マクラーレンは、F1チームの中で初めて2022年マシンの画像をSNSで公開した。MCL36のタグがつけられた写真が、Instagramアカウントに投稿されたのだ。
もちろん、マシンが正式発表されたわけでもないため、この写真から多くの情報が得られるわけではない。だが新レギュレーションが導入されて1年目のマシンの、注目すべきデザインのヒントが発見できる。
■2022年のF1マシンは角田裕毅向き?「18インチタイヤで、マシンの動きがシャープになる」
フロントバルクヘッドからロールフープ部分を映した写真を見ると、ロールフープとエアボックスのデザインは、基本的に2021年シーズンから引き継がれているようだが、エアボックスの形状が全体的に縦長になっているようにも見える。エアボックス内部が3つに分けられているのも同様だが、中央のセクション上部は2021年よりも狭くなっているようだ。
また、サイドポッドの形状や位置は、よりコンベンショナルなローマウントに戻されたようだ。
レギュレーションの変更に伴い、車体の寸法基準、さらにはSIPS(サイドインパクト・プロテクション・スパー)の位置がここ数シーズンよりも高くなったことが、このデザイン変更の大きな要因となっている。
2017年からフェラーリが採用し、多くのチームが追従したような、吸気口を高い位置に設けるデザインはより難しくなっている。このデザインはSIPSを吸気口下端に配置していたためだ。
いずれにしても、レギュレーション変更によりマシン前方で生まれる気流の構造も変化するため、こうしたデザインの旨味は薄れていく可能性も高いだろう。
手前のバルクヘッド部分は、内側に向かって絞り込まれるようにテーパー形状になっているように見える。これは、ここ数年のようにマクラーレンがスリムなデザインのノーズを引き続き使用することを示唆している。
ただ、ノーズチップの高さなどは、フロントウイングエレメントとの相互作用に関する新しいレギュレーションの制約を満たすために調整されるだろう。
またいくつかの要因から、2022年にフロントのサスペンションにプルロッド式を採用するチームが現れるという噂もある。
これはここ数シーズン使用された方式のサスペンションジオメトリーが禁止されたことが要因だ。アップライトから角のように飛び出たエクステンションにサスペンションアームをマウントすることで、サスペンションアームの下反角を少なくしていた手法が使えなくなるのだ。
そのためサスペンションアームの位置が変わり、結果としてより低い位置にマウントされたサイドポッドに向かう気流に影響を及ぼしてしまう可能性がある。
プルロッド式のフロントサスペンションは、サスペンションロッドの角度がより水平に近く、アームにフェアリングを被せて空力面で活用することも可能だと思われる。重心の面でもわずかに有利だ。
18インチホイールと低扁平タイヤの導入でサスペンションにかかる負荷も大きく変化するだろう。そんな中で、プルロッド式のフロントサスペンションを採用するチームが出てもおかしくはない。
マクラーレンは、2013年のマシンであるMP4/28でプルロッド式フロントサスペンションを採用したが、これは1年前にフェラーリがF2012で採用したデザインを模倣したものだった。
フェラーリは2015年までこのデザインを使い続けたが、マクラーレンは2014年にプッシュロッド式のフロントサスペンションに戻している。もう一度、プルロッド式のフロントサスペンションを採用するチームが現れるかどうかは興味深いテーマだ。
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