じつは5ナンバーサイズのクルマはかなり少ない
現行モデルの中から5ナンバー登録車で運転が楽しいクルマを挙げるのは難しくなった。世界的にエンジンはどんどん小さくなる傾向にあるが、ボディサイズは衝突安全や居住性の要件を満たすためにどんどん大きくなり、5ナンバー枠に収まるクルマ自体が年々減っている。今回のテーマで第一に挙げようと思った新型スイフトスポーツも5ナンバーではなくなっていた。
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そもそも5ナンバー規格自体があまり意味のないものになって久しく、5ナンバー or 3ナンバー登録のポイントのひとつとなる、ボディの全幅が1.7mを超えるか超えないかでクルマの愉しさが左右されることはない。全幅が1.7mを多少超えていても、実質的には5ナンバー車と同じ感覚で乗れるクルマも多い。
しかし、それでもなお「5ナンバーボディの美徳」のような通念が根強いのもまた事実。新車商談の現場からは、いまだに「3ナンバー車は税金が高いからNG」と思い続けている客がいるとの話を耳にする。
賛否はともかく、5ナンバー車には「いたずらに肥大化をせず、日本の道路にふさわしいサイズを守り続けている」などと良識のある開発思想であるかのようなイメージが今も残っているのは確かなので、古式ゆかしきクルマ選びというわけで、2017年11月末現在での「5ナンバーで遊べるクルマ5選」をあげたいと思う。
1)日産ノートe-POWER/e-POWER NISMO
発進した瞬間から怒涛の加速力が得られる電気モーターならではの極太トルクや、強力な回生ブレーキによるアクセルオフ時の減速感が猛烈に気持ちよいことで、走りマニアからの評判も良いノートe-POWER。重いバッテリーの荷重分もあって超フロントヘビーながら、それを活かした強力な前輪トラクションと絶妙なサスセッティングにより、峠道でのハンドリングも存外に素晴らしい。エコなEVというより、新世代のホットハッチに乗るという感覚で選ぶべきクルマだ。
NISMOバージョンは、GT500クラスのトップドライバー、松田次生選手をして「最高に楽しいコンパクトカー」といわしめる本格派で、本気のサーキット走行も十分楽しめる。
2)トヨタ・ヴィッツGRMN
2018年4月9日より商談申込受付がスタートする150台の限定車だが、プロトタイプの段階で玄人筋を震撼させたほどレベルが高く、すでに名車の誉れが高い。タックインを仕掛けた際のコントロール性が壮絶に素晴らしく、まるでFRのようにリアを滑らせながら向きを変えてコーナーを立ち上がる痛快な挙動がたまらない。
エンジンパワーやサウンド、6速MTの手応えや制動力も申し分なく、「ヴィッツなのに400万円もする」ことが納得できる力作。昔から言われがちな「トヨタ系のクルマは出来は良くてもイマイチ熱くない」のレッテルを完全に払拭するだろう。あのドリキン土屋圭市氏も驚愕し、走りに魅了された記事がWEB CARTOPにあがっているので、詳しくはそちらをご参照あれ。
3)スズキ・スイフト RS
新型スイフトスポーツも相当な力作ながら、3ナンバーのために本テーマのくくりとしては残念ながら対象外に。しかし、現行型の素のスイフトもRS系は再注目すべき力作だ。出た当初はこれをスイフトスポーツとしもおかしくないと思えたほど走りの質は高く、とりわけ強靭さと軽さを両立させた新しいプラットフォームがもたらす上質な乗り味と、路面からの入力をいなす足さばきの絶妙さに感心させられる。
現行型スイフトはターボやハイブリッド、セミAT仕様などグレード展開が多彩で、かつそれぞれ個性がかなり異なるのだが、MTが選択でき、ターボや電気モーターアシストがない代わりに安くて軽い「RS」のプレーンさが魅力的に思える。
輸入車にもある5ナンバーの安くて楽しいクルマ
4)マツダ・デミオ XD
現行型のデミオは、総合的には非常に優れたコンパクトカーと思える反面、走りのホット度はあまり高くないとの印象があったが、2016年秋にマイナーチェンジを実施してからは、Gベクタリングコントロールの採用などにより走りが激変。俄然、走りの熱さがアップしている。
とくに注目なのはXDグレードで、ディーゼルエンジンならではの密度の高いトルク感を6速MTでダイレクトに味わえる現行型5ナンバー車は唯一無二の存在だ。コーナリングでは、ディーゼルユニット搭載でフロントが重くなったことを意識させず、気持ち良く鼻先がインを向こうとする挙動はかなり痛快! 小さい分、アクセラやアテンザよりもはるかに濃密な人馬一体感が味わえる。
5)ルノー・トゥインゴ
スマートのフォーフォーと基本コンポーネンツを共用する関係により、0.9リッターの3気筒ターボに6速デュアルクラッチ式ATを組み合わせたパワートレインをリヤに搭載。このRRレイアウトのトラクションのおかげで非力さを感じさせず、一般的なFFのコンパクトカーでは得られない痛快な走りをもたらしている。
限られたパワーを余すことなく路面に伝えて使い切る感覚はRRならではのもので、駆動力から解放されたおかげでステアリングフィールが繊細。前輪の切れ角が大きいため最小回転半径は軽自動車よりも小さい4.3mに収まった。輸入車ながらオシャレ装備の極みであるキャンバストップ仕様も用意して199万円の低価格は嬉しい限りだ。
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