もくじ
どんなクルマ?
ー 乗用より、コスト高も?
どんな感じ?
ー 見事なフラット 厳しい後席
ー 100kg積載で試乗(NA)
ー 3名乗車で試乗(ターボ)
「買い」か?
ー N-BOXと比較 2名乗車基準か
スペック
ー ホンダN-VANのスペック
どんなクルマ?
乗用より、コスト高も?
Nシリーズに新たに加わったN-VANは、その名のとおり「バン」であり、分類では「貨物自動車等」に属する。ホンダの車種体系でも商用のアクティ系の後継車となる。
N-VANを理解する上で第一の要点は「貨物自動車等」の理解である。乗用車の内外装やハードウェアを簡素化したモデルと思われがちだが、それは誤解である。商用専用もしくは商用を主用途とするクルマの場合は適応用途に対して乗用系よりもコストを掛けていることが多い。要するにスペシャリスト型の設計なのだ。
N-VANはN-BOXのハードウェアを母体に開発されているが、車体骨格はもちろんミッションなど多くを専用設計とした。車体は左側面のセンターピラーレス構造が特徴。側突対応やフレーム剛性維持は当然だが、高くなる開閉頻度や手荒い開閉などでも十分な耐久性を保証すべく強化されている。
ATにはCVTを用いるが、ベルトやギア、ベアリングを強化した専用型である。搭載エンジンは現行N-BOXから採用されたロングストローク型のS07B。ただし、NA仕様はi-VTECを廃止し、最高出力はN-BOXより5ps低下している。なお、NA車にはS660用をベースに開発された6速MTも設定。これも専用設計となり、ギア比の見直しの他にクラッチやギアが強化されている。
ベーシックグレードで比較するとN-BOXに対して約50kg重量増だが、基本構造部での重量増は約70kgとなり、それらの大半が耐久性向上に費やされたと考えていい。ハードウェアから見るN-VANはN-BOXのヘビーデューティ仕様でもあるのだ。
どんな感じ?
見事なフラット 厳しい後席
キャビン設計は「1プラス3」。つまり、1シーターにプラス補助席3脚である。一般的に助手席も運転席と同サイズ同形状のシートを採用するが、N-VANの助手席は運転席より一回り小さくスライド機構などの機能も簡略化されている。
後席はさらにコンパクトな簡便設計。標準的な体格の男性の場合、バックレスト丈は肩胛骨下部まで。ヘッドレストのように見えるバックレストのエクステンション込みで上半身を支えるが、それも頭部を支えるヘッドレストの機能はない。レッグスペースも狭く、着座姿勢も窮屈。助手席はともかく、後席の座り心地は長時間乗車には厳しい。
運転席以外がこのような設計になるのはすべて座席収納時の積載性への配慮。結果、助手席と後席収納時の床面は見事にフラット。シートを収納したというより、取り去ったようにさえ見える。床面高も低く、がらんと広いスペースにぽつんと運転席が置かれたような状況だ。センターピラーレスによる左ドア大開口が助手席部周囲の積載性を最大限に向上させ、これまでにない積載効率と作業性を実現した。
と記せば優秀な貨物車になってしまうが、このスペースを利用して車中泊や軽作業等のフリースペースとして使えばレジャー用途の可能性も大きく広がる。そのためのアクセサリーも多く用意され、アウトドア用品やDIY家具と組み合わせて自分の趣味に特化した特装車に仕立てるのも面白そうだ。
ただし、前記したようにシート設計の問題からレジャー用途前提では2名乗車が基本になるのだが……。
100kg積載で試乗(NA)
NA仕様(写真黒)の試乗車の荷室を見れば段ボールが8つ。都合100kgのペットボトル水が積載されている。リアルな使用環境での試乗という心配りである。
最大積載は350kgなので100kgくらいは余裕で捌けなければ困るのだが、試乗印象は余裕が「ない」と「ある」の間で微妙。
「ない」のほうはトルクウェイトレシオが示すとおりで、流れに乗せた発進加速や穏やかな登坂でも5000rpm以上を頻繁に使う。空荷のMT車にも試乗したが、余裕のなさは同じで、そこにシフトの手間が加わる。速度変化や加減速に合わせて変速が忙しい。
「ある」のほうは穏やかな流れに乗った中速巡航や緩加速時の印象。そんな状況でも4000rpmくらいは常用レンジとなるが、2000rpm台の緩やかな回転変化を基本としているので、余裕があるようにCVTが上手に錯覚させてくれる。ドライブフィールより実用燃費向上が目的の制御と思われるが心理的にもメリットがある。
もちろん、実態は「ない」である。例えば、高速道路のACC100km/h巡航では緩やかな登坂でも速度維持が難しく、追従時も前走車が加速すると付いていけないこともままある。
3名乗車で試乗(ターボ)
