最新「アルピーヌA110」に登場したふたつの限定車のルーツとは
アルピーヌ・ジャポンは2022年7月、「アルピーヌA110」の限定車「ジャン・レデレ」と「ツール・ド・コルス75」の受注を開始したと発表しました。ふたつの限定車のネーミングは、1960年代から70年代にかけて販売されていた「初代」のA110にとっては所縁の深いキーワードです。これを機に初代A110を振り返ってみましょう。
「ストラトス」「アルピーヌA110」「アウディクワトロ」WRC創生期に活躍した伝説のラリーマシン
ルノー4CVを元にレースカーを手づくりして始まった「アルピーヌ」
初代アルピーヌA110が誕生したのは1963年のことでしたが、そもそもアルピーヌというクルマ自体は1956年に登場した「A106」──正式名称は「アルピーヌ・ミッレ・ミリアA106」が始祖となっています。
そもそもは自らがレースに出るために、「ルノー4CV」をベースにレースカーを製作していたバックヤードビルダーのジャン・レデレが、1955年のミッレ・ミリアでドライブしたのがA106のプロトタイプ。彼自身は2位に甘んじていましたが、ジャン・レデレの仲間で、同じマシンを駆るガルディエ/ミッキーのクルマは、750ccクラスで見事優勝を飾っていました。そして翌1956年に市販モデルとしてリリースされたのが、アルピーヌ・ミッレ・ミリアA106でした。
そう、キーワードのひとつめ、ジャン・レデレ(Jean Rédélé)はアルピーヌ社(Alpine/正式社名はSociété des Automobiles Alpine SAS)の創設者であり、自ら仕立て上げたアルピーヌ車でレースを戦っていたレーシングドライバーの名前です。
ちなみにA106はルノー4CVに搭載されていた、106系エンジンを搭載していることから命名されています。106系のエンジンにはチューニングによって何種類かの仕様が用意されていて、A106用としてベーシックなものは747ccの4気筒OHV。最高出力は21psでしたが、43ps仕様までいくつもの仕様がラインアップされていました。
シャシーはオリジナルのバックボーンフレームに、サスペンションなどはルノー4CVのコンポーネントを流用し、強化して組み付けていました。ボディは、プロトタイプの段階ではレデレが自らプラスチック・ボディを手作りしていたようですが、市販モデルを製作するにあたっては、彼のデザインを基にジョバンニ・ミケロッティがデザインした2ドアのクーペボディを、パリの有力なカロッツェリアとして知られるシャップ・フレールで架装し、商品性も随分引き上げられていました。
チューニングの魔術師・ゴルディーニと協力関係を築く
A106はクーペに加えてオープン2座のカブリオレや、そのカブリオレをフィックスヘッドクーペとしたクーペ・グランルクスなど、バリエーションを充実させていき、1959年にはA108が登場しています。これは4CVの兄貴分として登場していた、ルノー「ドーフィン」に搭載された108系エンジンを使用しています。ですが何よりも、チューニングの魔術師と呼ばれたアメディ・ゴルディーニとの協力関係が築かれたことで、エンジンのパフォーマンスは大きく引き上げられることになりました。
サスペンションに関してはA106と基本的には変わりなく、ともにコイルスプリングで吊ったフロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがスウィング・アクスル式でした。1960年にはツール・ド・フランスとツール・ド・コルス、ふたつのラリーにワークスカーがエントリーしてクラス優勝を遂げています。
このワークスカーのスタイリングに倣った市販モデルが、1961年に登場した「アルピーヌ・ツール・ド・フランスでした」。それまでのA108がA106の流れをくむスタイリングだったのに対して、このツール・ド・フランスはイメージが一新され、A110の基本形となるシルエットを持っていました。
そのような経緯の末に1963年に登場したのが「A110」でした。なお、A110のネーミングは4CVやドーフィンから1クラス上級へとシフトして誕生した「ルノーR8」をベースにしていたことで、その型式ネーム、R110系にちなんで命名されていました。当然エンジンはR8用が搭載されていましたが、もっとも大きなトピックはリヤのサスペンションは、それまでルノーのコンポーネントを使い、コイルで吊ったスウィング・アクスル式だったものを、アルピーヌが独自に設計したセミトレーリングアーム+コイルスプリングとし、またダンパーもツイン式に変更されています。
