F1バーレーンGPの決勝レースで、角田裕毅は9位入賞。レッドブルに移籍2戦目でポイントを獲得してみせた。前任のリアム・ローソンは入賞争いに全く加われていなかったことを考えれば、2戦目の結果としては合格点と言えるのではなかろうか? そしてチームメイト、しかも昨年まで4年連続でチャンピオンを獲得しているマックス・フェルスタッペンから10秒遅れでのフィニッシュという結果は、上々と言えよう。
さてそのレースを振り返ってみよう。
■角田裕毅、レッドブル昇格2戦目での初ポイントに「正しい方向に進んでいる」と自身の着実なステップアップに満足
角田は決勝レースをソフトタイヤを履いてスタート。今回のレースではほとんどのマシンがソフトタイヤを履いてスタートを切ったため、これは主流の選択と言えた。
ピットストップ・システムのトラブル。影響は最小限?
ただレース序盤の角田は、ウイリアムズのカルロス・サインツJr.を先頭にしたトレインの中に詰まってしまい、ペースを上げることができなかった(グラフ1の赤丸)。上のグラフをご覧いただくと、その状況がわかるだろう。そのため、11周を走り切ったところでピットイン。ミディアムタイヤに履き替え、コースに戻った。
しかしここで問題が発生した。レッドブルのピットストップ・システムにトラブルが起き、作業が完了してもシグナルが”発進するな”を示す赤信号/黄信号の点滅のまま変わらなかったのだ。これは1周前にピットストップを行なっていたチームメイトのマックス・フェルスタッペンも見舞われたトラブルだった。
角田はこれで、レーシングブルズのアイザック・ハジャーの後ろでコースに復帰することになった。ただレーシングブルズが同じ”レッドブル・グループ”内のチームであったのは不幸中の幸いだったかもしれない。それほどタイムを失うことなく、ハジャーの前に出ることに成功した。
なおこのピットストップ失敗により、角田がハースのエステバン・オコンやアルピーヌのジャック・ドゥーハンに先行されてしまったと思われている方もいるかもしれないが、計算上はトラブルなくコースに戻っていても、この2台の後ろであったと思われる(グラフ1青丸)。
一方でフェルスタッペンは、このピットのシグナルのトラブルで2秒失ったことで、ふたつポジションを失った可能性がある。
■絶好のタイミングで前が開けた。しかしサインツJr.が突撃!
さてその第2スティントでは、レッドブル勢の中でタイヤの選択が分かれた。フェルスタッペンはハード、角田は前述の通りミディアムを履いたのだ。この第2スティントでフェルスタッペンは、ハードタイヤに対する不満を訴え続けた。
上のグラフ2は、フェルスタッペンと角田のレース中のラップタイム推移をグラフ化したものだ。赤丸で囲った第2スティントを見ると、フェルスタッペンと角田のペースは、デグラデーション(性能劣化)も含めてほぼ同等に見える。
ただ、内情は大きく違っていたかもしれない。フェルスタッペンはペースの面で苦しみ、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリやフェラーリのルイス・ハミルトンにオーバーテイクされてしまってのペース。前を蓋されていたわけではない。一方で角田は、ドゥーハンに抑えられただけでなく、自らペースを抑えて走っていたように見える。それが見て取れるのが、青丸で示した部分である。
この青丸の部分だけ、角田のラップタイムが上がっている。これは前を走っていたドゥーハンがピットに入り、前方が開けたまさにそのタイミングである。つまりその段階まで、角田はタイヤを痛めないように、しっかりと労わって走っていたということだろう。
ここから想像できるのは、角田はおそらく、レース中のいずれかのタイミングから、最後のスティントでもソフトタイヤを履こうと考えていたのではないかということだ。そのためには、ミディアムを履いて走る第2スティントを、できるだけ伸ばしたかった。そのためタイヤを使い切ることがないよう、ペースをコントロールしていたのであろう。その判断には、僚友のフェルスタッペンがハードタイヤで苦しんでいたということもあったはずだ。
そして角田は前が開けると、乱流を受けなくて済むため、しっかりとダウンフォースをかけて走ることができる。つまりタイヤを痛めずにペースを上げることができる、絶好のタイミングが訪れたわけだ。そしてソフトタイヤで走り切れる残り周回数となるまで快調に飛ばせれば、順位を上げる後押しになるはずだった。
しかしそこで誤算があった。すぐ後方を走っていたサインツJr.が、ターン1で一瞬の隙を突いて、角田のイン側に飛び込んできたのだ。これで先行されてしまい、せっかくの前に邪魔する存在がいない状況(クリーンエア)で走るチャンスが潰えてしまったのだ。
しかももっと悪いことに、このオーバーテイクを許したタイミングで両者が接触。壊れたパーツがコース上に落ち、セーフティカー出動となってしまった。
これで全車がピットインすることになった。角田としては、実に難しいタイミングでのセーフティカー出動だった。
■最後のタイヤ選択はどうする??
この時点で残り周回数は25周。ほとんどのマシンが、あと1回のピットストップを残していた。セーフティカー出動中ならば、ピットストップを行なうことで失うタイムを制限できるため、各車ともここでピットインするのがセオリー。しかし、ソフトタイヤで走り切るには、長すぎる距離が残っているようにも思えた。実際、フェラーリ勢はこのタイミングでピットインし、ハードタイヤを履いた。彼らもソフトタイヤを履く選択肢もあったが、あえてハードタイヤを選んだのだ。
角田もこのタイミングで新品のハードタイヤを履くか、あるいは予選アタックで使用済みのソフトタイヤを履くかの2択だった。
■角田にソフトタイヤを履かせたレッドブル
ここでレッドブルは、角田にソフトタイヤを履かせた。結果的に言って、これは大成功だった。最終的に角田はハースのエステバン・オコンを抜くことはできなかったものの、ペースを落とすことなく最後まで走り切ってみせた。
逆にハードタイヤを履いたフェラーリ勢はペースを落とした。フェラーリ勢は第2スティントでミディアムタイヤを履き、快調なペースで走って順位を上げた(グラフ3の青丸部分)。しかしハードタイヤを履いた最終スティントでは周囲に比べてペースが上がらなかった(グラフ3の緑丸部分)。また、角田と同じ集団の中にいたドゥーハンも、ハードタイヤでペースが上がらず、入賞圏内から脱落していった(グラフ3の黄丸部分)。
もし角田もハードタイヤを履いていたら、フェラーリ勢やドゥーハンと同じようにペースが上がらなかった可能性がある。もしそうなっていたら、角田は4~5台からなるDRSトレインの中にいたため大きく順位を落とし、入賞もままならなかった可能性も十分にある。
そういう観点から考えると、最後にソフトタイヤを履かせたレッドブルの判断はさすがと言えよう。逆に同じタイミングでハードを履いたフェラーリは、またしても戦略失敗と言えるかもしれない。
レッドブル昇格2戦目でまずは初入賞を果たした角田。マシンへの適応も進み、さらにはチームが持つポテンシャルと課題も徐々に見えてきた。
角田の適応が進み、すべての歯車がガッチリと噛み合う時がやってくれば好結果が期待できそう……そういう可能性が垣間見えた一戦だったと言えるのではないだろうか。
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みんなのコメント
これでは、角田にペナルティを与えられないな。
と納得したらしいです。
それにしっかりと答えて2台抜いてポイント入手は素晴らしい事。