この記事をまとめると
■BMWが新型1シリーズを発表
メルセデス・BMW・アウディの御三家は「本国」なら普通に買える……と思ったらそうでもない! 日本の「高級ブランド」はドイツでどんな位置づけか現地在住ジャーナリストに聞いてみた
■コンセプトモデル「ノイエ・クラッセ」の要素を取り入れている
■BMWの新生デザイン部門の監修は受けていないモデルとなっている
新型1シリーズのデザインを斬る
10月30日に発表された第4世代のBMW1シリーズ。48Vマイルドハイブリッドの採用など走りの進化が話題ですが、もちろんスタイリッシュなデザインも魅力。そこで、今回は新型のエクステリアデザインをじっくりチェック、その見所を探ってみたいと思います。
●新しい面構成に進化したフロントビュー
読者の皆さんもご存じのとおり、新型は先代のプラットフォームを踏襲した、いわゆるビッグマイナーチェンジ仕様。全長こそ35mm延びましたが、全幅、全高とホイールベースは同一(先代118iと新型120の比較)というわずかな変化のなかで、フルモデルチェンジ級に見せる手法は一体どこにあるのでしょう?
巷ではグリルの件が話題ですが、いやいや何といってもまずは面質の変化でしょう。最近のBMWのサーフェスは新しい5シリーズあたりから変化が見られましたが、滑らかな面と薄く繊細、かつ立体的なラインの組み合わせが特徴なのです。
新型では、たとえばボンネット上に引かれる複数のラインや、フロントグリル周辺、バンパー両端のエアインテーク部などにその進化が見られます。先代のフロント部は比較的マイルドでコロンとした造形でしたが、滑らかさとシャープな表現が融合しているのです。
もうひとつの大きな変化は、低くなったフロントセクションです。先代は大きめのキドニーグリルがボンネットの上面まで届き、「大きな顔」を打ち出していましたが、新型は横長のグリルが低い場所に置かれ、これを囲むボディパネルは前方に突き出したような形状になっています。
これによって、ボンネットからフロントへ向けてギュッと絞られたように見え、これと合わせるようにスリムになったヘッドライトもアグレッシブな勢いを助けています。さらに、ワイドなロアグリルが低さを一層際立たせているのです。
今までのBMWデザインを受け継いだ1台
●コンセプトカーのエッセンスを順次取り入れる
ところで、BMWはその横長のグリルに斜めのラインを取り入れたことを新型の「ウリ」にしていますが、これはご存じのとおりコンセプトカーのノイエ・クラッセのモチーフを取り入れたものです。
これについて、新型の発表会に参加したBMWジャパン・プロダクト・マネージャーのプリュボ・ケビン氏は「現在2台のノイエ・クラッセが公開されていますが、それ自体を出すのではなく、当面は2台の要素を各車種に順次盛り込んで行くカタチになります。先日公開された新しいX3でも、エクステリアのフロントやリヤなどのほか、充電トレイなどインテリアでも「斜め」の表現が施されているんです」と語っています。
ちなみに、BMWといえば今年9月にデザイン部門の全面的な再編が発表され、コンパクトとミッドサイズのBMWモデルは、これまでMINIのデザイン責任者だったオリバー・ハイルマー氏が担当するとされました。ただ、先のケビン氏によれば「今回の1シリーズのスタイリングはかなり以前から開発されており、新体制の影響は受けていない」とのことです。
一方、リヤビューはワイド感の強化を狙った横基調の造形。とりわけ、サイド面にまわり込んだテールランプが幅広さを強調していますが、切り欠きのある複雑な形状はノイエ・クラッセのそれとは異なり、アグレッシブな新しい1シリーズの個性が優先されているように見えます。
さて、こうして新型のエクステリアをチェックすると、ビッグマイナーチェンジとして先代の面影を残しつつ、次世代コンセプトカーの要素を巧妙にブレンドしたスタイリングであることがわかります。その意味で、現在のBMWデザインは大きな過渡期にあるといえるのかもしれません。
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