ボルグワーナーは2024年5月22日、メディア向け説明会で、電動化用の最新の主要コンポーネンツと、2024年3月に発表したBYD傘下のFDB社のLFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)バッテリーパックの詳細を発表した。
ボルグワーナーは、既存の内燃エンジン用パーツからハイブリッド用、EV用まで幅広い製品ラインアップを展開しているが、電動化製品のさらなる成長と高収益化を目指している。
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電動化製品の売上は順調に増大しており、世界の小型BEV、ハイブリッド車市場は2023年から2024年にかけて20%の成長を見込み、さらにバッテリーシステムの生産能力増強により顧客の需要に対応していくとしている。
現状でもインバータ、高電圧冷却液e-ヒーター、e-アクスルや駆動モーターなどの需要増加に合わせ生産能力を高めるとともに、業界をリードする最新製品を投入している。
■LFP型リチウムイオン・バッテリー
BYDのEVは世界最先端のリン酸鉄型リチウムイオン・バッテリーである「ブレード・バッテリー」を使用しているが、そのブレードバッテリーを生産しているのが傘下のFin Dreams Battery(FDB)社だ。
【関連記事】最先端のセルとバッテリーパック技術をBYD子会社と共同で開発:https://autoprove.net/supplier_news/borgwarner/228456/
ボルグワーナーは初めて、BYD系列外でリン酸鉄型のブレード・バッテリーを採用することになる。じつはボルグワーナーは以前からBYD社とのビジネスを行なっており、共同開発への道は他社より有利な条件にあった。
ボルグワーナーはこのLFPリチウムイオン・バッテリーを、ヨーロッパ、アメリカ、アジア・太平洋地域向けの大型トラック、バス用として展開する。
そのLFPリチウムイオン・バッテリーは、商用車用に設計されたセル構造で、トラック、バス用に柔軟なパッケージングができるようになっている。バッテリー容量は100kWhが想定され、トラック用にはキュービック形パッケージ、バス用はフラット形パッケージが選択されている。
キュービック形は大型トラックの燃料タンク位置にマウントされ、バス用のフラットな形状のパッケージはフロア配置、またはルーフ上への配置が想定されている。
またバッテリーセルはパッケージのハウジングに接着される構造で、パッケージ全体を構造材として使用できるのはBYDと同様だ。
LFPリチウムイオン・バッテリーは、三元系リチウムイオン・バッテリーより安全性が高く、充電・放電の繰り返しサイクルも、より長寿命であるなど商用車にも適した特性を備えている。
■高電圧ボックス
このユニットは、車載充電器とデュアルDC/DCコンバーターを組み合わせた革新的な製品だ。DC/DCコンバーターは高電圧を12V、48Vの2系統に出力が可能で、現在の車載電装系に対応。なお、高効率のSiCを変圧に採用している。
また車載充電器としてV2Xの双方向充電を可能にしている。この機能も最新のEVには必須となりつつある。
なお、対応電圧は400V、600V、800Vと現状のEVの電圧に対応しており、3元系リチウムイオン、LFPリチウムイオンのいずれのバッテリーにも適合することができる。
■iDM(e-アクスル)
ボルグワーナーはe-アクスルの分野でも実績を誇っているが、次世代iDM「iDM180-HF」を発表している。
iDM180-HFよりEVが普及するトレンドに合わせ、次世代のe-アクスルは、よりコンパクトで、より汎用性が高いことが求められる。つまりより幅広いセグメントのEVに適合でき、さらなるパワーとトルクが求められているのだ。
「iDM180-HF」は800Vに対応し、SiCインバーターを採用することで変換ロスを低減しており、WLTPモードでの損失は従来のDセグメント用e-アクスルに比べ10%低減。またコスト面では小径化による電気機械部分の材料コスト低減、マグネット質量を40%削減するなどにより新設計ギヤボックス、SiC採用などのコスト増加分をカバーし、トータルで5%のコストカットを実現している。
また、iDM180-HFは従来のiDMシリーズより容積を縮小させ、よりEVのパッケージング、コンポーネンツ・レイアウトに対する適合性を向上させている点も大きなアピールポイントで、Cセグメント、Dセグメントの前後のアクスルに無理なく搭載することができる。
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ボルグワーナー 公式サイト
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