縦目角型4灯ヘッドライトのにくいヤツ。ハードトップとセダンという2つの個性。
マツダのお膝元・広島だから実現。普通じゃありえない組み合わせ!
「2台のルーチェレガートが並んだ奇跡的な光景」グレード違いの装備やディテールを比較する!【ManiaxCars】
令和の時代になっても大事に乗り続けているオーナーには本当に申し訳ないが、今回取材するまでルーチェレガートに対しては「縦目ヘッドライトの変なセダン(たいへん失礼)」という認識しかなかった。
ところが、デビュー年にあたる1977年式セダンスーパーカスタムと、早くもラインナップ見直しが図られた翌78年式ハードトップSEスーパーカスタムの2台を間近に見て触れて撮影して、編集部に戻ってから資料とニラメっこしてるうちに考えが変わった。「コイツは面白いクルマだ!」と。
ルーフを中心にハードトップとセダンで設計=デザインを変えるのは他のクルマでも見られる手法として、思わず「へぇ~」と唸ったのが搭載エンジンとグレード展開。ロータリーを強く推してたマツダらしく、発売時はハードトップとセダンそれぞれに、当時の最新エンジンだった13Bを最上級モデルのリミテッドに搭載。その下の普及モデルを12Aで固め、計4グレードで展開した。
それに対してレシプロエンジンは2.0LのMA型と、セダン専用となる1.8LのVC型という2機種で、13B搭載のリミテッドに相当するグレードがなく、12Aモデルと同じ3グレード構成だった。つまり、その時点では、『ロータリー>レシプロ』という明確なヒエラルキーが存在していたということだ。
今回取材した2台は、いずれもMA型を搭載。ボア径φ80.0に対してストローク量98.0mmという超ロングストローク型で、燃料供給は2バレルシングルキャブレターが担当する。しかし、そのわずか1年後、昭和53年排ガス規制への適合に合わせて、マツダはラインアップを大幅に見直すことになった。まず、12Aがカタログから落ち、セダンはレシプロエンジンに一本化。ここで初めて、『ハードトップ>セダン』という図式が成立した。
一方のハードトップは引き続きロータリー(13B)とレシプロ(MA)を搭載したが、レシプロには新たにSEスーパーカスタムを追加。今回取材したハードトップがまさにそれだ。ロータリーモデルのリミテッドに相当する最上級グレードが用意されたことで、それまでのロータリー偏重主義から解放され、ようやく『ロータリー=レシプロ』と対等な関係を築くことになったのだ。
さらに、従来ロータリーモデルにしか搭載されてなかった3速ATを、レシプロのハードトップSEスーパーカスタムと、セダンスーパーカスタムにも拡大。相対的にレシプロモデルのポジションが向上したことになる。ちなみに、ルーチェ“レガート”を正式に名乗るのは78年に行われたラインアップ見直し前の極初期型のみ。以降はルーチェが正しい車名となることは、ぜひともマニアには覚えておいてもらいたい。
以下、4ドアハードトップSEスーパーカスタムと、4ドアセダンスーパーカスタムのディテールを見比べていこう。
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インテリアは色の違いで雰囲気が変わる!
ダッシュボードのデザインや木目パネルがあしらわれるのは全グレード共通。内装色はSEスーパーカスタムがブラウン系、スーパーカスタムがグレー系で、どちらも落ち着いた雰囲気だ。ダッシュパネル右端にはパーキングランプと電動調整ミラーのスイッチが設けられる。AM/FMラジオとドルビー内蔵カセットデッキはスーパーカスタム以上に標準装備。
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デジタル? それともアナログ?
