「パジェロが生産中止」
そう聞いて、パジェロの詳しい歴史をきちんと知らない私でも、まず心に浮かんだのは「寂しい」という気持ちだった。きっとこれまでの歩みを知っている人ならなおさらその思いに駆られるのだろう。
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パジェロの残した功績
今回、パジェロ FINAL EDITONに試乗するにあたって、少しパジェロの歴史を紐解いてみた。
そもそも三菱の4WDの歴史は戦前まで遡る。陸軍用に日本初のフルタイム4WDを試作したのは三菱だったという。そして戦後、米国ウイリス社と契約し、『ジープ』のノックダウン生産を開始。当時の四駆技術は自衛隊や警察、官公庁向けのためのものだったが、70年代になると一般ユーザーのニーズも増えてきた。そこで三菱が開発したのがパジェロだ。
1979年の東京モーターショーでコンセプトカーを発表し、1982年には市販車の初代パジェロがデビュー。パリ・ダカールラリーでは、市販車無改造車としてクラス初優勝を遂げ、その後もパリダカでは、7大会連続を含む通算12回の総合優勝という華々しい成績を残し続けた。
現行モデルである4代目は、2006年に登場。前型の3代目ではラダーフレームとモノコックを融合させたラダーフレームモノコックボディを採用したほか、走行中でもレバー操作ひとつで直結4WDから2WDに切り替えることができる世界初のスーパーセレクト4WDIIを搭載したことも話題となった。そして現行モデルでは、定評のあったスーパーセレクト4WD-IIに加え、新たにアクティブスタビリティ&トラクションコントロールなどを採用し、さらにその走りに磨きをかけた。
今回のFINAL EDITONはその有終の美を飾るモデルとなっている。特別装備として、室内はブラックで統一され、高級感のある本革シートは電動でポジションが調整できる。ルーフレールや電動サンルーフなどアウトドアが楽しくなるような装備も。もちろんパジェロらしい4WD性能も健在で、通常はオプションであるリヤデフロックも搭載されているそうだ。
憧れのパジェロと長野へ
今回初めてパジェロを運転するので、まるで有名人に会うかのように内心ドキドキしていた。お借りするパジェロが目の前に登場すると、まずはその大きさに驚いた。「これこそクロカン!」と思わせる、どこへでも行けそうな頼もしい存在感。ちょっと無骨なデザインが逆にわくわくする。
今回は雲海を見るために、長野県の渋峠を目指すことに。なんと三菱には「雲海NAVI」という雲海が出現する全国のマップをまとめたサイトがあり、そこでは何%の確率で雲海が見られるかを確認することができる(予報は土日のみ)。早速調べてみると、渋峠では80%以上の確率で雲海が見られるとのこと!期待に胸を膨らませつつ、パジェロに乗り込んだ。
最初は大きなパジェロを走らせることにすこし不安があったが、フロントウィンドウがとても大きいうえに、どこまでも見渡せそうなくらいアイポイントも高い。視界がいいので、大きさの割に都内でもビクビクせずに運転することができた。
3.2L直4のディーゼルエンジン(190ps/441Nm)は、最近のディーゼル車に比べたらグログロと大きな音を立てているものの、そのぶん車体を力強く運んでくれる。速度が乗ってくると、乗り心地やハンドリングもスムースになるので、高速での移動は心地よく、長野までも思いのほか疲れずにたどり着くことができた。
クロカンらしい頼もしさ
我々の目的はここからが本番!なんと渋峠は、日本の国道では標高がもっとも高い(2172m)のだという。ここをパジェロでかけ上げって、峠のてっぺんから雲海を観測できれば、今回の体当たりチャレンジは大成功だ。
これまで高速走行では2WDにしていたが、レバーを引いて4WDに切り替える。急勾配の坂道でもパジェロはぐんぐん登って行く。さらに高まっていくエンジンのうなりを聞いていると、険しい山を一緒に「うおー!」と山登りしている気分になる。
すべてのSUVがスマートに美しくなっていく中でも、パジェロはSUV本来の荒々しさや頼もしさを肌で感じることができる。最近キャンプが流行っているが、たとえば至れり尽くせりのグランピングなどよりも、本当に自分でテントを張って、一から自炊して、川や森などの自然とめいっぱい遊びたい人には、パジェロのようなクルマの方がより楽しい気持ちになれる気がする。
日本一高い標高の国道をパジェロと息を切らして登りきると、目の前には言葉を失うほど美しい雲海が広がっていた。高原の爽やかで冷たい風を胸いっぱいに吸い込んで、山々の間にたなびく雲を眺めていると、追われている仕事や日常のめんどくさい様々なあれこれも、どこかに消えてしまう。
たった2日の短い間だったが、長距離を走ったり、山を登ったり、雲海を見たりするうちに、いつの間にかパジェロは相棒になっていた。きっとオーナーになって様々なところを訪れるたびに「冒険したい」という気持ちになって、「もっと遠くへ、もっと知らないところへ」と足を伸ばしてしまうのが想像できる。そして、さらにパジェロが好きになって、家族のようになっていくのだろうと思った。
こういったたくさんの人の思い出が詰まったクルマが日本で生産されなくなってしまうのは寂しいが、このFINAL EDITIONも様々な人の手に届いて、これからまたたくさんの思い出が紡がれていくだろう。<レポート:伊藤梓/Azusa Ito>
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