この記事をまとめると
■中谷明彦さんがレクサスの最新モデルに富士スピードウェイで試乗した
EV! 超高級ミニバン! コンパクトカーまで続々デビュー! 「快進撃のレクサス」の見事すぎる戦略
■オフロードコースで乗ったGXはレクサスを名乗るにふさわしい走破性を備えていた
■オフロードコースでは水素を燃料とするFCVバギーのROVにも試乗することができた
タフなイメージの外観にLX譲りの走破性を備えるGX
今回は、レクサスの最新モデル及び今後登場する予定の新型モデルのプロトタイプに試乗することができたのでリポートしよう。
試乗に供されたのはレクサスブランドのなかで、オフロード指向が強いSUVとして設定された「GX」。そして、レクサス初の小型コンパクトカークラス車として新たに登場することとなる「LBX」。さらに北米市場向け3列シートのSUVとして投入される「TX」、さらにはレクサス初のBEV(バッテリー電気自動車)である「RZ」と、そのステアリングシステムにバイワイヤー方式を採用した試験車である。
まず最初に試乗したのはGXだ。GXはトヨタブランドのランドクルーザー(通称ランクル)プラドとプラットフォーム(GA-F)を共有しているが、レクサスの名を冠し、アイコニックなエクステリアデザインとなったことで特別な存在感を放っている。最上級のLXが極めて豪華な仕様・装備で「砂漠を走る高級車」というイメージであったのに対し、GXはより悪路に特化し、自然の生活環境やライフスタイルに適合できる実用的なモデルとして位置づけられている。
基本的なラダーフレーム構造やパワートレインはランクルと共用しており、最低地上高は210mmが確保されている。
試乗コースは富士スピードウェイ内の一角に作られた専用のオフロードコースで、 大きなモーグル路や見通しが悪く高低差の大きな段差路、 そして森のなかを行くような細い路地、泥濘路と大きめの石を積み上げた岩石路、およびその岩石を組み上げた小さな山などと、極めてシビアなコンディションが設定されている。
以前LXが登場したときもこのコースで試乗させてもらったが、GXが同等の走破性を発揮できるのかがポイントだ。
パワートレインは3.5リッターV6ガソリンターボエンジンで、10速のATトランスミッションを組み合わせている。そのパワートレインは縦置きされ、センターデフからフロントにプロペラシャフトを伸ばしフルタイムで4輪を駆動することが可能なシステムとなっている。もちろん後輪2輪で駆動するFR状態でのオンロード走行も可能だが、今回の試乗はオフロードということで、オフロード走行に特化したマルチテレインモードでアクティブトラクション性能を発揮させ走破するように指示された。
走り始めのモーグル路は右、左と互い違いに高さ5~60cmはあろうかという大きな段差で構成されていて、前輪と後輪が左右交互にフルストロークする。
GXのフロントサスペンションはダブルウイッシュボーン、リヤはリジットアクスルであるが、そのホイールのアーティキュレーション、つまりストロークは非常に大きく、 この程度の段差は意にも介さず、車体は限りなくフラットに保たれたまま通過することができる。
意図的に対角線上の車輪を浮かせて見ると、その車輪は空転を開始するが、直ちにブレーキを掴みLSD効果が発揮されてトラクションを有効に得ることができる。そんな状況が左右交互連続して現れても問題なくクリアすることができた。4LL走行モードを選択すると、その時点でセンターデフがロックされることとなり、 それだけでも力強いトラクションを有効に発揮するのだ。
自然と調和しながら自然を楽しむレクサスの新提案がROV
次に泥濘路へ歩みを進めると、マッドテレインタイヤではないダンロップ・グランドトレックAT23というタイヤにも関わらず、電子制御が作動介入することなく4輪駆動本来のシステムが持つ駆動力だけで、スムースに走り抜けることができた。
道幅の細いルートへのタイトターンでは、ステアリングをフルロックまで切り込むが、その操舵力は極めて軽く、また最大操舵角も大きいので、 車体の寸法からは想像できないほどに小さく曲がることが可能だ。路面からのキックバックなどはうまく抑え込まれ、ハンドルを取られることもほとんどない。ちなみにステアリング機構には電動パワーアシストが採用されており、ダブルピニオンのステアリングシステムとして構成されている。
最後のステージは大きな石が敷き詰められた路面で、高さ1mほどの小山が造形されている。フロントカメラ画像を合成し、エンジンフードが透けて見えるようなイメージ画面がモニターに映し出され、直接目で見ることができなくてもモニター画面を通して車体下の路面状況を知ることができるのはありがたい装備だ。
この石の敷き詰められた小山を乗り越えるにあたってはモーグル制御を起動させ、時速1kmから5kmで進むことができる。 任意の速度を設定しておけば、 ドライバーはアクセルもブレーキも踏む必要はなく、ステアリングにのみ集中して走破するができるのはありがたい。
こうした極悪路での走行でもボディのきしみ音ひとつすることがなく、非常に剛性の高いシャシーと、また静かなエンジンによる静粛性、そして電子系制御の介入の適切な度合いなどで、GXがレクサスを名乗るにふさわしい走破性を備えていることがわかった。
室内の装備やデザインの使い勝手などにおいてもレクサスクオリティが取り入れられており、LXとは異なる快適性と実用性を保っていた。
新型GXもこれまでどおり北米を中心に世界的に将来にわたり高い人気を得るベースとなる資質を備えていることが確認できた。
このGXの試乗会場には、もうひとつ魅力的な車両が用意されていた。それはROV(レクリエーショナルオフハイウェイヴィークル)と呼ばれるオフロード専用の小型バギー車だ。
ヤマハが北米で販売しているYXZ1000SSをベースに、レクサスがさまざまなアレンジを加え、レクサスブランドの魅力を表現しているという。新型GXの逞しい悪路走破性を活かして、GXが踏み込めないような自然のなかでアクティビティを楽しむためのアイテムになるという。
このROVには1リッター3気筒の内燃エンジンが搭載されているが、 それがなんと気体水素で稼働するよう改造されているのだ。ミライに搭載されているのと同じ構造で小型水素燃料タンクを搭載し、フル充填で約30分間の走行が可能だという。
エンジンを始動すると、それはガソリンエンジンと同じサウンドが発され、しかし排出される排気ガスは水蒸気のみといった環境に極めて優しいエンジンとして仕立てられている。厳密に言えば、大気を燃やすので水蒸気だけでなく一酸化炭素やNoX(窒素酸化物)なども微量が含まれるが、 少なくとも環境には十分に優しい。
また、ショックアブソーバーに使用するオイルにも、たとえば地面にこぼれ落ちても自然と土に戻るような自然由来のものが使用されている。ボディパーツや外装パネルもしかりなのである。
レクサスのRVOは自然と調和しながら自然を楽しむことが理に叶って行えるということで、新しいモビリティのアクティビティツールとして大いに魅力を感じさせてくれるのである。
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みんなのコメント
側面容姿が
LはLでもLandRoverのLだわ
ディスカバリー6で オk