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トヨタも軽視出来ず ダイハツのOEMで軽自動車販売せざるを得なくなった理由

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トヨタも軽視出来ず  ダイハツのOEMで軽自動車販売せざるを得なくなった理由

 現在トヨタでは、5車種の軽自動車を販売しています。乗用車の「ピクシスエポック」「ピクシスジョイ」「ピクシスメガ」と、商用車の「ピクシストラック」「ピクシスバン」です。

トヨタ「ピクシスエポック」 これらのトヨタの軽自動車は、トヨタの子会社となったダイハツからのOEMモデルで、「ピクシスエポック」はダイハツの「ミライース」、「ピクシスジョイ」は「キャスト」、「ピクシスメガ」は「ウェイク」、「ピクシストラック」は「ハイゼットトラック」、「ピクシスバン」は「ハイゼットカーゴ」が、それぞれの兄弟車に該当します。

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 ただし、トヨタが軽自動車を販売するようになったのはそれほど古い話ではなく、2011年秋からです。つまり、ほんの8年前から販売し始めたばかりなのです。

 それ以前のトヨタは軽自動車を扱っておらず、トヨタに代わって軽自動車を売るのは、1960年代から提携していたダイハツの仕事でした。つまり、軽自動車はダイハツで、大きなクルマはトヨタという、すみ分けがなされていました。

 なぜ、2011年になって、トヨタが軽自動車の販売を始めたのでしょうか。

 いちばん大きな理由は、その直前に発生した世界的に大きな経済事件「リーマンショック」があります。

 2008年にアメリカで発生した「リーマンショック」は、日本経済にも大きな影響を与え、端的にいえば、不況になって新車が売れなくなりました。

「リーマンショック」の影響で、それまで毎年300万台以上をキープしていた登録車の販売が、2009年には290万台に落ち込みます。そして2010年にトヨタは、ダイハツの軽自動車をトヨタの販売店で取り扱うことを発表。翌2011年秋より軽自動車の発売がスタートしました。

 これは、リーマンショックに苦しむ販社の救済措置と見て、間違いありません。

 また、トヨタが「軽自動車を販売しない」という方針を変更した理由のひとつには、ライバル他社の動向もあるでしょう。

 トヨタと同様に、軽自動車を扱っていなかったのが日産です。しかし、日産は2002年よりスズキからのOEM提供を受けて、「モコ」の販売をスタート。2010年には年間14万台規模の販売実績を記録するほど、順調に販売を伸ばしていました。

トヨタが軽自動車の販売を始めたのは、ディーラーや顧客のため トヨタが本腰を入れて軽自動車を売ろうと考えていたかというと、疑問です。それは年間6万台という販売の目標設定にあります。

トヨタ「ピクシストラック」 当時のトヨタの国内販売は、年間150万台以上。それに対して、年間6万台はあまりに少なすぎるといえるでしょう。

 しかも、振り返ってみれば、これまでのトヨタの軽自動車の販売実績は、2013年度の約4万3000台をトップに、2万から4万台弱に留まります。本気で販売攻勢をかけたという雰囲気はありません。

 トヨタの軽自動車販売は、疲弊した販売会社に対する数ある応援のうちの“小さなひとつ”。それが、本当のところだったのではないでしょうか。

 また、前々からトヨタのユーザーでありながら「セカンドカーとして軽自動車が欲しい」「家族のために軽自動車を購入したい」というニーズがあり、そうした声に応えるために、ダイハツのディーラーを紹介していたという現場の事情もあったようです。

 そういう意味でも、トヨタが軽自動車を扱うことを販売の現場では歓迎したに違いありません。

 トヨタに軽自動車を提供するダイハツは、2016年からトヨタの完全なる子会社となりました。目的は、小型車ビジネスの強化です。

 これにより、ダイハツは、自社だけでなくトヨタの小型車にも大きく力を発揮することが求められるようになり、現在では軽自動車だけでなく、「パッソ」「ルーミー」「タンク」など小型車もダイハツ製となりました。

 最近、ダイハツが発表した新しいクルマ作りの考えであるDNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)は、ダイハツだけではなくトヨタとの協業も見据えているといいます。

 さらに、トヨタは電動化の挑戦として、軽自動車よりも小さな新しいジャンルに電気自動車を投入するという計画もあり、ここにもダイハツが関わってくる可能性があります。

※ ※ ※

 2019年1月の東京オートサロン2019で発表された「コペンGRスポーツ・コンセプト」は、ダイハツ車でありながら、トヨタのガズー・レーシングと連携して発売を目標に開発されたものです。

 もし実現できれば、「コペンGRスポーツ・コンセプト」はトヨタ「スープラ」の末弟ということになるのでしょう。

 ダイハツとトヨタの協業が進むことで、魅力的なクルマが誕生できるというのであれば、それは喜ばしいこと。どんどんと新しい提案が出てくることを期待したいと思うばかりです。

文:くるまのニュース 鈴木ケンイチ
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