昨今、3列シートがウリのSUVが増えたものの実用性はいかに? 今回、青木ヨシユキが最新のマツダ「CX-8」に試乗。サードシートもじっくり体感した。
意外と実用的な3列目
「マツダCX-8の3列目のシートをチェックしてください」と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ氏。さっそく後部ドアを開けて3列目に乗り込む。ドアの開度が大きく、2列目シートのウォークインレバーを使って背もたれを倒し、座席全体を大きく前方にスライドできるので、アクロバチックな姿勢は要求されない。
サードシートの座面は低いものの、足元には“ギリ”実用的なスペースが確保される。2列目乗員の協力を得て、2列目シートの位置を少し前に出してもらえば、グッと楽になる。
Sho TamuraCX-8には、2列目がキャプテンシートになった6人乗りと、ベンチシートタイプの7人乗りが用意され、今回の試乗車は前者。足先を2列目のシートの下に差し込むこともできるが、わずかに体を捻って2列目左右間に足を伸ばすという手もある。限られた空間を斜めに活用するわけだ。側壁とシートバックに体が挟まれて意外とリラックスできる。隅っこが好きな人向き(ワタシです)。
頭まわりの空間はミニマムであるものの、それでも予想以上に閉塞感の少ない3列目である。サイドウィンドウから外がよく見えるのも、閉じ込められた感を弱めるのに役立っている。
クルマが走り始めると、後輪のほぼ真上ながら、路面からの直接的な入力はよく抑えられている。硬めな乗り心地ながら、文化的だ。むしろ気になるのはタイヤのノイズで、音が下から湧き上がってくる。装着タイヤは、純正のTOYO Proxces R46(225/55R19)だった。
居住空間としては存外実用寄りの3列目のシートであるが、体圧がクッション全体にうまく分散できないためか、30分ほどが経過するとオシリが痛くなってくる。3列目に人を乗せる場合は、こまめに乗員の着座位置をローテーションすることが、家族内・グループ内の不和を生じさせない秘訣ではないでしょうか。
500万円超のモデルも
GQエディターと代わってCX-8のステアリング・ホイールを握る。シャープでシュアなハンドリング。レスポンスのいい動力系。そしてスポーティに締まった足まわり。「CX-5」をストレッチした3列シートのSUVながら、運転した感覚がCX-5のそれとほとんど変わらないことに感心する。見ても乗っても、よく似た2台である。
CX-8は、CX-5より230mm延ばした2930mmのホイールベースに、355mm長い4900mmのボディを載せる。1840mmの全幅はおなじ。全高はわずかに高い1730mmとなる。販売開始は2017年の末。当時マツダはスライドドアを持つ「ビアンテ」の生産を終えていたので、CX-8はミニバン需要の吸収も期待された。
Sho TamuraSho Tamura翌2018年と19年の2年連続で、「3列シートSUV」という限られた市場ながら国内ナンバーワンに輝いて、広島の期待に応えた。個人的には、よほどのマツダファンでないと見分けがつかないほど「5」そっくりのスタイルが功を奏した、と睨んでいる。ベストセラーマツダの“ちょっと長い奴”というアプローチが、うまくはまったのだ。
エンジンは、2.5リッター直列4気筒のNA(190ps、252Nm)とターボ(230ps、420Nm)、2.2リッターディーゼルターボ(190ps、450Nm)の3種類。2019年秋のマイナーチェンジで、いずれのパワーソースでもFF、AWDを選べるようになった。各輪のブレーキを個別にコントロールすることで駆動力の抜けを防ぎ、悪路での走破性をアップする「オフロード・トラクション・アシスト」を新たに採用。革シートの設定拡大や、とくに2列目シートの快適性を向上した豪華な特別仕様「Exclusive Mode」をラインナップして、CX-8のさらなる底上げを図った。後者の「100周年特別仕様車」(XD/AWD/6人乗り)の価格は500万0600円。堂々のマツダ最高額車である。
Sho TamuraSho TamuraSho Tamura3列目の使用方法
CX-5、CX-8の「2019年商品改良車 取材会」には、CX-8の開発エンジニアの方がいらしていたので、「3列目のシートは子供用として十分であると感じました。やはり近所の野球やサッカーチームの子供たちを運ぶのに役立つのでしょうか?」と水を向けると、パッと表情を明るくして説明してくれた。
Sho Tamura「そういう使い方もありますけど、たとえば4人家族の場合はですね、お姉ちゃんは2列目、ボクは3列目に座る、ということも多いようです」
--それは思いつきませんでした! やんちゃ盛りの子供ともなれば、行儀よく2列目のシートに並んで座るばかりではないのですね。
「それで3列目のシートにも充電用のUSB端子を設けたのです。いまの子供はケータイが使えないと困りますから」
--なるほど。御社では、CX-8を使っている役員の人もいると聞きました。2列目のシートに、前後スライド+背もたれの電動調整にくわえ、ベンチレーション機能まで備えた豪華バージョンを新設したのはそのためですか?
「……というより、CX-8は外からのお客様を迎えるときに使われることが多いので、いわば“おもてなし”のための機能です」
Sho TamuraSho TamuraSho TamuraSho Tamura前述の通り、CX-8には2列目シートの形状で6人乗りと7人乗りに分かれるが、ミニバンユーザーは前者を好む傾向があるという。3列シートを持つクルマを、多人数乗車できるピープルムーバー(人員輸送車)というより、“余裕ある乗用車”と捉える傾向があるようだ。
--3列目のシートといえば、通常は床下に収納しておいて、祖父母や子供たちの送迎時などに、必要に応じて取り出して使うものだと思っていました
「そうですね。それとは別に、基本的に3列目はしまったままというオーナーの方もいます。たとえばご自身の趣味のためにCX-8を使われている人で、荷物を積むのに『CX-5だとちょっと狭いな』と、CX-8を購入される」
--いわば“荷室の大きなCX-5”という使い方ですね。
「そうです。荷室といえば、新しいCX-8は床下収納部の容量も拡大されています。折りたたんだベビーカーを入れたいという要望があって、それに応えました」
Sho Tamuraことほどさように、マツダの3列シートSUVは着実に進化している。恥ずかしながら、これまでは「一般的なミニバンは所帯じみてイヤだ」と、感じるオシャレなユーザーが、いわば“オルタナティブとして選択する車種”程度に漠然と考えていたのだが、使われ方の多様化と交互に作用して、ずっと幅広い支持を集めているのだった。CX-5を補完する胴長SUVとして、存在感を増している「8」である。
文・青木ヨシユキ 写真・田村翔
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