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乗り心地は上級サルーン並み フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 2024年にはGTXも

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乗り心地は上級サルーン並み フォルクスワーゲンID.バズへ試乗 2024年にはGTXも

ID.4と同じMEBプラットフォームがベース

フォードは、象徴的なモデル名を借りてバッテリーEV(BEV)のクロスオーバーへ輝きを与えようと考えたのだろう。マスタング・マッハEのことだ。だが、フォルクスワーゲンも2011年から同様なことを考えていた。

【画像】2024年にはGTXも VW ID.バズ BEVのID.シリーズ 3、4、5、6 バギー・プロトも 全116枚

同社は今から10年ほど前に、ブリーというBEVのマイクロバスをモーターショーに出展している。それ以前にも、内燃エンジンを動力源としたアイデアを披露していた。

ブリーの発表以降、2016年と2017年にもBEV版フォルクスワーゲン・タイプIIと呼べるモデルがお披露目されてきた。そしてようやく、その量産モデルが英国へ上陸することになった。2022年12月から、この地では販売が始まっている。

ID.バズは、フォルクスワーゲン・グループが開発した、汎用性に優れる前輪駆動のBEV用MEBプラットフォームをベースにしている。ボディサイズは大きく異なるが、ハッチバックのID.3やクロスオーバーのID.4なども、同じプラットフォームをベースにする。

ボディサイズが近い、次期型のトランスポーターなども採用することになる。ちなみにID.バズの全長は4712mm、全幅は1985mm、全高は1937mmある。ホイールベースは2989mmだ。

当面のID.バスは、5シーターのミニバン仕様と、3シーターのカーゴと呼ばれる商用バンの2種類が提供される。2023年には7シーターのミニバンも登場予定で、2024年には四輪駆動でスポーティなGTXも追加されるという。

タイプIIの雰囲気にID.4風デザインを融合

英国価格は、5シーターのライフ・グレードで5万7115ポンド(約948万円)から。上級グレードのスタイルは、6万1915ポンド(約1027万円)からに設定された。ID.バズ・カーゴは、それより約1万1000ポンド(約182万円)お手頃になる。

パワートレインは、203psの駆動用モーターがフロント側に1基。容量77kWhの駆動用バッテリーが、前後のタイヤ間のフロア下に敷き詰められている。トランスミッションはシングルスピードで、前輪駆動となる。

試乗車はスタイル・グレードで、20インチのアルミホイールを履いていたが、タイヤサイズが前後で異なっていた点が興味深い。フロントは235/50、リアは265/45だった。恐らく車重が2502kgと軽くなく、フロントヘビー気味なことが関係しているのだろう。

ライフでは19インチに小さくなる。乗り心地では有利なはずだ。

ID.バズのスタイリングは、2011年のブリーと、現行モデルでハッチバックのID.4を融合させたような印象。近年のフォルクスワーゲンのBEVで共通する、フロントフェイスを得ている。それでいて、オリジナルのタイプIIの雰囲気も残っている。

LEDのヘッドライトとテールライトは切れ長で、左右で連続するように処理されている。フロントバンパーの格子状のグリルもアクセントになり、クリーンでありながら特徴的な雰囲気を生み出している。

カリフォルニアと似ている操舵感や減速感

インテリアデザインは全体的にシンプル。ドライバーの正面には小さいメーター用モニターがあり、ダッシュボードの中央には殆どの車載機能のインターフェイスになる、インフォテイメント用のタッチモニターが据えられている。

ステアリングホイールのスポークにはタッチセンサーが並び、ステアリングコラムの左右にはレバーが伸びる。従来のフォルクスワーゲンでは、右側レバーはワイパーのスイッチだったが、ID.バズでは「PRND」を選択するギアレバーになった。

ワイパーのレバーは左側に移った。日本車では一般的な位置といえるが、欧州車に慣れてきた人は初め間違いそうだ。

英国の一般道を走らせてみると、従来のフォルクスワーゲン・カリフォルニアと似ている部分があることに気が付いた。比較のために、筆者が所有する1台と乗り比べてみたのだ。

ステアリングホイールの重み付けやレシオ、アンダーステア傾向でジェントルな反応などは特に近い。ブレーキペダルを踏んだ感覚や、発生する制動力も似ている。

ただし、ID.バズではブレーキペダルのストロークが長い。回生ブレーキから摩擦ブレーキへの移行時には、僅かな段付きも感取される。

ドライビングポジションは高めで、運転席からの視界は良好。ステアリングの印象も良く、全長4.7mを超えるボディでありながら、扱い難さは感じにくい。

上級サルーンのように落ち着いた乗り心地

従来のカリフォルニアと比較すると、多くの面で進化を感じる。路面の細かい入力を巧みに吸収し、乗り心地は良好。シャシーは引き締まった印象ながら、減衰力特性が煮詰められており、荒れた路面でも上級サルーンのように車内は落ち着いていた。

明確な振動が伝わってくるのは、大きな凹凸を通過した時程度。それでも、充分に角は丸められた印象だ。

最高出力203psで得られる瞬発力に不満はない。0-100km/h加速は10.2秒で、ミニバンとしては充分だろう。想像以上に速く走れる。

他方、ID.バズ・カーゴではパワートレインなどのメカニズムは変わらず、ホイールサイズが小さくなる。タイヤのサイドウォールが厚いぶん、低速域での乗り心地は若干マイルド。内装が簡略化されているため、車内はミニバン仕様より少しうるさい。

航続距離をフォルクスワーゲンは415kmと主張するが、厳しく算出したもののようだ。今回の試乗では、フル充電で497km走れるとメーターパネルに表示され、やや積極的に運転した結果でも430km近くに届いた。

フォルクスワーゲン・カリフォルニアは、欧州のファミリー層から確かな支持を集めてきたミニバンだ。新しいID.バスは一層高い水準で仕上げられており、これまでと変わらぬ支持を得ることだろう。価格はいささか張るけれど。

フォルクスワーゲンID.バズ・スタイル(英国仕様)のスペック

英国価格:6万1915ポンド(約1027万円)
全長:4712mm
全幅:1985mm
全高:1937mm
最高速度:144km/h
0-100km/h加速:10.2秒
航続距離:415km
電費:5.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2502kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:77.0kWh(実容量)
最高出力:203ps
最大トルク:31.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

5件
  • 円安物価高の影響なのか高すぎる気がする。
  • バカ高。500万以下でなければ日本でも世界でもうれないだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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