最近のクルマは、車体剛性と安全性を確保するために、どんどんAピラーが太くなっている。新型プリウスもこの例に漏れないが、フロントウィンドウを寝かせた分だけピラーが前方に伸びて、右方向の視界が悪くなっているという。今回は極悪視界で知られる名車ランボルギーニカウンタックを所有する清水草一氏に、プリウスのピラー問題について解説してもらった!
文/清水草一、写真/清水草一、奥隅圭之
おじさんパニック!? プリウスはAピラーが前に伸びすぎていて スーパーカーより視界が悪い!
■プリウスはまるでスーパーカー!!
新型プリウスの長く前方に伸びたAピラーが視界を遮る
新型プリウスの写真を初めて見たとき、「まるでスーパーカーじゃないか!」と感動した。ただその分、居住性や乗降性、そして視界はある程度犠牲になっているんだろうなぁと想像された。
実物の新型プリウスは、居住性や乗降性に関しては、ほとんどデメリットを感じなかったが、視界に関しては「ええっ! こんなに見えないの!?」と衝撃を受けた。具体的には、長く前方に伸びたAピラーが邪魔をして、斜め前方がよく見えなかったのだ。
いや、決して「見えない」わけではない。多少見えづらいだけなのだが、斜め前の視界がこれほど遮られるクルマは初めてだった。
斜め前といってもいろいろあるが、プリウスで問題なのは、右斜め前の角度の浅い部分である。視線を正面から少し右に移しただけで、早くもAピラーが視界の一部を遮ってくる。視界が全部隠れるわけではなく、一部にかかるだけなのだが、視力全般が衰えてくる中高年は、これが結構に気なってしまう。
右折時に右側から横断歩道を渡ってくる人や自転車が見づらい
たとえば交差点を右折しようとする時。対向車が途切れたのを見計らってハンドルを右に切り、発進した瞬間、右側の横断歩道を渡ってくる自転車が、いきなり視界に入ってくるように感じた。
直進状態で信号待ちしている状態だと、そのあたりの角度にAピラーがかかるのが原因だった(決して全部隠れるわけではありませんが)。
左側についても同様のことが言える。斜め左は、斜め右に比べればはるかに視界が開けているが、それでもプリウスの場合、他のクルマに比べれば、早めに視界を遮ってくる。左折時も、横断歩道を渡ってくる人や自転車に注意が必要だと感じた。
これは、主に中高年に起きる現象のようだ。加齢とともに動体視力が低下し、視野も狭くなってくる。正確には、「視野の周辺部の物体に注意が行かない」と言ったほうが正確だろう。
私は近年白内障の手術を受けたため、視野の検査も行ったが、まだ特に問題なしと判定された。視点の中心から外れた外型の部分も見えてはいるのだが、若い頃に比べると、はるかにぼんやしており、そこに歩行者が自転車がいても、脳が認識しづらくなっている。
プリウスの場合、加えてAピラーが斜め前方の視界の一部を遮るので、見えづらさが倍加する感覚があった。
■カウンタックとプリウスの視界を比較
後方視界の悪いカウンタックでバックするために生み出されたのが、この「カウンタックリバース」だ!
前述のように、新型プリウスのフォルムは、まるでスーパーカーである。具体的には、ボンネットとフロントウィンドの角度が非常に深く寝ており、ほとんど一直線だ。ランボルギーニ・カウンタックにも近い。
カウンタックと言えば、視界が悪いことで有名だ。特に後方視界の悪さは折り紙付きで、バックするときはシザースドアを開け放ち、サイドシルに腰かけて後方を直接視認しながら行う「カウンタックリバース」という技が編み出された。
カウンタックは、運転席に座った状態だと、斜め後方を振り返ってもまったく見えない。着座位置が極端に低いため、クルマに近い低い位置も見えない。
ただ、走行中、真横から正面にかけての180度の視界は「良好」と言っていい。Aピラーの角度はプリウスといい勝負だが、位置がかなりドライバー寄りにあり、太さもプリウスよりはるかに細いので、視界をほとんど遮らないのだ。
カウンタックに限らず、多くのスーパーカーに同様のことが言える。
後方視界に難のあるカウンタックだが、前方の視界は意外といいのである
スーパーカーのキャビンは窮屈で、フロントガラスもドライバーに近い位置にあって圧迫感が強いが、その分、深く寝たAピラーが視界を邪魔すると感じることはない。
一方プリウスは、ドライバーから見てフロントガラスがかなり遠く、圧迫感がない分、Aピラーの付け根がより前方に位置しており、斜め前方視界の浅い角度にかかってくる。
つまりプリウスは、斜め前方の視界に関しては、スーパーカーよりも明らかに「悪い」のである。
これに関しては、プリウス開発陣も認識にしており、対策として、ドアミラーの位置を後ろに下げ、Aピラーと連続して視界を遮らないように配慮したとのことだ。確かに真横に近い部分の視界は問題ないが、中高年ドライバーとしては、斜め前の視界がどうしても気になった。
プリウスのサイドビューを見れば、フロントウィンドウが寝ていることがよくわかる
厳しい衝突安全基準をクリアするため、クルマのAピラーはどんどん太くなっている。
車両によってAピラーの位置は変わるが、ミニバンなどはフロントウィンドウが立っているため、真横近くの視界を遮り、逆にプリウスのようにAピラーが寝ていると、斜め前の視界を遮ることになる。
メーカーは視界確保のため、さまざまな工夫をしている。太いAピラーで視界のどの位置が遮られるのが気になるかは、人それぞれ差異もある。
私と同時にプリウスに試乗した47歳の編集者は、斜め前の視界について、「僕はまったく気になりませんよ!」と断言した。恐らく多くのドライバーがそうなのだろう。開発陣も、「問題なし」という結論に達したとのことである。私としても、「プリウスは視界が悪くて危険」と言うつもりはない。
プリウスのAピラーは、改めて自分の視力の衰えを認識させてくれた。視野の周辺部の認知能力がこれほど衰えていたとはショックだ。同じようなことを感じる中高年がいらっしゃったら、とりあえず、「プリウスに限らず、右左折時は気を付けましょうネ!」とお伝えしたい気持ちです。
そしてメーカー様は、なるべく細いピラーで安全性が確保できるよう、研究開発を続けていただきたいと思います。
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プリウスはおじさんの車なんだからこんなのやめてよー