現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【18年も据え置き】軽自動車の規格見直しは必要ないのか?

ここから本文です

【18年も据え置き】軽自動車の規格見直しは必要ないのか?

掲載 更新
【18年も据え置き】軽自動車の規格見直しは必要ないのか?

660ccエンジンは64馬力以上のポテンシャルがある

日本独自のカテゴリー「軽自動車」。規格としては戦後間もなくからある古いもので、ボディサイズとエンジン排気量を制限されていることで知られている。エンジン排気量については、かつて360ccの時代があり、その後550ccまで拡大し、現在は660ccとなっている。

【どっちがお得】1リッターコンパクトと軽自動車を5年乗った費用を比較してみた

軽自動車のナンバープレートをよく見ると、リアの封印がないことからわかるように、登録車とは異なるカテゴリー。あまり使われることはないが「届出車」とも呼ばれる。そのほか、自動車税が都道府県税なのに対して、軽自動車税は市町村税であるなど、じつは登録車とは根本的に異なるクルマだったりもするのだ。たびたび規格変更が話題となる軽自動車、その実態と可能性について考察してみよう。

さて、軽自動車の最高出力が64馬力(47kW)の自主規制となっているのは550cc時代からの名残であり、本来のポテンシャルに封印をしているといえる。なにしろスズキの軽自動車用ターボエンジンを積む輸入車「ケータハムセブン160」の最高出力は80馬力なのだ。

排気量拡大の話題が出ることもあるが、自主規制を撤廃しない限り、パフォーマンス面では大きな進化にはつながらないだろう。ただし、燃費面でいうと排気量アップにより低速トルクが出しやすくなり、ギヤ比の最適化と合わせてメリットは生まれると考えられる。

しかし、近距離ユースにおいてはゼロ・エミッションの電気自動車に置き換わるというグローバルなトレンドを考えると、今の段階で軽自動車の排気量を増やし、エンジンを新開発するメリットは少ないともいえる。もちろん、現在のコスト感でいえば軽自動車の電気自動車化というのは補助金を前提としないと難しい。

しかし、メーカーの枠を超えた部品共通化など電動化のコストダウンを図ることが、軽自動車の役割となるかもしれない。先日発表されたトヨタとスズキの業務提携を検討するといった動きも、こうした想像を膨らませてくれる要素だ。

軽の規格見直しは電動化を見据えてのものになるハズ

一方で、ボディサイズを制限した軽自動車規格は安全性において劣るのでは? という指摘もある。かつては衝突試験の基準において軽自動車は緩い条件だったが、現在は登録車と同じ条件であり、単独の衝突安全性については同等となっている。

なかには登録車よりも優れた結果を出すモデルもあるくらいだ。しかし、リアルワールドでのクルマ対クルマの衝突においては、それぞれの重量が大きな要素となるのは知られているところ。

自動車メーカーはコンパチビリティといってサイズにかかわらず安全性を高めることに苦心しているが、クルマ同士の衝突では軽い方に衝撃が集中することになるのは物理的に避けられない。つまり、単独事故を前提とした衝突安全性をいくら高めても、車重というファクターには敵わないのだ。

これは軽自動車に限った話ではなく、自動車全般に言えることだ。仮に1トンの軽自動車と500kgの小型車が正面衝突を起こしたら、後者のほうが危険度は高い。軽自動車だからというカテゴリーの問題ではない。もちろん、軽自動車はクルマ全体のなかで軽い傾向にあるのでクルマ同士の衝突事故になると不利な傾向にあるのは事実だ。

しかし、そうしたことを言い出すと軽自動車よりも大型乗用車、大型乗用車よりもトラックのほうがクルマ対クルマで当たったときには有利という話になるだけである。環境性能から重量軽減が言われているなかで、重量増に向かうということは考えづらい。

そうした軽量化のトレンドは軽自動車においてもキーになっている。仮にボディサイズを大きくして、少々クラッシャブルゾーンを増やしても重量車との衝突安全性が大幅に向上するのでないなら、ボディサイズの拡大という判断も難しいだろう。

ただし、前述したように電動化が進むと、それなりにバッテリーを搭載することにより結果的に重量増になってしまうことはあるかもしれない。

いずれにせよ、規格の変更というのは十年以上先までを見据えて行なうものだ。現在の軽自動車規格に変更されたのは1998年秋、じつに18年も変わっていない。20年先にはゼロ・エミッション化が進行していることが予想される。つまり、軽自動車規格の見直しは、電動化を前提としたものになることだろう。

(文:山本晋也)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
ベストカーWeb
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
AUTOSPORT web
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
AUTOSPORT web
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
くるまのニュース
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
VAGUE
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
ベストカーWeb
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
くるまのニュース
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
レスポンス
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
ベストカーWeb
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
motorsport.com 日本版
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
くるまのニュース
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
バイクのニュース
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
レスポンス
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
ベストカーWeb
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レスポンス
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村