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リチャード・ウエストブルックが引退を表明。プチ・ル・マンがラストレースに/IMSA

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リチャード・ウエストブルックが引退を表明。プチ・ル・マンがラストレースに/IMSA

 リチャード・ウエストブルックが、レーシングドライバーを引退すると表明。彼は30年以上の輝かしいキャリアを終えるイベントに、10月12日(土)に決勝が行われる『モチュール・プチ・ル・マン』を選択した。

 49歳のイギリス人は、デイトナ24時間レースやセブリング12時間レースでのクラス優勝をはじめ、ポルシェ・モービル1スーパーカップ連覇、FIA GT選手権で優勝するなど数多くの実績を持つ。そんな彼にとって、ミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタで行われる10時間耐久レースがプロドライバーとしての最後のレースとなる。

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「これまで、今が適切な時期だと感じたことがなかった」とウエストブルックはSportscar365の独占インタビューで語った。

「自分が持っていた楽しさを取り戻そうとすると、もっともっとやるべきことがあるといつも感じていた。フォードでのプログラムはもちろん、その後のグリッケンハウスでのプログラムも大好きだったし、JDCでの1年間もそうだった」

「今年になって頭を打たれたように突然やってきたんだ。『今年が最後の年なんだ』ってね」

 ウエストブルックは当初、JDCミラー・モータースポーツと2年間の契約を結び、来季2025年も同社のカスタマー・ポルシェ963をドライブする予定だったことを明らかにした。このクルマは先月、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第10戦『バトル・オン・ザ・ブリックス』で表彰台を獲得している。

「今年も半分を過ぎた頃、次の世代にバトンを渡す時がきたと思ったんだ」とウエストブルックは説明した。

「僕はとても幸運だった。本当に誇りに思える素晴らしいキャリアを積んできたのだからね。ただし、それをただ続けるためだけにこの仕事をしたいとは思わない」

「自分がトラックに立つべきかどうか疑問に思ったのはこれが初めてだった。後悔することなく振り返るつもりだ」

「家族の助けを借りて成し遂げてきたことをとても誇りに思う。追い出されるのではなく、自分で決断できたことも嬉しく思う。そして今年最後のレースの前にそのことを発表できることもまた喜びだ」

 ウエストブルックは、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の間でトップレベルのプロトタイプレースを4シーズン戦ってきた。ル・マン24時間レースではグリッケンハウスのハイパーカープログラムと、チップ・ガナッシ・レーシングが運営するキャデラックVシリーズ.Rのワークスプログラムの両方で総合表彰台を獲得した。、

 しかしハイパーカー/LMDhマシンでの彼の仕事は、ほとんど偶然の産物だった。ウエストブルックは2020年にアウディR8 LMS GT3エボでニュルブルクリンク24時間レースに挑戦しようとして失敗し、SP-XクラスにエントリーしたグリッケンハウスSCG 004Cのドライブにつながった。これがジム・グリッケンハウスのチームとの接点となったのだ。

「物事の成り行きは面白い」と彼は言う。「フェニックス・レーシングと一緒にニュルブルクリンク24時間を走る予定だったのだが、そのクルマはまったく使い物にならなかった。幸いなことにフェニックスはキャンペーンを止め、彼らはそのクルマでレースをやらなかった」

「その後、グリッケンハウスから電話があって、彼らのクルマで24時間レースを走ってみないかと誘われたんだ。それがとてもうまくいって(2021年に)彼らのハイパーカーをドライブできることになった」

「それからジョン・チャーチ(JDCミラー・モータースポーツのチーム代表)の目に留まり、IMSAに戻る機会をもらった。それが今度はWECのガナッシの仕事につながった。振り返ってみると、すべては結局レースに出場しなかったアウディGT3から始まったんだ。フェニックスには感謝すべきことがたくさんあるみたいだね!」

「物事がうまくいくのは面白い。でも、決して諦めないことが“マントラ”だと思う。トップクラスで引退できることを本当に誇りに思うよ。だが、それと同じくらいGTル・マンの全盛期にいたことを本当に誇りに思っている。今振り返ると、あれは正気の沙汰ではなかった」

■GTカーのスペシャリスト

 ウエストブルックは、ポルシェ、シボレー、フォードのファクトリードライバーを経て、BMWやアストンマーティンのマシンでもレース参戦しており、GTレース界でもっとも多才なドライバーのひとりだと考えられている。

 彼は2018年にチップ・ガナッシ率いるフォードGTでデイトナ24時間を制したほか、2013年にはコルベット・レーシングから出場したセブリング12時間でGTクラスのウイナーになった。さらに、スピリット・オブ・デイトナのコルベットDPプログラムでも4シーズンを過ごした。

「フォード時代にチップ・ガナッシ・レーシングにいたときは、マイク・ハルやブラッド・ゴールドバーグといった人々や、ライアン(・ブリスコー)と一緒に仕事をしていて、自分が最高の状態にあると感じていた。本当に特別な時間だったよ」とウエストブルック。

「自分の居場所を見つけたときはいつでもそうだが、プログラムで長く働いていた時間は本当に大好きだった。キャリアの中で自分の居場所を見つけたことが何度かあったが、そのときは最高の気分だったんだ」

■今後は急成長するウエストブルック・ブルワリーに注力

 引退レースとなる『プチ・ル・マン』での大成功を目指す一方で、ウエストブルックは近いうちに自分の名を冠したブルワリー(醸造会社)に焦点を移す予定だと語った。彼は昨年、イギリスで低炭水化物ビールを製造する会社を設立している。

「本当に軌道に乗ってきた」と彼は語った。「レース人生が終わった後にやろうとずっと思っていたので、とにかくプロセスを始めたかったんだ」

「クラフトビールの業界は急速に変化している。だから、後れを取るのではないかと心配していた。とにかく何かを世に出したかった一方で、ごく小規模にやりたいと思ったいたのだが、レースと同じように急成長した」

「ふたつ(の仕事)を組み合わせるのは大変だった。今年の半ばにはビール醸造の仕事の多くを他の人に任せ、自分はもうひとつの仕事に全力を注ぐ必要があった」

「僕はジョン(・チャーチ)のためにすべてを捧げる義務がある。とくに来年はやらないと決めたいま、ジョンに“引退モード”に入ったと思われたくないからね」

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