この記事をまとめると
■スーパーGTには多くの外国人ドライバーがエントリーしている
レーシングドライバーは普段どんなクルマに乗ってる? スーパーGTドライバーに「愛車事情」を直撃した
■日本のチームにとっても外国人ドライバーの能力がプラスに働くことが多い
■国籍の違いによる苦労があるケースも見られる
外国人ドライバーを擁するチームが多いスーパーGT
日本発の国際レースカテゴリー、スーパーGTには数多くの外国人ドライバーがエントリーしている。日本人ドライバーとコンビを組んで激しいバトルを繰り広げているのだが、彼ら外国人ドライバーとコンビを組んで戦っている日本人ドライバーや日本のレーシングチームにメリットはあるのだろうか? また、コミュニケーションにおいて苦労があることも予想されるが、外国人ドライバーと組んでレースをすることにデメリットはあるのだろうか?
というわけで、実質的な最終戦として12月7~8日に鈴鹿サーキットで開催された第5戦「SUZUKA GT 300KM RACE GRAND FINAL」の会場で、外国人ドライバーを起用するいくつかのチームを直撃。日本人のドライバーと監督に“本音”を聞いてみた。
まず、外国人ドライバーを起用するチームとして真っ先に思い浮かぶのが、BMW M4 GT3を武器にGT300クラスに挑むBMW M Team Studie×CRSだといえるだろう。
事実、鈴鹿ラウンドにおいても日本人ドライバーの荒 聖治選手が、BMWのワークスドライバーであるニクラス・クルッテン選手、元DTM王者のブルーノ・スペングラー選手とのトリオでエントリー。7号車「Studie BMW M4」はグランドファイナルで13位に留まったが、開幕戦の岡山ラウンドでは荒選手/クルッテン選手が3位入賞を果たすなど、ポディウムフィニッシュの実績をもつ。
「スペングラー選手はM4 GT3の開発ドライバーですし、クルッテン選手もBMWのワークスドライバーなので、クルマのことをよく知っていますよね。だから、どういうふうにセットアップしていくのか、よくわかっているし、僕は日本のコースやタイヤを知っているので、意見を出し合ってセットアップを煮詰めています。そういった意味では短時間でクルマを仕上げられることが彼らと組む最大のメリットですね」と語るのが荒選手だ。
さらに、チームに関しても「Team Studieは10年間、BMWのワークスドライバーと組んでやってきているので慣れている。エンジニアも日本人だけでなく、BMWモータースポーツからスタッフが来ているので、チーム自体がインターナショナルで多国籍な雰囲気になっています」とのことだ。
レース以外の部分においても「彼ら(スペングラー選手・クルッテン選手)は旅に慣れていて、日本の食べ物も喜んで食べるから食事面でもとくに苦労することはありません。唯一、デメリットがあるならホテルの部屋が狭い場合です。彼らは荷物が多いので、“カバンが開かないぞ”といってくることはあるけれど、それ以外はとくに問題はありません」とのことである。
細かい部分では苦労するシーンも
また、GT300クラスにフェラーリ296 GT3を投入するPONOS RACINGも外国人ドライバーを起用するチームで、フェラーリのセミワークスチーム、AFコルセで活躍してきた日本国籍のケイ・コッツォリーノ選手とともに、フランス人の女性ドライバー、リル・ワドゥー選手が45号車「PONOS FERRARI 296」でエントリー。
同チームで監督を務める小河原宏一氏は「フェラーリのワークスドライバーということもあってリルを起用していますが、クルマに慣れているので対応は早いですよね」とメリットを語る。
さらに、「チームとしても外国人ドライバーと組むことで英語を喋る努力をするし、エンジニアもメカニックも国際的な視点をもってくるので、各スタッフのスキルアップに繋がっていると思います」とのことだ。
しかし、その一方で「スーパーGTのタイヤは特殊ですし、スーパーGTは走る時間が短いので、やはり外国人ドライバーは苦労しています。あとは英語を早口で喋られるとレース中の無線が聞き取りづらいこともあるので、そのあたりも苦労しますね」と小河原監督は語る。
このように外国人ドライバーを起用することで、細かい部分で苦労するシーンもあるようだが、外国人ドライバーの加入はメリットも多く、彼らの動向が日本人のドライバーやチームに大きく貢献している。
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