ハンドリングに秀でたライトウェイトスポーツ「A110」
A110に進化したアルピーヌは、エンジンのチューニングなどはさまざまな仕様が存在しています。中心的なモデルとなった1300Sを引き合いに出すなら、エンジンはルノーR8用の直4 OHVをベースにしながらもモータースポーツのクラス分けで1001~1300ccクラスを有利に戦えるよう、クラス区分いっぱいの1296cc(75.7mmφ×72.0mm)までスープアップされていました。圧縮比を12.0に引き上げるとともに、ツインキャブを装着するなどゴルディーニの魔法により132psを絞り出しています。
また、新たに採用したリヤサスペンションの効果も大きかったようで、無類のコーナリングマシンに昇華していました。サイズ的には全長×全幅×全高が、それぞれ3850mm×1450mm×1130mmで、ホイールベースは2100mm。そして車両重量はわずか625kgと軽く仕上がっています。このサイズ感は、現代の軽スポーツ「トヨタ・コペンGR SPORT」と比べると、全幅はほぼ一緒で全長は約450mm長いのですが、ホイールベースは130mm短く、車両重量も225kgほど軽量に仕上がっています。
そんなA110は、それまで以上にモータースポーツ、とくに舗装のロードコースで戦われるターマックラリーで、その威力を発揮するようになりました。まだ世界ラリー選手権(WRC)開始前の1960年代からホームゲームともいうべきツール・ド・コルスなどではワークス契約の名手が小排気量ながら、縦横無尽の活躍を見せていました。そして1968年のツール・ド・コルスでは、ジャン-クロード・アンドリューがA110でアルピーヌに初優勝をもたらしています。
ラリーシーンでストラトスと競り合い大活躍
1970年代になると世界的なラリーシリーズが誕生します。それまで単独のイベントとして開催されていたヨーロッパ各国のインターナショナル・ラリーを中心に、1970年にはFIA国際マニュファクチャラーズ選手権(IMC)が始まりました。
アルピーヌは、1970年はサンレモとアクロポリスで優勝しランキング2位となると、翌1971年にはモンテカルロなど5戦で優勝を飾り、堂々のチャンピオンに輝いています。残念ながら、1970年から1972年にかけて行われたIMCではツール・ド・コルスはシリーズに組み込まれていませんでしたが、1970年から開催されなかった1971年をはさんで1973年までA110は3連勝を飾っています。その1973年からはWRCが始まっています。
記念すべき1973年のWRCにおいてアルピーヌは、全13戦中半数に近い6戦で優勝を飾り、2位のフィアットに大差をつけて初代チャンピオンに輝いています。1974年からは予算の関係からワークスがフル参戦することはなくなりましたが、ホームゲームのツール・ド・コルスのほかに数戦を選んで参戦しています。
ただツール・ド・コルスに関しては、1974年はジャン-クロード・アンドリュー、1975年はベルナール・ダルニッシュと、2年連続でランチア・ストラトスが優勝。A110をドライブしたジャン-ピエール・ニコラは、2年連続で2位に甘んじることになりました。とくに1975年のツール・ド・コルスでは、24バルブ仕様で300ps、12バルブ仕様でも260psともいわれるフェラーリ製の2.4Lエンジンを搭載したストラトスを、1.8L/180psのA110が猛追。32秒の僅差で敗れはしたものの、ジャン-ピエール・ニコラの渾身のドライビングは、今も語り草となっています。
そう、キーワードのふたつめ、「ツール・ド・コルス75」は、ジャン-ピエール・ニコラが渾身のドライビングを見せ、今も語り継がれるイベント、1975年のツール・ド・コルスにちなんだものでした。
マスタード・イエローをベースにボンネットをブラックアウトしたカラーリングは、ル・マン24時間レースで優勝した「A442B」や、F1GPに初めてターボ・エンジンを持ち込んだ「RS01」にも受け継がれるアルピーヌとルノーにとっては忘れることのできない、モータースポーツ・ヒストリーにおける重要なカラーリングとなっているのです。
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みんなのコメント
外装はもちろん、内装もレーシーでカッコいい。