■日産「e-POWER」は果たして電気自動車なのか?
e-POWER(eパワー)搭載モデルの第2弾としてついに発売された「日産セレナe-POWER」。搭載車種の第1段となった日産のコンパクトカー「ノートe-POWER」は、2016年11月に発売開始するやいなや驚異的な人気を博し、発売後3週間で約1万6000台ものオーダーを受けました。
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日産が月間販売台数のトップに立つのは6代目サニー以来30年ぶりということで大きく話題になりました。
e-POWERのパワートレインは、エンジンは発電に徹して電気を起こし、その電気を使ってモーターで駆動するという仕掛けです。動力を生み出すのは完全にモーターなので、加速フィーリングは電気自動車(EV)そのものです。
ガソリンを入れて走るにもかかわらず、モーターならではの爽快な加速感が味わえることが人気の大きな理由になっています。
ところで、e-POWERは電気自動車なのでしょうか? それともハイブリッドなのでしょうか?
パワートレインの分類でいえば、e-POWERのシステムはハイブリッドです。燃料をエンジンで燃やして電気を起こし、その電気を使って走る仕掛けを「シリーズ式ハイブリッド」と呼び、一般的にはe-POWERもここに分類されます。
ちなみにトランスミッション(動力伝達装置変速機)にモーターを内蔵するなどモーターをエンジン出力軸上に置き、動力をサポートする仕掛けを「パラレル式ハイブリッド」、トヨタ・プリウスのように動力分割機構を設けてエンジンとモーターの両方を使い分けながら時には併用して効率よく走行する仕掛けを「シリーズ・パラレル方式」という名称がついています。
いっぽうで、動力で分類するとe-POWERは電気自動車となります。これは動力をエンジンではなく完全にモーターで生み出していることに起因。ただし、いわゆる電気自動車とは違って走行中の二酸化炭素排出量がゼロになるピュアEVではありません。また一般的な電気自動車に比べるとバッテリー搭載量が少なく済むのも大きな違いです。
というわけで、e-POWERをハイブリッドカーとするかそれとも電気自動車に分類するのか? それは考え方によります。システムとすればハイブリッドだし、動力源から分類すると電気自動車なのです。
■充電せずにガソリンを入れて走る電気自動車
そんなe-POWERがヒットしたポイントは、モーターの走行感覚を電気自動車の不安要素に対して身構えることなく堪能できることでしょう。
アクセル操作に対して反応がよく、どこまでも伸びるような胸のすくようなモーターならではの加速感はしっかりと味わえながらも、ピュアEVとは異なり充電不要で、ガソリンさえ入れれば航続距離の不安もありません。いわば“ガソリンを入れて走る電気自動車”と思えばいいでしょう。
ただし難点は、市街地走行の燃費に優れつつも、一般的なハイブリッドカーに比べると高速巡航時の燃費が低下しがちなことです。とはいえこの加速感の味を覚えて虜となったら、もう普通のガソリン車に戻れないかもしれませんね。
ノート、そしてセレナに続くe-POWER第3弾がどのクルマになるのかも非常に楽しみです。
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