豊田章男社長が新型スープラで参戦
TOYOTA GAZOO Racingは、6月22日~23日にドイツで開催されるニュルブルクリンク24時間耐久レースに今年発売になったばかりの新型GRスープラとレクサスLCの2台体制で参戦。豊田章男社長自らGRスープラのステアリングを握り、実質初参戦で158台中総合41位完走を果たした。レクサスLCも完走し総合54位。
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ニュル24時間レースは、1周約25km、高低差300m、170を超えるコーナーを持つコースを24時間走り続けるという過酷なレース。しかも、北コースの路面は一般道と同レベルで、コースサイドのエスケープゾーンはほとんどない。それゆえ世界一過酷なサーキットと称され、「ここを走れるクルマは、世界のどこの道でも通用する」と言われている。
トヨタは「もっといいクルマづくりのために、人とクルマを鍛える」ことを目的に2007年からニュル24時間レースに継続参戦。TOYOTA GAZOO Racingの活動の原点でもある。
昨年はレクサスLC(SP-PROクラス)の1台で参戦だったが、今年はGRスープラ(SP8Tクラス)も加え2台体制となった。ドライバーは、GRスープラがモリゾーこと豊田章男社長、佐々木 雅弘、ウヴェ・クリーン、ヘルフィ・ダーネンス。レクサスLCは、土屋 武士、蒲生 尚弥、松井 孝允、中山 雄一。スタートドライバーは、豊田章男社長(予選99位)と蒲生尚弥選手(予選35位)が担当した。
じわじわと順位を上げていったのだが、約8時間経過したところでLCがトランスミッションからオイル漏れが発生。トランスミッションの交換作業のため2時間超のピットインを強いられる。一方、GRスープラも他のマシンと接触と不安を抱えながらの走行となった。
夜が明けた6月23日。この日は豊田章男社長の運転の師匠であり、TGRの原点となった「GAZOO Racing」をともに立ち上げたトヨタ自動車のマスタードライバー、故・成瀬 弘氏が9年前にニュルブルクリンク近郊で急逝した日だった。
GAZOO Racingを立ち上げた豊田章男社長(当時は副社長)が、ニュルブルクリンクでの走行トレーニングを始めたのが2001年。翌2002年には先代スープラが生産終了。その後、トヨタのスポーツカーは存在せず中古のスープラで同社のテストドライバーはトレーニングしていたのだ。当時、「他社は数年後に世に出すクルマを鍛えている場で、自分たちには中古のスープラしかない」と悔しい思いをした豊田章男社長は、ついに新型GRスープラで走ることができたわけだ。
そのように特別な想いをもったドライバーが、特別な日に行われたニュル24時間レースで戦う。ドラマともいえる24時間のレースで、TOYOTA GAZOO Racingのマシンは夜が明けてからは順調に周回を重ね、午後3時にGRスープラは総合41位(クラス3位)、LCは総合54位(クラス1位)でチェッカーを迎えた。
レース後に豊田章男社長は「生産中止になったスープラで練習をしてるなど、さまざまな悔しさ。全ての悔しさが、私自身その成瀬さんが亡くなった6月23日に社長に就任した時からの、ずっと私のブレない軸でもあります。私がもっといいクルマをつくろうよということだけしか、社長になって言わないのは全てその悔しさであります」とコメントしている。
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