これがターボ車(写真青)になると余裕大幅増。こちらは空荷状態だったが、さらに荷重増となる3名乗車でも試乗しているので、負担重量の問題ではない。常用回転数が感覚的には2000rpmくらい下がり、NA車全開の状況でもペダルストロークに余裕はあるし、回転数も4000rpm強で収まる。
巡航時の変速も圧倒的に穏やか。ステップ変速になぞらえれば1段上のギアでも踏み込み少なく賄えるのと同じ。ACCの高速巡航も設定車速の維持、前走車追従ともに制御精度が上がって、速度変化による回転数変化は減少。高速の余力は段違い。ACCとLKAに助けられているせいもあるが、軽商用の枠を超えた高速長距離適性。レジャー用途の大きなアドバンテージである。
サスチューンはバネを利かせて硬め。可変バネレートの効果もあって突き上げ等の衝撃は少ないが、空荷では6プライの商用車タイヤのせいもあって跳ねるような硬さも目立つ。乗員や荷物で後軸荷重が大きい時、あるいは高速域のほうがしなやかにストロークする。
見所は操安性。高速域に厳しい後軸荷重大の状態でも高い方向安定を示し、高速コーナリング中の加減速でも不安を呼び起こすような振る舞いはない。操縦感覚は初期ロールが緩く、操舵初期や追舵の反応は穏やかだが、ロール増に応じてストロークを抑える。つまり粘りと踏ん張りが利いてくるので、緩い操縦感覚の割りにラインコントロール精度が高い。N-BOXと共通した特性である。
乗り心地と荷重のバランスポイントなど商用車っぽいところもあるが、それらを含めてプライベート用途に不向きな部分はない。寧ろ、同ターボ車は軽自動車全般では高速長距離を伴うレジャー用途適性に勝っている。
「買い」か?
N-BOXと比較 2名乗車基準か
装備の上級仕様は2系統用意された+STYLE(プラス・スタイル)。NA車の価格は約156万円。N-BOXのベーシック仕様となるGは約139万円。価格差は約17万円だが、利便快適装備の差はあまりない。
ターボ車で比較するとN-BOXは約170万円のG Lがエントリーグレード。N-VANは約3万円安の約167万円弱。価格は逆転するが、N-BOXのG L系は内外装のグレードアップに加えて左リアドアのパワースライドが標準装着されている。N-VANにパワースライドドアの設定はない。
後席の居住性や乗車人数と積載荷物のアレンジのよさなども含めてN-BOXは多用途性に優れ、ファミリー&レジャー用途では軽乗用でもかなりの優等生。一方、N-VANは最大積載では圧倒しているが、キャビン機能も装備設定もファミリー向けではなく、個人用途では2名乗車を基準としたレジャー用が基本。価格が高くて用途のカバーレンジが狭いわけだ。一般的には勧めにくいモデルである。
しかし、広さと積載性に特化したキャビンを目一杯使って遊びたいと考えるユーザーには代替の利きにくいタイプである。そういった用途で長く付き合って元を取りたいと思えば費用対効果大。コスパの決め手は相性である。
ホンダN-VANのスペック
+STYLE FUNホンダセンシング(FF)
■価格 156万600円
■全長×全幅×全高 3395×1475×1945mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 23.8km/ℓ
■CO2排出量 97.5g/km
■車両重量 960kg
■パワートレイン 直列3気筒658cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 53ps/6800rpm
■最大トルク 6.5kg-m/4800rpm
■ギアボックス CVT
+STYLE COOLターボ・ホンダセンシング(4WD)
■価格 179万9280円
■全長×全幅×全高 3395×1475×1865mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費 21.2km/ℓ
■CO2排出量 109.5g/km
■車両重量 1020kg
■パワートレイン 直列3気筒658ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 64ps/6000rpm
■最大トルク 10.6kg-m/2600rpm
■ギアボックス CVT
なお、AUTOCAR JAPANでご覧の方は、「すべての画像をみる」から、外部メディアの方は、記事下の「『試乗 ホンダN-VAN(エヌバン)』すべての画像をみる」から、ほかの画像をお楽しみいただける。
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