レーサーの固定概念を覆す、アメリカ2大メーカーの威信をかけた戦い!
インディアンが超重量級ビッグバイクレース「キング・オブ・ザ・バガーズ」2022のチャンピオンを獲得!
EICMA2022の会場で思わず凝視してしまったのが、この2台のバガーレーサー。僕にとっては、ある意味、実車を見る機会はMotoGPマシンよりもレア。数年前からずっと注目していたカテゴリーだっただけに、思わず細部まで覗き込んでしまった……。
対照的な仕上がりを見せる2台のバガーレーサー
「キング・オブ・ザ・バガーズ」。それはハーレーダビッドソンとインディアンモーターサイクルのプライドをかけた戦いだ。その戦いが始まったのは2022年の秋のこと。超巨体、サーキットとはかけ離れたカテゴリーのバガーが激走する姿は瞬く間に人気になり、世界中で話題になった。
参戦できる車両は、ハーレーダビッドソン全年式のFLツーリングモデル、そしてインディアン全年式のバガーとツーリングモデルのみ。アメリカンの2大メーカー以外が入り込む余地はない。
なぜ、こんなバイクでレースを?とも思うがそれは愚問でしかなく、モトアメリカにはこういった見ていて楽しい、観客が盛り上がるレースがたくさんあり、しっかりと興行として成立しているのだ。バイクの遊び方の可能性を感じさせてくれるのは、アメリカならではのダイナミックさである。
ちなみに2022年シーズンは、最終戦までハーレーに乗るトラビス・ワイマンがチャンピオンシップをリードしていたが、最終戦で転倒。インディアンのタイラー・オハラがタイトルを獲得。ハーレーからゼッケン1を取り返すことに成功したのだ。
個人的にも僕はこのカテゴリーに興味津々だったわけだが、EICAMA2022の会場にはハーレー&インディアンの2台のファクトリーマシンが展示。その細部をみていこう。
2台を間近で見た印象だが、インディアンは市販車の面影を残しつつ、手づくり感のある無骨な作り。最終戦のウエットレースの後にそのまま持ってきたような雰囲気を醸し出していた。 対してハーレーは細部まで緻密に設計されたいかにもファクトリーマシンといった雰囲気である。
実際のところはわからないが、ハーレーの方が遥かにコストが掛かっているようなイメージ。空冷のハーレーが水冷のインディアンに挑むには、このくらいの意気込みが必要なのかもしれない。
2022年タイトルを獲得したインディアンレーサー
―― 信じられない巨体を駆るアメリカンライダーたち。その動画は一度見たら病みつきになる大迫力! [写真タップで拡大]
―― 前後車高をグッと上げた佇まいが独特。車高だけでなくシートの肉厚を稼いでリヤ上がりの姿勢をつくり出す。ゼッケンは奪還したばかりの♯1が貼られていた。 [写真タップで拡大]
―― スタンダードでポテンシャルの高いチャレンジャーの1767cc水冷VツインエンジンをS&Sがチューン。 [写真タップで拡大]
―― 迫力だったのはスイングアーム。多数の溶接箇所があり、いかにも剛性の高そうなつくり。リヤキャリパーはヘイズ製の4ポッド、ディスクも大径でしっかりと制動力を稼ぐ。 [写真タップで拡大]
―― 前後サスペンションはオーリンズ製、フロントキャリパーはブレンボ製で特別な装備ではなかった。 [写真タップで拡大]
―― 大幅に軽量化されたフロントカウルを支えるステーはアルミ製。トリプルツリーは普通ではないゴツいつくり。 [写真タップで拡大]
―― ハイトを稼いだシートにホールド製を高めるために工夫されたタンクストッパー。この巨体を操るのがいかに特別なことかを物語るディテールだ。 [写真タップで拡大]
―― 外装パーツはカーボンパーツで軽量化。ちなみにスタンダードのチャレンジャーのガソリン込みの重量は377kg。軽く100kg以上は軽量化されていると思う。 [写真タップで拡大]
―― ステップはバンク角を稼ぐためにかなり後退して上に。ハンドル周りにはたくさんのスイッチがつく。トップブリッジはかなり無骨なつくり。 [写真タップで拡大]
―― EICMAには2022年にタイトルを獲得したタイラー・オハラ、そしてもう1人のインディアンのファクトリーライダーであるジェレミー・マクウィリアムズも来場。
最終戦までタイトルを繰り広げたハーレーのバガーレーサー
―― 2021年はハーレーがタイトルを獲得。ファクトリーチームだけでなく多くのアメリカンサプライヤーが参戦している。 [写真タップで拡大]
―― ちなみにこのマシンはオーリンズブースに展示されていた。当然、前後サスペンションはオーリンズ製。ブレーキまわりはブレンボ。インディアンよりはレーシなパーツで武装する。 [写真タップで拡大]
―― ハーレー伝統のVツインエンジンをスクリーミンンイーグルがチューン。水冷インディアンと対等に走るにはかなりのチューンが必要なはず。ヘッドはビッグフィン加工を施し、少しでも冷却効果を上げる苦力が見られる。 [写真タップで拡大]
―― クランクケースにマウントされたチェンジ側のステップ。すべてのパーツをかなり巨大なアルミブロックから削り出し、剛性と精度を確保する。 [写真タップで拡大]
―― ブレーキ側のステップもとても凝ったつくり。ベースはかなり強固なアルミ削り出しパーツ。 [写真タップで拡大]
―― 驚愕だったのはこのスイングアーム。溶接部分を見ることのできなかった超巨大なブロックからのアルミ削り出し。2本サスだし、かなりの剛性を確保しているはず。 [写真タップで拡大]
―― スクリーミンイーグルのチタンメガホンマフラー。耐震などを考慮したステーが印象的。 [写真タップで拡大]
―― 車重を受け止めるトリプルツリーは強固な作り。ハンドルはかなり手前に引かれ、左側のハンドルの下側にはサムブレーキも装備。 [写真タップで拡大]
MotoAmerica YouTubeでレースをチェック!
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みんなのコメント
アメリカらしく、実は意外にレギュレーションは細かくてまだホンダのゴールドウィングなどは出られませんが、水冷空冷、過給機もOKなのに空気抵抗になるフェアリングは車種によっては市販の物装着義務、フレームそのものは市販のまま、パニアバッグはきちんと容量決めてあって装着義務とか本当に面白い。
できればバガーとは何かとかなぜ車高上げてあるかとか説明あればもっと良かったな