お盆休みにはクルマでの帰省や旅行を計画している人も多いはず。しかし、長距離の走行や炎天下で延々と続く渋滞など、クルマが過酷な環境下に置かれることも多く、トラブルが急増する時期なのだ。
今回はそんなお盆休み中に起こるトラブルのなかでも、特に発生件数の多い「バッテリー上がり」の原因と対策について紹介する。完全にバッテリーが上がってしまえば、エアコンも使えない炎天下でひたすらロードサービスを待つことにもなりかねない。せっかくの休みがクルマのトラブルで台なしに……なんてことにならないよう、ぜひ参考にしていただきたい。
お盆休みに急増!! JAFロードサービス出動理由1位はバッテリートラブル! バッテリーを軽んじると痛い目に遭う!
文/入江 凱、写真/写真AC
ロードサービスが必要になるトラブル、ダントツ1位はバッテリー上がり!
エンジンを再始動した際にクルマの設定が記憶されているのは、クルマを動かしていない間もコンピュータやカーナビにバッテリーの電気が少しずつ消費されているからだ
2021年度のJAFロードサービスの出動件数は四輪だけでも約208万件。その内訳を見ると、圧倒的に多いのが「バッテリー上がり」で約88万件と全体の40%を占めている。
さらに、お盆休みはゴールデンウィークや年末年始の長期休暇と並んで、ロードサービスの出動件数が急増する時期でもある。同じくJAFのデータによると、2021年のお盆休みは対象となった8月7日~16日のわずか10日間だけで約6万5000件もの出動があった。
なかでもバッテリーにかかわるトラブル、俗に言うバッテリー上がりが断トツで、「過放電バッテリー」「破損/劣化バッテリー」を原因にした出動件数が2万3415 件と、お盆休み中の出動理由の36.15%を占めている。
バッテリー上がりの原因である過放電バッテリー、破損/劣化バッテリーって?
バッテリー上がりの原因は大きく2つに分けられる。バッテリーの中に蓄えられた電気が放電し過ぎてしまい、機械が動作する必要量に足りなくなってしまった「過放電」と、器であるバッテリー自体の「破損/劣化」だ。
■過放電
バッテリー上がりが起きた場合の大半は過放電が原因となる。ガソリンエンジンのクルマの場合、エンジン始動中はオルタネーター(発電機)によってバッテリーに供給する電気を発生させている。駐車後、エンジンが停止している状態でヘッドライトや室内灯を消し忘れるとバッテリー上がりを起こしてしまうのは、充電されることがないまま電気を消費してバッテリーが過放電を起こしてしまったからだ。
また、バッテリーは自己放電といってなにもしていなくても少しずつ放電してしまう。さらに最近のクルマの場合は動かしていない状態でもコンピュータやセキュリティシステムが常に電気を消費しているため、しばらく動かさないでいると、いつの間にか過放電状態に陥り、バッテリー上がりを起こしてしまう恐れがある。
■破損/劣化
破損/劣化はバッテリーの寿命とも言い換えられる。寿命の長さは使用状況や、アイドリングストップ車、ハイブリッド車によって異なるため一概には言えないが、一般的には2~5年が目安と言われている。
ただし、寿命を迎えていなくてもオルタネーターやレギュレーターといった発電に関わる装置が故障してしまうとバッテリーに充電されなかったり、逆に負荷がかかり過ぎて液漏れなどを起こし、バッテリーが破損/劣化してしまう。
過放電バッテリーは単に電気が足りなくなっている状態なので充電すればバッテリーは回復して再使用できることが多い。しかし劣化/破損したバッテリーは蓄電できる容量自体が低下してしまっている状態だ。そのため、いくら充電してもクルマを始動することができないか、仮に始動できてもすぐにまたバッテリー上がりを起こしてしまう。
定期的な点検でバッテリートラブルを未然に防ごう
一般的な開放型バッテリーの場合、使用していると自然に電解水が減ってしまうため定期的に補充する必要がある。側面のUPPER/LOWERと書かれた2本のラインの間に液面がくるようにしよう
バッテリー上がりを起こさないためには定期的にバッテリーの状態を確認しておくことが重要だ。バッテリー内部では極板と電解液(希硫酸)が化学反応を起こすことで充電と放電を行っている。
開放型と呼ばれるタイプのバッテリーの場合、電解液が徐々に蒸発してしまうため液面がUPPAERとLOWERと書かれた線の間にあるかを確認し、足りなければバッテリー補充液(精製水)を補水する必要がある。
電解液が蒸発しにくい密閉型(メンテフリー型/MF型)バッテリーの場合、こうした液量の確認、補充といった作業は必要なく、劣化状態を示すインジケーターが付いている。電解液の減りが極端に早い、上部の端子の腐食やバッテリー本体が膨張している、ひび割れしているといった異常もバッテリーの劣化を示すサインになる。
また、見た目以外にもエンジン始動時のセルモーターの回りが弱々しくなる、エンジンの回転数によって灯火類の明るさが変わる、パワーウィンドウの動きが鈍くなるといった症状はバッテリーが弱っている可能性があるので見逃さないようにしよう。
普段から愛車で走行するのが一番のバッテリートラブル対策になる
夏季はバッテリーへの負担が大きくなる季節だ。特にエアコンは電力消費が大きく、雨が降っている夏の夜などはヘッドライト、ワイパー、カーナビやオーディオといった電気を消費する装備をフル稼働することになる。さらに渋滞にはまってしまうと、ほぼアイドリング状態になってしまいエンジンが動いていても発電量が小さいため、バッテリーが消耗してしまう。
また、真夏の炎天下、エンジンルーム内は地獄のような暑さになるが、高温になるとバッテリー内部の化学反応が活発化するため自己放電や劣化が進みやすい。電解液も蒸発しやすく、過放電や電解液が少ない状態が続くと極版が劣化、化学反応が起きにくくなりバッテリーの寿命を大幅に縮めてしまう。
バッテリーは満充電に近い状態を維持するほど長持ちしやすいため、日常的にクルマで走行したり、定期的に充電器を使用することがバッテリートラブルを防ぐ最善策と言える。
ただし、短距離の走行を繰り返す「チョイ乗り」では十分な充電がされないまま走行が終わってしまうので、たまには長距離ドライブをするなど、ある程度長い距離を走行しよう。
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みんなのコメント
日本人は勘違いケチ野郎なので、バッテリー代をケチって高いレッカー代を払う。
ガソリン代をケチってプリウスを買って店に突っ込む。