メータークラスター左側にはエアコンの吹き出し口/温度調整/風量切り替えとリヤデフォッガースイッチ、時計がまとめられる。SEスーパーカスタムはクォーツ式デジタル時計、スーパーカスタムでは3針タイプのアナログ時計が標準装備となる。また、カスタム以上のグレードにはオプションで、後席でも操作できるリヤクーラーが用意されていた。
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パワーウインドウスイッチの位置が違う…
グレードによって異なる集中パワーウインドウスイッチの位置。SEスーパーカスタムはパワードアロック付きで運転席ドアに設けられるが、スーパーカスタムではシフトレバー後方、サイドブレーキ左側のセンターコンソールに設置される。この頃はマツダもシーソー式スイッチで、運転席ウインドウはワンタッチで全開/全閉が可能なオート機能付き。
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シートは生地とデザインに注目!
シート表皮はSEスーパーカスタムにフリーズトーンモケットが、スーパーカスタムには起毛ニットが採用される。また、SEスーパーカスタムではラグジュアリー感を高めるルーズクッション風のデザインとされ、前席はヘッドレストの角度調整も可能となる。運転席シートリフターや後席センターアームレストはスーパーカスタム以上に標準装備される。
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謎のフロントエンブレム!?
カタログを見る限り、フロントグリルに装着されるマツダエンブレムは、縁取られた内側が一段低く白で塗装されているSEスーパーカスタムのモノが正解。一方、スーパーカスタムのエンブレムは書体こそ同じものの、メッキ仕上げで縁取りもないタイプ。調べたところ、ボディ形状やグレードによる違いはなさそうだから、このエンブレムの出どころが謎…。
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SEはコーナリングランプ装備
フロントフェンダー前端のサイドウインカー部に見られるグレードによる装備の違い。SEスーパーカスタムには夜間走行時、ウインカーを点灯させた方向の側面をスポット的に照らすコーナリングランプが装備されるが、スーパーカスタムは非装着でその部分が加飾パネルとなる。ちなみにスーパーカスタムはオプションのホイールアーチモールを装着。
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スタイリングはルーフ長と傾斜角に違いあり
ハードトップとセダンを並べて痛感したのがスタイリングの違い。その要因はルーフの長さと、それに伴うリヤウインドウの傾斜角だ。居住性を重視したセダン(ヘッドクリアランスは前席で25mm、後席で40mmハードトップよりも余裕がある)の方がルーフも長く、その分リヤウインドウが立ち気味になる。また、ウインドウ下端のデザイン処理にも違いが。
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全高はセダンの方が25mm高い
ハードトップとセダンでは全高が異なるけど、寸法以上にデザインによる視覚的な違いが大きい。それをよく表してるのがルーフラインで、ハードトップが後端にかけてなだらかに下がっていくのに対して、セダンはほぼ水平をキープ。それによってハードトップはスタイリングを伸びやかに見せ、セダンはフォーマルな印象を与えるものとなっているのだ。
■SPECIFICATIONS
(ルーチェレガート4ドアセダンスーパーカスタム)
車両型式:LA4MS
全長×全幅×全高:4575×1690×1415mm
ホイールベース:2610mm
トレッド(F/R):1430/1400mm
車両重量:1115kg
エンジン型式:MA
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ80.0×98.0mm
排気量:1970cc 圧縮比:8.6:1
最高出力:110ps/5300rpm
最大トルク:17.0kgm/3000rpm
トランスミッション:5速MTT
サスペンション形式(F/R):ストラット/5リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175SR14
■SPECIFICATIONS
(ルーチェレガート4ドアハードトップSEスーパーカスタム)
車両型式:LA4MS
全長×全幅×全高:4575×1690×1390mm
ホイールベース:2610mm
トレッド(F/R):1430/1400mm
車両重量:1140kg
エンジン型式:MA
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ80.0×98.0mm
排気量:1970cc 圧縮比:8.6:1
最高出力:110ps/5300rpm
最大トルク:17.0kgm/3000rpm
トランスミッション:5速MTT
サスペンション形式(F/R):ストラット/5リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175SR14
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
そんな縦目4灯時代に教習者仕様があったが、それは何と2灯ヘッドランプだった。現存しているかは全く不明である。
それに、縦目4灯のバンがあったら、超希少車である。