■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
2020年、アルファロメオは創業110周年を迎えた。創業110周年は偉大だ。1910年といったら、ちょうど日韓併合条約が締結された年のことで、日本はまだ明治時代。アムンゼンが南極点に到達するのは翌1911年のことだし、パナマ運河が完成するのも1914年のこと。アルファロメオが産声をあげたのは、それほどはるか昔のことなのである。
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ここ数年、100周年を迎えた自動車メーカーは少なくない。思い付くままに挙げてみても、マツダ、三菱自動車、ベントレー、シトロエンなどが集中している。もちろん、メルセデスベンツやプジョー、フォードなど自動車の創成期から存在していたメーカーは130年を越えていたりする。それでも、100年と110年では歴史の重みが全然違う。
そのアルファロメオは、110周年を記念してe-bookが出版された。e-bookなので、こちらからダウンロードできる。こちらは英語版だが、6月24日になれば日本語版をこちらからダウンロードできるようになる。そのe-book出版を記念して、イタリア・ミラノのアルファロメオ博物館の館長ロレンツォ・アルディツィオ氏が日本のメディアを対象に、オンラインプレゼンテーションを行なった。
ミラノと日本をオンラインで結び、途中にフランス在住の通訳を交え、プレゼンテーションは始まった。館長さんだけあって、アルファロメオの歴史と伝統をイタリア語で歌うように説明していく。まずは、博物館の概要。筆者はこれまでにアルファロメオ博物館を訪れたことはないけれども、モダンな意匠が施された建物や館内の様子は、それだけで訪れてみたくなるほど魅力的だ。現在、270台が動態保存され常設展示されている。
説明の中でも館長も言っていたけれども、アルファロメオ110周年の波乱万丈の歴史は
簡単には語れない。だから、それをわかりやすく知ってもらうためにe-bookを作ったのだろう。e-bookには、珍しいものもたくさん収められている。アルファロメオの白地に赤十字とヘビを組み合わせたエンブレムのデザインがミラノのヴィスコンティ家の紋章に以来することは情報として知っていたけれども、そのヴィスコンティ家の紋章の実物が、このe-bookには掲載されていたりする。
何度も革新を繰り返してきたアルファロメオの歴史
110年前というと、自動車だけでなく飛行機もまた実用化され始めたばかりの黎明期にあった。世界中の技術者たちが新しい乗り物の開発に挑んだ中にあって、アルファロメオも例外ではなかった。e-bookには、1910年にニノ・フランキーニとアントニオ・サントーニいう技術者が、当時はA.L.F.A.と表記されていたアルファロメオの24馬力エンジンを複葉機に搭載して陸軍の飛行場で飛ばしてみたとあり、その時の画像も掲載されている。フランキーニの服装とヒゲに時代が現れている。
エンツォ・フェラーリが自身の「スクーデリア・フェラーリ」を興す前、アルファロメオのレーシングドライバーを務めていたこともよく知られている。e-bookには、1920年のタルガ・フローリオ(イタリア・シチリア島で行われていた公道レース)にアルファロメオ40-60HPレーシングで出場したエンツォ・フェラーリや、A.L.F.A.と合併するニコラ・ロメオ社のニコラ・ロメオとのツーショット画像も収められている。
その他にも、78ページの中には貴重な画像がたくさん収められている。自動車というものが、この110年間にどのように人々とともあったのか、その代表格としてアルファロメオとイタリアの人々が描かれている。アルファロメオのマニアックなファンでなくても堪能できる1冊(というのか?)に仕上がっている。説明がひと通り終わって質疑応答に移ると、まず事前に寄せられていた質問から次々とアルディツィオ館長は答えていく。気さくな館長は、「プレゼンテーションに参加している間に考え付いた質問も大歓迎です」と促してくれた。
そこで、筆者はマイクのミュートを外し、自分のPCに向かって声を発してみた。
「創業110周年おめでとうございます。110周年の間には、アルファロメオの他に多くの自動車メーカーが生まれては消えていきました。中には、アルファロメオと変わらないくらい素晴らしいクルマを生み出していたメーカーもありました。しかし、自動車メーカーの経営は、優れたクルマを生み出しただけでは、その存在が保証されるわけではないところがとても過酷だと思います。では、その観点に立つとすると、アルファロメオが110周年に渡って世界中の人々を魅了しただけでなく、存続し続け、今日でも企業活動を行えている理由はどこにあるとお考えでしょうか?」
PC画面の中の館長が即答してくれた答えを通訳が日本語にして返してくれた。
「ひとつはアルファロメオのDNAによるものです。いつの時代でも、先進テクノロジーと美しいデザインを融合したクルマを送り出してきました。もうひとつの理由は、アイデンティティを失わずに、新しいことにトライしてきたからです。成功したモデルに安住することなく、新しいことを行なってきたことがアルファロメオの歴史を作ってきました」
2つとも大いに納得のいく答えだった。アルファロメオのクルマは、どれも先進的な設計が施され、技術トレンドをリードしてきた。デザインの美しさも言わずもがな、だ。2つ目の答えが正鵠を得ていて、これは自動車に限らず、あらゆる商品やサービスを生み出す企業やブランドにとって最も重要なことではないだろうか。
成功体験がアイデンティティやDNAといったものを形造り、顧客からもそれを期待されていく。それに応えることが経営の基本となるのだが、それだけでは新しい時代を切り開けないのである。売れているから、ウケているからといって、それだけで満足してしまうのではなく、“次の何か”に取り組まなければならない。それは同じようなものではダメなのだが、掛け離れ過ぎていても良くない。そのサジ加減が難しい。
アルファロメオは、そうした革新を過去に何度も繰り返してきている。110年の歴史と伝統を誇るアルファロメオ博物館々長の言葉は、過去と現代そして未来を見事に貫いていた。
■関連情報
https://www.alfaromeo-jp.com/info/campaign/2020/110anniversary/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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