メルセデス・ベンツが進めている、Cセグメントバリエーションの新世代化。すでにハッチバック、ハイトワゴン、セダン、シューティングブレイクを刷新。そして時代の主流を担うSUVが、満を持してフルモデルチェンジされた。(Motor Magazine 2020年6月号より)
ライバルひしめくコンパクトSUV市場
2013年、メルセデス・ベンツ初のコンパクトSUVとして登場したGLAは、BMW X1やアウディQ3などと違ってクロスオーバーSUV、つまりややソフトな性格を持っていた。そして6年間で100万台以上を販売する人気モデルとなったが、その間コンパクトSUVにはフォルクスワーゲンTロックやアウディQ2、あるいはBMW X2など多くのライバルが登場してきた。
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そしてGLAは今回、2世代目の登場となったのだが、メルセデス・ベンツとしてはこの新しいクロスオーバーモデルをもう少しSUVに近づけようとしているようだ。ボディサイズは、全長が14mm短縮されて4410mmへ、また全高は104mm伸びて1611mmとなった。全幅は30mm広げられて1834mmに、ホイールベースは30mm伸びて2729mmである。
さらにデザインを見るとヘッドライトが鋭角的に切れ上がり、ボンネットには2本のパワーバルジが並び、グリルは下方へ広がっていると同時にバンパー左右のエアインテークはダイナミックに拡大されている。リアまわりでは、鋭角的な細長いコンビネーションライトが軽快な印象を与えている。前後のオーバーハングが短くされたサイドビューは、オプションのインチホイール&タイヤと相まって、スポーティSUVそのものといえる緊張感が漂っている。
デザイン面だけではなく走行性能もブラッシュアップ
このモデルは「エディション1」と呼ばれるデビュー限定バージョンで、パールホワイトメタリックのボディにAMGホイールなどが装備され、インテリアにはカーボンアプリケーションなどがおごられている。また他のAクラスファミリー同様の最新デジタルユーザーインターフェイス、MBUXを搭載。すなわち「ハイ、メルセデス!」という音声で入力操作や情報の取得が可能である。
試乗車は日本導入が予定されているGLA250 4マティックで、225psと350Nmを発生する2L直列4気筒ターボエンジンと8速DCTという仕様。0→100km/h加速は6.7秒、最高速度は240km/hに達する。
ドライバーズシートに腰をかけると確かに旧型より高く、視界の良くなったポジションがSUVムードを盛り上げる。ドライバー的にはボディが短くなった印象は一切なく、フロントシートが前後にもアジャスト可能になったので、むしろ広く感じるほどだ。
スタートボタンを押すとエンジンは即座に目覚め、安定したアイドリングが始まる。コラムレバーをDレンジに入れて右足を踏み込むと、クルマの流れにやすやすとシンクロ可能な加速を開始する。ソフトウエアがアップグレードされた8速DCTのシフトワークはスムーズで、快適に速度を上げていく。また長くなったホイールベースはピッチングを抑え、乗り心地は一層改善されている。
GLAは、標準仕様では快適性重視のサスペンションが装備されるが、試乗車はアダプティブダンパーを装備。コンフォートモードでのシャシの挙動は文字どおりにソフトで、当たりが柔らかくファミリーSUVを演じてくれる。スポーツモードでは、シャシだけでなくハンドルやアクセルペダルレスポンスも含めてアジャイルなスポーツSUVへと変身する。
今回の試乗時は、改良された4マティックの性能を発揮させる場面は少なかったが、プロトタイプのテスト時には本格的なSUVに迫る走破性を見せてくれた。もちろん、アドバンスドアクティブクルーズコントロールを始めとするADAS(先進運転支援システム)の装備は充実しており、安全で快適なドライブが約束されていることは言うまでもない。
新しいGLAは、デザインばかりでなく、性能もこれまでよりSUV寄りの性格が与えられて、GLCの弟役というポジションがより明確になった。これで間違いなく、ライバルのコンパクトSUVたちに太刀打ちできるだろう。(文:木村好宏)
■メルセデス・ベンツ GLA 250 4マティック主要諸元
●全長×全幅×全高=4410×1834×1611mm
●ホイールベース=2729mm
●車両重量=1600kg(EU準拠)
●エンジン= 直4DOHCターボ
●総排気量=1991cc
●最高出力=225ps/5500rpm
●最大トルク=350Nm/1800-4000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速DCT
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