「1960~70年代にラリー界を中心に活躍していた……」といった、かつての栄光を糧にした、いわゆる”リバイバルカー”の類であると思っていたらさにあらず!
オリジナル・モデルの重要なアイコンでもあったRR(リアエンジン・リアドライブ)のレイアウトをあっさりと捨て、新たにMR(ミドシップ・レイアウト)を選択したのは、「リア・オーバーハング部分の下部を、ディフューザーとして活用し、空力性能を向上させるためだった」と、そんなコメントが聞こえたあたりから、新型A110がこれからの時代を見据えた、本気のスポーツカーであることがうかがえる。
1位はアルピーヌ A110!──2018年の「我が5台」 Vol.11 中谷 明彦 編
徹底した軽量化によって実現した新型A110の走行感覚は、いわゆる”人とクルマの一体感”がすこぶる強いまさに「クルマを着た感じ」が、濃厚である点がなんとも新鮮だ。
ラゲッジスペース容量の小ささや、クルージング時の“揺すられ感”が少々強い点に、グランドツアラー的要素が薄いのを知りつつも、そのあまりにファンな走りのテイストに、「4気筒になってしまったケイマンと、どちらを選ぶか?」と、問われれば、きっと今の自分は新型A110を選ぶのではないか、と、思うほど魅力的な最新フレンチ・スポーツカーであった。
「印象に残るクルマ」として2018年発表の作品で第2位のポジションに選びたくなったのはスズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」だ。
昨今流行の「SUV」とは異なる、“機能こそ最優先”といった独特なスタイリングやメカニズムを採用した新型ジムニー/ジムニーシエラは、ほかのあらゆるモデルと一線を画す孤高の存在だ。
「この大きさでないと困るユーザーが大勢いる」といった調査結果に基づくコンパクトなボディは、肥大化を容認する昨今のSUVブームに一石を投じるはずだ。また、オフロードでの高い走破性能に、あらためてビックリしてしまった。
一方、「20年ぶりのフルモデルチェンジ!」にもかかわらず、オンロードでの走行ポテンシャルは、従来型からさほど飛躍していなかったのも、ちょっとした驚きだった。
しかし、「オフロード性能がわずかにでも損なわれるならば、オンロード性能はいらない!」と言わんばかりの“開き直り”が感じられる点が、きっと固有のファンを増やす重要なポイントかもしれない。
「ジムニー」が“20年ぶり”なら、「LS」は“11年ぶり”のフルモデルチェンジ。日本のフラッグシップ・セダン久々のフルモデルチェンジだったうえ、先にデビューしたラグジュアリークーペ「LC」(LSと新プラットフォームを共用)の印象がなかなか良かっただけに、当然のように期待値は高まる一方だったが……。
いざ登場すれば、まるで日本市場を見限ってしまったかのような”ロングボディ”への統一に、ちょっと面食らってしまった。それでは、と、自慢のリアシート(?)へ乗り込むと、全長5.2m超の巨体からは想像出来ない、妙にタイト感の強い室内空間に困惑した。
”ダメ押し”は、クオリティの低い乗り味で、スタートした瞬間から“ブルブル”と伝わる振動は「このクラスではあり得ない……」と、思えるほどだった。また、最近のレクサス車が採用する、使い勝手に優れないタッチパッド式のマルチメディア・コントローラーに、なんら改善の跡が見られない点も、再度落胆した。
クラス水準を圧倒する静粛性で、世界のライバルをアッ!と言わせた初代(=日本名:セルシオ)をはじめとするこれまでのLSは、新型がデビューするごとに、なんらかの感動を味わわせてくれた。
それが、一体どうしてこんな事になってしまったのか!? と、残念ながらネガティブな意味で印象に残ってしまったので思わず選んでしまったのが、新型LSだった。
ちょっと癖のあるエクステリアデザインであるが、なかなかにスタイリッシュで個性的。フルチャージ状態の走りは完全な”EVテイスト”で、当然静粛性も圧倒的な水準だ。
180ps超に相当する強力なモーターを搭載し、スタートの瞬間から315Nmの大トルクが発生するため、加速は思いのほか強力で、想像以上にスポーティ。同時に、フットワークのテイストはホンダ車で随一と思えるしなやかさ……と、何拍子も美点が備わった実力派セダンがクラリティPHEVだった。
ところが、かくも”製品”としては優れるのに、”商品”としてはまったく見るべき部分がないと思えるのは、アメリカ仕様より200万円ほど高い「ひと声600万円!」といった高価格ゆえ。
くわえて、地域によっては300万円以上の補助金が得られる燃料電池仕様の「クラリティ」に対し、PHEV仕様が得られるインセンティブは燃料電池仕様の1/10以下だ。結果、PHEVより燃料電池仕様が安価といった“ねじれ現象”が起きてしまった。「ピュアEVに燃料電池自動車、そしてPHEVの異なる3種類の新世代パワーユニットをひとつのボディに設定」とうたうクラリティ・シリーズの現実は厳しい。
ひとえに「走行時にわずかでも排ガスを出すクルマは、あまり優遇しない」といった日本の制度も、PHEVの普及を阻む。日本のPHEVに未来はないかもしれない……と、クラリティPHEVの登場によってあらためて思うのであった。
ひょんなことから、この期に及んで初代NSXに存分に乗る機会があった。ホンダ車の純正アクセサリーを手掛ける関連会社「ホンダアクセス」が所有する1台だ。しかも、ホンダアクセスのチューニング・ブランド「モデューロ」のサスペンションや空力パーツを組み込んだ、極めて程度の良い「タイプS」だった。
久々に体験する“キーをシリンダーに差し込んでのドア開錠”のあと、低いドライバーズシートに滑り込み、驚いた。ダッシュボードのボリュームが小さいがゆえ、視界がすこぶる良好なのだ! 昨今、スポーツカーの多くは視界に優れないが、どうしたものか? 優れた視界こそ、クルマを自在に操るための第一歩であるはずなのに……と、思わずにはいられなかった。
試乗車は、オールアルミボディによって実現した約1.3tの比較的軽量な車重に、自然吸気の3.2リッターV型6気筒VTECエンジンを組み合わせるが、これが今でもなかなかの感動モノだった。
絶対的な加速力こそ現代のスーパースポーツカーに比べれば取るに足らないが、5000rpm付近からさらに活きの良さを増す情感豊かなエンジンのフィーリングと”VTECサウンド”が、感情をしっかり昂らせてくれる。また、地を這うようなコーナリング感覚は、現代の一級スポーツカーと比べても何ら遜色を感じなかった。
まさに、”温故知新”とはこのことだ! と、あらためて感心した初代NSX体験だった。
【著者プロフィール】
河村 康彦(かわむら やすひこ):1960年生まれ。工学院大学機械工学科卒業後、『モーターファン』(三栄書房)編集部を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動。現在に至るまで多くの自動車専門誌、Web媒体などで健筆を振う。
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