース序盤からホンダ・シビック・タイプR勢が上位を争い、SPOON リジカラ CIVIC(山田英二/小出峻/ピストン西沢/三井優介)が初優勝、チャンピオンは225号車KTMS GR YARIS(一條拳吾/奥本隼士/平良響)が獲得している。
岡部自動車とTRACYSPORTS with DELTAが争うST-3クラスは15号車岡部自動車Z34(前島秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥)がポール・トゥ・ウインを飾ったが、2位に入った39号車エアバスター WINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/眞田拓海)がポイントリードを守りチャンピオンに輝いた。
ST-4クラスは、二度目の赤旗再開後に3号車ENDLESS GR86の小河諒と41号車エアバスターWINMAX GR86 EXEDYの冨林勇佑が、前に出たほうが王者となるマッチバトルを繰り広げる。そのなかで41号車エアバスターGR86がリードを広げたが、残り11分で左フロントタイヤが外れるトラブルに見舞われ悔しいストップ。これで3号車ENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河)のチャンピオンが決定した。レースは884号車シェイドレーシング GR86(影山正彦/国本雄資/山田真之亮/鶴田哲平)が制している。
ST-5クラスは、レース2周目に17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦)がトップに立つと、終盤の65号車odula TONE 制動屋 ROADSTER(外園秋一郎/太田達也/黒沼聖那/池田拓馬)とのバトルも制しトップチェッカー。ランキングトップの88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/有岡綾平/吉田綜一郎)が5位となったため、クラス優勝の17号車MAZDA2が逆転チャンピオンに輝いている。
開発車両が参加するST-Qクラスは、92号車GR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/松井孝允)が快走をみせクラストップの総合7位。230号車のNISSAN Z NISMO Racing Concept(平手晃平/佐々木大樹/三宅淳詞)が総合24位でクラス2位、55号車MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept(寺川和紘/関豊/井尻薫)が総合31位でクラス3位で完走している。
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